通販は媒体を問わず、広告による新規獲得が以前より難しくなり、新規獲得コストが上がっている。多くの通販会社がリピート率を向上させるべく、顧客との関係性構築(CRM)を強化している。CRM強化にはシステム導入などの多額のコストがかかることも多いが、顧客特性を見直して細かい作業を改善することで、コストを抑えてリピート率や顧客との関係性を向上させている企業もある。顧客データの分析や現場の実情に即したコンサルティングに定評がある(株)通販総研代表取締役の辻口勝也氏に、コストを抑えて継続率を向上させた成功事例を聞いた
定期購入の習慣化で継続率アップ
辻口氏は、リピート率向上させる重要なポイントに「定期購入の習慣化」を挙げた。定期購入の継続を妨げる障害を取り除くことで、定期購入の継続率はアップするという。以下、辻口氏がピックアップした「予算をかけず、ちょっとした改善でリピート率を向上させた事例」を紹介する。
【継続率向上 CASE1】後払いをクレジットカードの引き落としに誘導
健康食品の単品通販をしているある食品メーカーA社の事例。A社は広告で新規獲得し、リピートにつなげるといったノーマルな販売手法を取っていた。A社の顧客を分析すると、定期コースでコンビニや銀行での後払いをしていた顧客が、全体の7割に上っていた。通常、コンビニの後払いより、クレジット払いの自動引き落としの方が継続率は高い。継続率をアップさせるために、定期コースの商品の中にクレジット引き落としに変更するチラシを同梱した。たったこれだけで、A社の年間の継続率は従来より3回以上アップした。チラシもクレジットカード情報を隠すように、表裏印刷で折って封筒を作る工夫をして、封筒代を浮かせた。
A社はクレジットカード引き落としに変更するチラシを商品に同梱しただけで、継続率アップに成功した。
(つづく)
(取材・文:山本 剛資)
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■プロフィール
(株)通販総研 代表取締役 辻口勝也
健康食品、食品、化粧品、飲食業界を中心とした通信販売企業のコンサルティングを手掛ける。販売データ分析から把握できる数字による指標や、現場社員からの意見・アイデアを重視し、実地に沿ったコンサルティングに定評がある。
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