前回はiPhone 5などのスマホに脅かされつつも、画質という点では専用機ならではの底力を見せつけたHDビデオカメラ。特集最終回となる今回は、画質以外の部分をチェックしていく。
ビデオ動画の撮影では、映像だけでなく音質も重要。そして、撮影した動画の編集や加工、PCへの書き出し、ネットの動画共有サービスへのアップロードなどのしやすさも、撮影した動画をいかに活用できるか? という点で気になるだろう。
また、今や誰もが持つスマホと連携することで、さらに多彩な使い方ができるものもある。こういった点もクローズアップしていきたい。
進化するビデオカメラの風切り音防止機能
まずは音質だ。第1回で紹介したように、各社とも上位機種を中心によりクリアな録音性能に力を注いでいる。なかでも気になるのは、屋外撮影で目立ちやすい風切り音を低減する機能。マイクの開口部に風が吹き込むことで発生するノイズをどの程度まで抑えられるかを確認してみた。
テストでは、卓上扇風機の風量を最大にし、カメラやiPhone 5を近づけて撮影。角度を変えながら風切り音の入り方を確認した。
こうした風切り音防止機能は各社とも採用してきており、使用状況に応じて切り換えて使用するようになっている。これに加えて、ソニーの「HDR-PJ790V」は独立型マイクの搭載に伴ってウインドスクリーンも併用することで、さらに風切り音を効果的に低減できるようになっている。
実際に試してみたところ、まだまだ寒風の強い1月では、これらの機能はかなり効果が大きかった。ソニーの場合は、電子的な自動風ノイズ低減だけでも、耳に付きやすい「ボボボボボ」という感じの音がかなり減衰し、周囲の音が明瞭に拾えるようになるし、ウインドスクリーンも併用することで、風切り音に加えてザワザワとしたノイズも収まり、耳障りな音をほぼ気にならないレベルまで抑えられた。
キヤノンの「iVIS HF G20」には、音量レベルの高い風切り音を効果的に抑制する「オートウィンドカット」機能がある。これに加えて、「オーディオシーンセレクト」で環境音のうるさい場所用の「ノイズカット」を選択すれば、さらに細かな雑音まで抑えられ、効果を高められるだろう。
ビクターの「GZ-VX895」は、「自動風切り」をオン/オフ/オートから選べる。基本的にはオートにしておけばよく、いちいち切り換えずに済むだろう。筐体サイズの違いやマイクの配置などの影響か、耳に付く風切り音の低減は他と比べてやや控えめだったが、細かな雑音の低減効果もあるようで、話し声などは随分と聞きやすくなったと感じた。
このほか記録した音声をより高音質で再生できる独自技術「K2」を採用しており、圧縮時に失われた音声を復元して記録する機能もある。風切り音とは直接関わりがないものの、PCやBDなどへのダビング時にも有効なので、高音質化としては有効な機能と言えるだろう。
そしてiPhone 5だが、残念ながら風切り音防止のための具体的な機能は備えていない。レンズ配置のため面積の広い背面部分を立てて撮影することもあり、風切り音はかなり目立ってしまう。
というわけで、iPhone単体での対応は難しいが、外付けマイクの着用や音声フィルター機能付きのアプリを使えば風切り音の低減は可能だろう。
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