EMCジャパン(以下、EMC)のVNXe3150は、84万円からという低廉な価格を実現したSMB(Small Medium Business)向けのストレージだ。価格面だけではなく、機能や性能といった面でも優れたVMXe 3150の魅力を、EMCジャパン テクノロジー・コンサルタント 三保尚澄氏に聞いてみた。
EMCの「VNXeシリーズ」はなぜSMB向けストレージの決定版なのか?
EMCが2011年4月に投入したVNXeシリーズは、同社初のSMB向けユニファイドストレージ。ハイエンドのイメージの強いEMCが100万円強という低廉な価格の製品を手がけるということで大きな話題になった。低廉な価格でありながら、高い性能と安定性を持つ。「ターゲットとなる数百名規模の企業を考えると、ファイルサーバーや仮想化サーバーのストレージなど、1台でなんでも済ませたいという要望があります。こうしたニーズに対して、NASとSANを両方使えるVNXeは最適です」とEMCジャパン テクノロジー・コンサルタントの三保尚澄氏は語る。
特筆すべきポイントは、やはりSMBユーザーに最適な製品に仕上がっていることだ。ミッドレンジ製品の機能限定版でも、コンシューマ向け製品の大容量版でもない。ストレージのプロであるEMCが、SMBのユーザーが本当に必要とする数十TBという容量、性能、機能を製品としてまとめ、導入やすい価格で提供している。この絶妙なバランスとコストパフォーマンスの高さが、SMB市場にフィットとしたと言ってよい。
そしてなによりSMB向けに最適化されているのが、「Unisphere」というGUIの管理ツールだ。上位機種であるミッドレンジストレージ「VNXシリーズ」との大きな差別化になるこのUnisphereでは、専任ではない管理者が設定や運用するのを前提に、きわめて使いやすいGUIが提供されている。ウィザードを多用しつつ、設定項目や画面もシンプルにまとめられており、「エンドユーザー様から本当に使いやすいという声をいただいています」と高い評価を受けている。
コンシューマ系ストレージとはここが違う
EMCにとって、まったく新しいSMB向けユニファイドストレージだが、これまで踏み込めなかった市場を確実に開拓している。「私もセミナーなどで首都圏以外に行きますが、まず100万円以下の商材であるという話をすると、パートナーさんが興味を持ってくれます。あと、単純に導入だけではなく、容量の増加やレプリケーションのための台数の追加というパターンも多いので、ビジネスに発展性があることをパートナー様にも実感してもらっています」(三保氏)。案件としては、やはりサーバー統合が多く、「多いところでは80サーバーくらい統合しているところもあります」(三保氏)という。その他、DR(Disaster Recovery)での用途も引きがあり、2台単位での導入も意外と多いという。
ファイルサーバーやiSCSIストレージとしての基本機能はもちろん、シンプロビジョニングや重複排除など最新機能もきちんと提供しているが、本当に評価されているのは信頼性や安定性、なによりデータロストしない実績だ。スペックや価格を見ればお得に感じられる製品は多いが、こうした目に見えない部分は意外と見えにくい。「多くのパートナー様がコンシューマ系のストレージを使って、データを消失した経験を持っています。コンシューマ系のストレージはそもそも可用性や信頼性を前提としていないので、サーバー統合で使うのは難しいと考えている方は多いです」(三保氏)。
これに対し、企業向けのストレージとしてのノウハウを凝縮したVNXeでは、ハードディスクはもちろん、CPUやネットワークまできちんと冗長化されているほか、RAIDのソフトウェアも実績のある技術を使っている。「VNXeの場合、ミッドレンジと同じく、ディスクのセクター単位でパリティ情報を持たせているので、データロストしにくい仕組みです。また、バッテリを持っているので、停電時でもキャッシュが保護されます」(三保氏)とのこと。ストレージ製品の本筋であるデータ保護に関して、相当なこだわりを持って作られているわけだ。
2.5インチHDD/SSDで容量も増大!新モデル「VNXe3150」
そして、製品の国内出荷から1年半が過ぎ、VNXe導入に拍車をかけそうな新製品が「VNXe3150」である。旧モデルのVNXe3100の後継にあたるモデルで、シングルプロセッサー、300GB×6本の最小構成で84万円(税抜)と、80万円台の価格でさらなる市場の牽引に打って出ている。「ライセンスもバンドルされているので、パートナー様の作業費まで入れて、稟議を通しやすい100万円以下の価格でご提供できます」(三保氏)
より求めやすくなった一方、ハードウェアは大きく強化されている。クアッドコアのCPUを搭載したことで処理能力はより強力になったほか、2.5インチのHDD/SSDを搭載できるようになった。「3.5インチのVNXe3100が12本だったのに対し、VNXe3150では2.5インチのディスクが25本入りますので、スペース効率も大幅に向上しています。また、拡張モジュールで銅線の10GBASE-Tのインターフェイスを搭載できます」(三保氏)という。消費電力に関しても、物理容量20TB(900GB SAS HDD使用時)を構成した場合、3.5インチモデルと比較して約35%の消費電力削減になるという。
以下、さっそくVNXe3150の実機を見てみよう。
機能面では、非Active Directory環境での利用をサポートしたのが大きい。「従来はActive Directoryのメンバーサーバーとして登録するのが前提だったのですが、中小企業ではActive Directoryを使っていないところもあります。ですので、スタンドアロンでも利用可能にしました」(三保氏)。また、レプリケーションに対するスナップショットもとれるようになった。災害時、DRサイトで直近のデータを利用できるだけでなく、スナップショットにより、過去の世代のデータをさかのぼることが可能になる。「SMB向けストレージとして必要や機能や簡単さをわれわれが考えてVNXeを市場に投入したのですが、当然市場のニーズとずれている部分も存在します。1年経って、ユーザーの声を取り入れ、こうした点が改良されてきたわけです」(三保氏)。リリースされたばかりの最新版のソフトウェアでは、Windows 8やWindows Server 2012で新しくなったSMB3.0にもいち早く対応しており、高いパフォーマンスを実現している。コンシューマ系NASと異なったビジネス指向の製品ならではの迅速さだ。
最大の売りとも言えるGUIツール「Unisphere」も健在だ。ファイルサーバーやiSCSIなどはもちろん、レプリケーションやスナップショットなどの設定もウィザードをベースに容易に行なえる。また、動作状況などのステータス表示も充実しており、万が一障害を起こしたディスクや部品があっても、ユーザー自身で簡単に交換できる。
より高速に、より大容量に、そしてコストパフォーマンス面でもますます向上したVNXeの新モデル。サーバー統合や仮想化などを検討するSMBの企業であれば、最初に選択肢に入れたい製品といえる。
(提供:EMCジャパン)