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ショッピングの未来:アプリから(あるいはアプリが)買い物する時代へ

2014年08月23日 07時00分更新

文● Stephanie Chan via ReadWrite

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ショッピングから逃げられなくなるかもしれない…

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Eコマースは既に私たちの日常生活に定着しているが、ユーザーとウェブサイトの一方通行的な関係に留まっている。では、ショッピングの未来はどのような形が考えられるだろう。アプリがあなたの操作を待つのではなく、あなたにおすすめの商品を提案したり、アドバイスしてきたりしたらどうだろう?

それはもう夢物語ではない。eBayなどが試用を開始している様々なショッピング・インターフェースを簡単に見てみよう。

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ソニーのショッピング機能付きウィンドウ

eBayの描く未来―ショーウェインドウで買い物を

まず、eBayから見てみよう。同社のデジタル・ショッピング・ウィンドウはインタラクティブなEコマース・アプリと大型デジタル・スクリーンの2つの役割を担っている。製品を表示する一枚の巨大な窓とインタラクティブにやりとりをして注文ができる。

昨年11月から今年1月にかけて、eBayはウェストフィールド・サンフランシスコ・センター(おしゃれなショッピングモール)でTOMS、ソニー、レベッカ・ミンコフといったブランド向けにインタラクティブ・ショッピング・ウィンドウを設置した。買い物客はこのウィンドウ上で商品をスクロールしながら閲覧し、eBayのPayPal決済で注文する。注文した商品はショッピングモール内で受け取ってもよいし、配達を頼むこともできる。

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TOMSの店頭スクリーンによる買い物の様子

当然、このデジタルな店頭スクリーンの役割は単なる売買ツールに留まらない。買い物客を実店舗に直接導く強力な広告としても機能するのだ。

「ゼロエフォート・コマース」

eBayのイノベーション・新規ベンチャーVPであるスティーブ・ヤンコビッチは、未来のモバイル・コマースが様々なショッピング・インターフェースにより日常生活に織り込まれ、客は労力を割かずに買い物ができるようになると予測している。例えば空港、バーのテーブル、ショッピングモール等にショッパブル・スクリーンが設置されるだろう。ヤンコビッチの主導で同社の「ゼロエフォート(客側の努力のいらない)・コマース」戦略は進められている。

読者の中には、洗剤を切らしている人がいるだろう。ゼロエフォート・コマースでは消費者の過去の傾向を学習し、無くなる前に注文するのだ。来週会議に出るとなれば、カレンダーに組み込まれたアプリがツイード・ジャケットの購入を提案してくるかもしれない。

eBayは、ウェストフィールドでの試用後、デジタル店頭スクリーンの使用拡大を計画していない(ウェストフィールド以前には、似た実験が2013年の始めにニューヨークで行われていたことがある)。そして同社は今年後半に、別の小売りイノベーション・プロジェクトを計画している。ここでも同じ「接続されたガラス」の技術を使用するようだ。

あなたのものを売却してくれるアプリ

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eBay Valetアプリ

eBayは最近、eBay Valetアプリのパイロット版を発表した。これはユーザーがオークションサイトで売りたい物の価値を計算し、売却してくれるアプリだ。アプリ版の「アンティークス・ロードショー(お宝鑑定番組)」といった感じだ。

ユーザーはまずValetで売りたい物の写真を撮る。eBayの販売員がその写真に基づいて推定価格を提示する。価格を受けてユーザーに売る気があれば、eBayから発送用の箱とラベルが送られてくる。eBay側に商品が届けば、プロが改めて写真を撮り、リストに載せる。買い手がつくと、eBayは30%のマージンを取る。

このアプリはeBay側の仕事量に依る部分は大きいが、ユーザーはあまり時間と労力を割かずに済む。

ショッピングしながらHangoutはいかが?

Hangout

グーグルの「Shop The Hangout」

グーグルもコマースの未来としてインタラクティブ・ショッピングを検討している。グーグルの「Shop The Hangout」というショッピング機能付きのビデオ・エクスペリエンスを提供している。ユーザーはGoogle Hangoutを介してお気に入りのデザイナーとビデオチャットをしながら、そのデザイナーの商品を閲覧し、購入できる。

この「Shoppable Hangout(ショッピング機能付きGoogle Hangout)」のパートナーには有名な技術者やGoogle Glassに熱心なダイアン・フォン・ファステンバーグ、その他にはデザイナーのレベッカ・ミンコフ、マーカス・ウェインライト、デイビッド・ネヴィル、レイチェル・ゾーが名を連ねている。

このパイロット版プログラムで目を引くのが、デザイナーたちへのライブ・インタビューだ。Google Shopping Shortlists(ショッピング・リスト的なブラウズ機能)をGoogle Hangoutに組み込み、ビデオを通してデザイナーと相互的にやりとりしながらショッピングが楽しめる。

デザイナーとのコラボはよい評判を得ているとグーグルは語る。Shoppable Hangoutはソーシャルメディアで1億5000万件以上のコメントを集め、実施日に1日当たり5%のトラフィック増がデザイナーのサイトで記録された。

グーグルはeBayと同じく、ショッピングとコマースにおける垣根を取り払おうとしている。Shoppable Hangoutは、様々な行動にショッピングという体験を取り込むというグーグルの挑戦の第一歩と位置づけることができる。「消費者にとって便利で、自然で信頼される形で統合できていれば」とグーグルのショッピング製品マーケティング・マネージャーのローラ・ジョーンズは語る。

あなたの近所のバス停やレストランでショッピング・スクリーンを見たら、新しいテクノロジーが好きな人でもちょっと異様に感じてしまうかもしれない。しかし、大企業が更なるインタラクティビティとシームレスなショッピングを追及する今、Eコマースと一体化した生活がごく近い将来に実現するのではないだろうか。そして、より簡単で自動的なショッピングが約束されるのだから、それは歓迎すべき変化となるだろう。

Stephanie Chan
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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