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4K時代の“精細感”と“奥行き感”をリビングに提供する:

あえてソフトな表現を志向した4K機、AQUOS UD1の画作りとは?

2013年08月09日 11時00分更新

文● 折原一也、写真●小林 伸

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ICC PURIOSから揺らがない“パネルの品位”へのこだわり

── いま4Kテレビを買おうとするユーザーは、やはり画質で選ぶ層だと思います。AQUOS UD1では4Kテレビとして、画質のどこに注力されているのでしょうか。

4Kの高解像度ならではの価値とは、緻密に細かい所まで見えて、奥行き感も得られるという点だと小池氏は話す

小池 弊社が2月に発売したICC PURIOSは世界最高画質を狙った設計でした。しかし、(より広い層を狙った製品とはいえ)第2弾のモデルになったら全然違う画質だったということでは、お客様が混乱してしまいますよね。

 やはりシャープとしては“こだわりの画質”を継続したい。これに加え、アップスケールと組み合わせて、4Kという高解像度ならではの価値を最大限に発揮し、普段忙しい方でもよりリアルな現実の世界をリビングで見せたい。だから綺麗な自然の景色であったり、コンサートホールのオーケストラなど、現実そのままに見ていただけるように作っています。

 そのポイントになるのは、4Kの高解像度ならではの価値。つまり緻密に細かい所まで見えて、奥行き感も得られるという点が重要だと思います。その実現にはパネルの品位が非常に大きな要素になると考えています。

── リアルな映像の奥行き感にパネルの品位が必要と言われても具体的なイメージが持てない読者も多いと思います。パネルの品位とはどのようなものでしょうか。

小池 まず大画面になると画面の明るさ、つまり輝度の均一性を保つのが難しくなる面があります。例えば中央部分と比べて周辺の輝度が暗くなりがちです。しかし、テレビの画面を絵を描くキャンバスに例えるなら、画面の上下が暗くなっているのはキャンバスが歪んでいるのと同じことです。そこに絵を描いたとしても、奥行き感や立体感を出すのは難しいでしょう。平らなキャンバスに描くからこそ、正しい奥行き感が出せるのです。

均一で平らなキャンバスがなければ本物の絵は描けない

── ICC PUROSでも、パネルの均一性、ユニフォミティをアピールされていましたが、AQUOS UD1シリーズでもユニフォミティを画質基準とされているのでしょうか。

小池 はい。シャープはパネルを作っているメーカーでもありますが、ユニフォミティが取れていることは大きな基準です。ICC PURIOSの際には直下型バックライトのローカルディミング(バックライト自動制御)を、ユニフォミティ向上のために使っていたのですが、AQUOS UD1シリーズではエッジライト型のLEDバックライトで均一性を保つことを目指しました。

── 均一性という意味での指標についてより詳しく教えてください。AQUOS UD1シリーズはどのような目標を持って品質を維持しているのでしょうか。

小池 具体的に公表できないことが多いのですが、ひとつの基準として、AQUOS UD1シリーズはすべてシアター規格のTHXに準拠している点が挙げられると思います。4Kのソースは映画が先行していることもあり、対応を目指しました。THXはジョージ・ルーカスが自分の映画を正しい画質で観るために定めた基準ですが、均一性に対する要求がとても厳しいのです。

AQUOS UD1に搭載されたTHXモード

── THXの基準をクリアすることの難しさについて教えてもらえますか。

小池 そうですね……。端的な例を示すと、従来のAQUOSでTHX認定が取れたのは直下型バックライトを搭載した機種のみで、エッジライト型の機種でTHXの基準に合格できるものはありませんでした。ですから、開発当初の段階から社内の画質チームで、そこを削るのかこだわるのかについて相当な議論がありました。

 けれども、ICC PURIOSの次の4Kテレビとして大切な基準を変えてしまうと、シャープのこだわる画質が他社と変わらなくなってしまう。均一性に優れた高品位なパネルを使い、奥行き感ある映像を追求する。このICC PURIOSから継続した、シャープにしかないアドバンテージをお客様にお届けするために、最初は高い壁でしたがTHXの基準を目指しました。

 映像パッケージでは4Kカメラを使った撮影だけでなく、古いフィルムを4K/8Kでスキャンして制作するコンテンツが増えています。4Kと映画の関連を考えるなら、THX認定の取得は外せないという思いもありました。

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