エプソンダイレクトの『Endeavor NA702』は、ビジネスからホームまで幅広いユーザーをターゲットとしたA4モバイルノートパソコンだ。Windows VistaはUltimate/Business/Home Premium/Home Basicの4つ、Windows XPはProfessional SP2/Home Edition SP2の2つと、B.T.O.メニューでOSを計6エディションから選択できるのが一番の特徴だ。マシンスペックもこれに合わせて米NVIDIA社のGeForce Go 7300を搭載し、Windows Vistaでのパフォーマンスアップを図っている。
オールインワンノートながら天板は耐圧加工 頑丈で飽きのこないボディー設計
ボディーサイズ(フットプリント)は幅315×奥行き260mmでA4オールインワンノートに位置する製品としては標準的な大きさ。天板部分の素材はマグネシウム合金で全面荷重試験150kgfに耐えうる堅牢性を確保し、フラットな構造のため、縦横を問わず鞄からの出し入れもしやすい作りになっている。
カラーリングは液晶周りがブラック、それ以外はシルバーグレーが基調で、強烈な自己主張こそないものの、オフィスの会議室でも自宅のリビングでも違和感のない落ち着いた雰囲気に仕上がっている。モバイルと呼ぶには少々大きなサイズに思えるかもしれないが、持ち運んでの利用も十分考慮されており、デザインもよく見かけるビジネスノートとは一線を画しており、時と場所を選ばず1台のノートをフルタイムで使いたいという人にこそオススメだ。
キーボードはスタンダードな6列タイプ。右側のAltキーとCtrlキーは小さめだが、それを除けばサイズ、タイピング感ともに良好だ。WindowsキーのロゴがVistaに合わせて変更されているのも“にくい演出”である。ポインティングデバイスはタッチパッドで、A4ノートの中ではサイズはやや小さめな部類。左右ボタンのクリック感があまりないことと、Windows Vistaモデルでは標準ドライバーでスクロール機能がサポートされていないため慣れるまではやや使いづらい感があった。特殊ボタンとしては、アプリケーション起動をファンクションキー上に4つと、オーディオ操作がパッド左下に4つを用意している。Windowsをシャットダウンしているときでも音楽を聴くことができる機能を備え、これらのオーディオボタンで操作が可能だ。ちょっと音楽が聴きたいというときには便利だ。
Core 2 Duoモバイル版を搭載により 最新デスクトップクラスのパワフルな性能
B.T.O.(Build to Order、カスタムメイド可能)マシンのためスペックはユーザーが購入時に選択できる仕様となっている。主要スペックでB.T.O.が可能な部分はCPU、液晶解像度、メモリー、HDD、光学ドライブなどだが、この中で注目したいのはCPUである。Intelのモバイル向けCPUの中から選択することになるが、最下位のCeleron M 410を除き、Core 2 Duoのモバイル版であるモデルナンバーが“T”から始まるモデルをチョイスできるようになっていることだ。このTシリーズのメリットは、TDP(熱設計電力)がデスクトップ版の65Wから34Wへと大幅に引き下げられていることにある。パフォーマンス面ではFSBが667MHz(デスクトップ用のEシリーズは800MHzもしくは1066MHz)という違いこそあるものの、熱設計が難しいとされるノートパソコンでは圧倒的に優位な位置にあるのは間違いないところで、さらにバッテリー駆動時間の延長も期待できる。
今回の評価機は2GHz動作のCore 2 Duo T7200が採用されている。このマシンで3DMark06を使って、3Dグラフィックス性能とCPU、それに加えバッテリーベンチマークテストを行なってみた(※1)。3D Mark06のスコアを見ると、3Dグラフィックス性能はかなり低めで最近のGPUでは一番下のクラスだ。これはWindows Vistaをチップセット内蔵グラフィックス機能よりは快適に、かつメインメモリーをビデオメモリーに取られすぎないようにあらかじめ設定されているためで、高速な3Dグラフィックス描画が求められるFPSシューティングなどのハードな3Dゲームをプレイするためではない、と認識しておきたい。
- バッテリーベンチマークテスト Vista上で1GBのWMV動画をループ再生。バッテリーが100%から5%になるまでの時間を計測。HDDは常に回転し、CPU使用率は約20%を維持。
ベンチマークテストの結果
3DMark06 | |
---|---|
Total | 467 |
SM2.0 | 171 |
SM3.0 | 152 |
CPU | 1677 |
一方、CPUのスコアはCore 2 Duo E6300に近づく高い数値が出ており、FSBの差(E6300は1066MHz)を考えればほぼ妥当な結果だ。ノートパソコンとしてはかなりのハイスペックと見ていい。最後のバッテリーベンチは、1GBのWMV動画をループ再生し続けるというややハードなものだが、バッテリー残量が5%になるまでに2時間13分を要した。このベンチマークテストは、B5モバイルノートの場合、3~4時間程度が一般的なレベルだが、画面サイズが大きい分、液晶駆動ドライバーやバックライトなどで消費電力が大きくなるA4ノートとしてはかなり持ちがいいと言える。
もちろん、ウェブブラウジングやメール、オフィスアプリでの文書閲覧や編集といった軽めの作業がメインであれば、3時間程度以上のバッテリー駆動が期待できそうだ。GeForce Go搭載モデルとしての3D性能にはやや期待ハズレな感も否めないが、CPUとバッテリーのパフォーマンスはかなりのものであり、3Dゲームをバリバリ遊びたいというホビーユーザー以外の多くのノートパソコンユーザーには十分な満足度が得られる製品である。
上記で紹介したほかにも、指紋認証によるパスワード入力やログイン機能、TPM(Trusted Platform Module)チップによる情報漏洩防止機能、Bluetoothによる無線通信機能の標準搭載など、最近のノートパソコンとして備えてほしい機能は一通りそろっている。価格はB.T.O.の最小構成(Windows XP Home Editionプレインストール)で11万9700円からだが、お勧め構成としては、やはりOSにWindows Vista、CPUにはクロックが低くてもCore 2 Duo、快適な操作のためにSXGA+表示の液晶ディスプレーとメモリー1GBが欲しいところだ。この構成でも約15万5000円前後で、Windows Vistaを快適に動かせる最新ノートとしてなかなかお手ころな価格と言えるだろう。Vistaの登場を契機にノートパソコンの買い換えを計画している人には、間違いなく魅力的な製品である。
Endeavor NA702の主なスペック | |
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CPU |
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チップセット | モバイルIntel 945PM Express |
メモリー | PC2-4200対応DDR2 SDRAM 512MB~1.5GB |
グラフィックス | GeForce Go 7300(128MB) |
HDD | 40GB~160GB(UltraATA/100接続) |
FDD | オプション |
光ドライブ |
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サウンド | Intel HD Audio |
ネットワーク | 1000BASE-T対応Gigabit Ethernet
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インターフェース | USB 2.0×4(左側面1&右側面3)、IEEE 1394(4ピン)×1、アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)、TV出力(S-Video×1)、オーディオ入出力(S/PDIF含む) |
拡張スロット | PCカード Type II×1(CardBus対応) 3 in 1メモリーカードスロット(SDカード/MMC/メモリースティック(PRO対応)) |
バッテリー駆動時間 | 約4.1時間(JEITA測定法準拠) |
サイズ | 幅315×奥行き260×高さ38.6(最薄部23.4)mm |
重量 | 約2.0kg(ウェイトセーバー装着時)/約2.1kg(光ドライブ内蔵時) |
OS |
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