このページの本文へ

編集者コラム 第5回

連載「山崎マキコのおとなの社会科見学」を見学する

2007年12月10日 00時00分更新

文● 村山剛史(月刊アスキー編集部)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

毎度毎度、各方面に多大なご迷惑をおかけしつつも、迷惑をかけた回ほど読者アンケートの反響が良いせいでお取り潰しにもならず、結果的に治外法権ページと化している「山崎マキコのおとなの社会科見学」。

今回はその舞台裏を思いつくまま書きたいと思います。

まず、取材先の案はたいてい編集担当の私が見つけます。

たまに山崎先生から、「ディズニーランド行きたい!」だの「キッザニアに潜入しよう!」だの、お前は連休前の小学生か、と突っ込まざるを得ない要求が届きますが、すべからく却下です。

次は取材依頼ですが、なにぶん普通の取材とは違って、少なくても半日を共にする密着ものですから、なかなか先方の了承を得ることは叶いません。

だいたいひと月に3、4社依頼させていただきますが、そのうち1社了承していただくのがやっとです。先月などは6社に依頼して全滅でした。

まあしかし、長時間にわたって社内に部外者が存在することになるわけですから、昨今の情報保護云々を鑑みた場合、リスク高しと判断されるのは致し方ないことだとも理解しています。

私も、編集部に一日密着取材したい旨の依頼が来たら、強硬に反対するでしょう。

これまで我々が行ってきたことを考えれば当然です。

絶対に承諾してはなりません。

まず風体からして怪しいです。空気を読まない服装の小説家と、ジャージ上下に坊主頭の自称ジャーナリストです。名刺交換してる暇があったら警備員を呼べ、という話です。

いったん社内に潜入しようものなら、社長室からトイレまであらゆる場所に入り込み、空気も役職も読まずに質問をふっかけ、しまいには魚眼レンズを装着したデジタル一眼レフカメラでそこら中を撮りまくります。

産業スパイでももう少し遠慮するだろうという勢いです。

某工場に乗り込んだときは、運転室どころか待機所のキッチンにまで入り込み、先方の広報さんに、「こんな長時間居た取材者はあなた方が初めてですよ」と言われました。眼が笑ってませんでした。しかも掲載直後に退職のメールが届きました。

ことほど左様に我々の密着取材はリスクが高いのです。

山崎先生と私に下手な知識がなくて命拾いした、という会社も数知れません。 「報道取材」の腕章(←ミシンで縫った自作)を付けつつ満面の笑みを浮かべていることもあって、みなさん相当機密っぽい場所まで案内してくれますが、そう簡単に心を許してはいけません。

油断をしていると、インタビュー中の部屋に社内ネットワークの全貌が記されている図面が張り出されていたり、確実に発表前の製品が転がっていたり、目の前のパソコンで●●●●●が起動中だったりするのです。

ですから最後にみなさんに言いたいのは、万が一、あなたの会社に「山崎マキコのおとなの社会科見学」の取材依頼が届いたならば、一も二もなくご快諾していただきたいということです。

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中