限られるカセットテープの選択肢
なにしろカセットデッキのメディアたる、コンパクトカセットの選択肢が、ほとんどありません。
かつては、様々なメーカーがコンパクトカセットを製造していました。1966年に国産初のカセットテープを発売したTDKをはじめとして、ソニー、日立マクセル、富士フイルム(AXIA)、日本コロムビア(DENON)、太陽誘電(That's)、住友スリーエム(Scotch)、BASF/AGFA、メモレックス、コニカ(Magnax)などなど。
磁性体の違いによって、TYPE I(ノーマルポジション)から始まり、TYPE II(ハイポジション)、TYPE III(フェリクローム)、TYPE IV(メタル)と4つのポジションが存在し、各社各々の技術を投入して、音質やコストパフォーマンスを競っていました。
しかし、TDKは、2007年に記録メディア事業を米国のイメーションへ売却し、2011年12月にはついにカセットテープの生産を終了しています。
そして今、ヨドバシ・ドット・コムで買えるのは、日立マクセル、ソニー、磁気研究所の3ブランドのみ。いずれもTYPE I、ノーマルポジションの安価な製品だけです。
カセットの音質を決定する要素として、録音・再生装置の性能と同時に、メディアであるテープの性能が重要なのは言うまでもないことです。
(次ページでは、「現存するテープを聴き比べてみる」)