バーチャルYouTuber事務所炎上騒動について

文●みずにゃん

2018年07月14日 20時00分

 アスキーをごらんのみなさま、はじめまして。みずにゃんと申します。普段はYouTubeやインターネット生放送のトレンドを追っかける活動をしております。今回ご縁がありまして、ASCII.jpで連載をさせていただくことになりました。

 とはいえ昨年夏に起きた、ヒカル氏・ラファエル氏・禁断ボーイズいっくん氏のVALUを舞台とした騒動のようなビッグイベントもなく、編集部様より示された締切日ギリギリまでどのネタでいくか、考えあぐねておりました。

 今回は、最近わたしが熱いと感じたバーチャルYouTuber事情についてお話をさせていただければと思います。

■市場活況の裏で問題も顕在化

 バーチャルYouTuber市場は活況です。今年4月にはグリーが100億円規模の投資を表明。カドカワが5月に公開した決算説明資料では「バーチャルYouTuber市場の活性化」がトピックスにかかげられるなど、業界は沸いております。

 一方、バーチャルYouTuberの増加によって事業譲渡を検討する悲運な企業も出てきております。

伸び悩むバーチャルYouTuberが身売り先を募集 運営会社「事業譲渡したい」 http://kai-you.net/article/53899

 バーチャルYouTuberが増えるにしたがい、視聴者はよりクオリティの高い動画を求めるようになり、制作側はより大きなコストを強いられるようになります。今後も同様に事業譲渡を検討したり、事業の再検討を迫られる企業は少なくないでしょう。

 最近では、制作サイドと企業・制作者同士のトラブルもあらわれてきました。

 代表的なものは、ライブ配信サイト「SHOWROOM」のインフルエンサー向け代理店を手がけるライズアースとバーチャルYouTuberのトラブルです。

■契約書の内容に不明瞭な点が多かった

 発端は、あるバーチャルYouTuberが5月18日にツイッターで告発した内容でした。

 ツイートによれば、同社の契約書は著作権や報酬について不明瞭な点が多く、事務所として契約する必要性を感じられなかった。同社には契約以前から不審な点があった。契約書は指摘したところ改正すると連絡を受けた、という内容でした。

 投稿は現在削除されていますが、投稿を受けてほかのバーチャルYouTuberも連鎖的にライズアースについてツイートを重ね、契約者たちは契約書の内容について改訂を求めている、などの情報が広がりました。業界の中でプチ炎上してしまった始末です。

 疑惑を受け、ライズアースは6月5日にツイッターで公式声明を出しました。

https://twitter.com/riseearth_inc/status/1003954123111141376

 なぜかテキストではなくiPhoneのメモアプリで書かれたような画像で出された声明によれば、契約書の「報酬」については以下のような変更をしたそうです。

 「前回契約書では、『両者間の協議の上定めた金額』ということになっていました。これは弊社の施策で報酬率がイベント結果等に応じて変動するようなシステムとなっており、実際所属するタレントの中で毎月報酬率を変動させていることから、このような表記になっておりました。今回指摘を頂いた事により、新規契約書では報酬率を明記しております」

 同じく、著作権については以下のような変更をしたそうです。

 「弊社が当初提示した契約書(案)では、SHOWROOM配信に関してのみの著作権に関する記載をしておりましたが、ご納得頂けなかったため、新規契約書(案)では、指摘を頂いたように変更しております」

 しかし声明を出してしばらく経った後、ライズアース公式サイト「タレント」ページからバーチャルYouTuber枠の記載は消えてしまいました。多くのバーチャルYouTuberがライズアースとの契約から撤退している模様です。

■誰がコンテンツの主役なのか考えなおす必要がある

 業界関係者に聞いた話では、ライズアースは昨年11月に登記されたばかりのスタートアップベンチャーで、代表もまだ20代前半、若さゆえの不器用さが目立ってしまったがゆえのトラブルだったのかなと思います。

 バーチャルYouTuberは海外に誇れる強力なIPコンテンツとなりうる存在であり、半ば中抜き業であるプロモーションや広告代理の立場からすると、コストを極力かけず収益をあげられるため企業が「青田買い」をしたい気持ちはわかります。

 しかし、企業側がクリエイター側の気持ちを考慮せずに搾取することばかり考えてしまうと、コンテンツの未来はしぼんでしまうように思えます。業界の発展のためには、誰がコンテンツの主役なのかを考えなおす必要があるのではないでしょうか。

 初音ミクが誕生して約10年が経ち、今もなお根強い人気を誇っている現状をかんがみますと、バーチャルYouTuberの未来はまだまだ明るいであろうと思います。また今後の業界の発展を祈りつつ、筆を置かせていただきます。

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