海外旅行をするのにわざわざWi-Fiルーターを持ち運ぶのは面倒だ。どの携帯キャリアも海外パケット定額サービスを提供しているし、手持ちのスマホで指定事業者につなげば、「パケ死」など気にせず日本で使うのと同じように海外でも使える。
だが、海外渡航者向けWi-Fiルーターのレンタルサービスは今や急成長中のビジネスだ。たとえば「グローバルWiFi」を提供しているビジョンによれば、2012年2月のサービスイン後、利用客数は毎月110%以上の割合で伸びており、特に今年の年末年始は需要が急増。貸し出し機の在庫がなくなるほどの人気だった。
通信品質で差別化
なぜ人気なのか? 理由のひとつはその安さだ。たとえばモンゴル。国内の携帯3キャリアともパケット定額の対象地域だが、いずれも1日あたりのパケット通信量が約25MBまでで1980円、25MB以上は最大2980円という二段階の価格設定だ。一方、グローバルWiFiでは970円(キャンペーン価格、3月8日現在)と一定額で提供している。
だが、携帯キャリアとの差別化でビジョンが重要視しているのは実は「速度」だ。携帯キャリアの海外パケット定額サービスの場合、ローミング時に接続速度が遅くなるケースが多く、日本で接続する場合に比べて1/10〜1/5程度の速度になってしまう。そこでビジョンは「最低でも3G接続、可能なら4G接続」を合い言葉に世界各国で接続事業者を選定。モンゴルの場合、サービス開始時から3G接続をサポートしていたが、今年の2月からウランバートル市内を対象にWiMAXの接続サービスも始めた。
しかし、モンゴルへの年間渡航者は2011年で1万5336人(日本政府観光局(JNTO)調べ、以下同)。同じアジアで言うと2012年でマレーシアは約47万人、ベトナムは約58万人もの年間渡航者がいる。こんな少ない渡航者数の国でなぜわざわざWiMAXにまで対応するのか?それこそ採算は合うのだろうか?