3000円ちょいのIoTプラグ「ミニスマートWi-Fiプラグ」を衝動買い

文●T教授、撮影● T教授、編集●編集部ハシモト

2018年05月16日 10時00分

「ミニスマートWi-Fiプラグ」は適価で動作も機敏なスマートプラグだ。Wi-Fiやキャリア回線を経由して、スマホから自宅の壁面コンセントに取り付けたミニスマートWi-Fiプラグの電源オン/オフができる

おそらくコンシューマー対象のIoT機器で日本市場で一番たくさん発売されているモノは、所有物とスマホとを連携させ、その両者が設定距離を超えたときに警報を鳴らし、貴重品の紛失を最小化する遺失物アラートタグだ。

そして、その次に多く見られるアイテムは、家庭の壁面コンセントにプラグインして、その先に繋いだ家電品への電源オン/オフをスマホからできる通称「スマートプラグ」と呼ばれるIoTデバイスだ。

スマホと連携するIoT機器はいろいろ登場してきているが、国内外のコンシューマ市場で数の多いのはスマートホーム系のアイテムだ

今回紹介するスマートプラグは、ネットワーク機器の老舗であるTP-Linkの「ミニスマートWi-Fiプラグ」という商品だ。3000円ちょっとで購入できる。

4月に本連載で紹介したプラネックスの国産スマートプラグである「スマソケ」は、クラウドサーバーで電力消費量を把握、分析、監視、管理することができた。

そして、契約ユーザーに対し、必要なレポートや時にはサーバー側からの自動再起動などの対処を行なえる法人向けサービスビジネスだ。

一方、TP-LinkのミニスマートWi-Fiプラグは、よりコンシューマユーザーにフォーカスしたシンプルな仕様の製品だ。

昨今の多くのスマートプラグの最大の特徴でもあるが、ミニスマートWi-Fiプラグも、Wi-Fiやキャリア回線を介し、遠隔地のスマホからの指示やスマートスピーカーとの連携で音声による操作を実現している。

コンパクトサイズで
「ミニスマートWi-Fiプラグ」

小さなパッケージ。3年保証が素晴らしい

パッケージにはミニスマートWi-Fiプラグ本体とかんたん設定ガイド、保証書が入っている

パッケージには、ミニスマートWi-Fiプラグ本体と、かんたん設定ガイド、保証書の3つが入っている。

国内のウェブショップなどで売られている並行輸入のスマートプラグ系商品は、海外製の3P(3極:2枚のプラグブレードと1本のアースピン仕様)のモノが多い。そのままでは日本の壁面コンセントには挿入できず、3P→2Pの変換アダプターを介さなければならない。

基本的な動作には問題ないだろうが、余分なアダプターの厚みでプラグの全長がかなり長くなり、そこに家電品のプラグを挿入したりすると全部で3階建て構造となってしまう。壁面コンセントに挿入した時に極めて突出した不安定なイメージなのであまりおすすめはしない。

2口壁面コンセントの1口だけを占有し、ほかのコンセントの邪魔をしないシンプルで小振りなデザイン。電源スイッチも側面の1個だけ。長押しの長さの違いで多機能を実現

プラグの反対側にはコントロールしたい家電のプラグを差す

ミニスマートWi-Fiプラグの使い方は簡単だ。直方体の少し大きな一口コンセントタップのような格好をした本体を壁面コンセントに挿入し、背面のコンセントには電源のオン/オフ操作をしたい家電品のプラグを接続する。

筆者宅の一般的なサイズの2口コンセントだが、ミニスマートWi-Fiプラグを差してももう一方の上のコンセントを邪魔しない

本製品もほかの多くのスマートプラグ同様、家庭内のWi-Fiルーター傘下にあるネットワークグループ内のスマホからの指示で、内部のスイッチ回路を物理的にオン/オフしている。

そのため、スマホにはWi-Fiルーター経由でミニスマートWi-Fiプラグを操作するためのアプリケーションを事前導入する必要がある。

筆者の「iPhone SE」に専用のアプリである「Kasa Smart」をダウンロードしてみた

まず最初に必要なのは、ミニスマートWi-Fiプラグのユーザーアカウント作成だ

しかし、iPhone SEでは最後のミニスマートWi-FiプラグとのWi-Fi接続で3回失敗。トラブルシューティングも効果なく断念した。個体差なのか不明

筆者は当初、「iPhone SE」を使うつもりで専用アプリである「Kasa Smart」をAppStoreからダウンロードした。サーバー側のユーザーアカウントの設定までは問題なく進んだが、肝心のミニスマートWi-Fiプラグとの接続が何度やっても上手くいかず、3回目で断念した。

改めてAndroidスマホである「HUAWEI Mate 10 Pro」にアプリを導入

端末選択画面でプラスアイコンをタップして、ミニスマートWi-Fiプラグを追加する

やむを得ず、専用アプリの導入はAndroidスマホである「Huawei Mate10 Pro」で行なった。Androidスマホでは何の問題もなくミニスマートWi-FiプラグとアドホックでWi-Fi接続できた。

今回の端末はミニスマートWi-Fiプラグなので、そのカテゴリーであるスマートプラグを選択

安全に関する重要な警告である遠隔操作開始同意文に同意しなければこれ以降の遠隔操作の設定に進めない

その後、安全ではない非推奨機器との接続や、それらに対する遠隔からの操作禁止事項に同意し、ミニスマートWi-Fiプラグに自分の好みの名前やアイコンを選択する。

最終的に、ミニスマートWi-Fiプラグが自宅内にあるWi-Fiルーターに接続できればすべての設定作業は終了だ。

インターネット経由でのミニスマートWi-Fiプラグ操作は遠隔操作をオンすることで実現する

Wi-Fiルーターに接続するとすぐにミニスマートWi-Fiプラグのアップデートがはじまった。アップデートが終了し、すべての準備が終了すれば、アプリの指示に従って遠隔からのスマホによるコントロールである端末設定の「遠隔操作」をオンにしておこう。

自宅のフロアランプをスマホでオン/オフしてみる

間違って端末名を「リビングルーム」なんてしてしまった。修正はできるので、いずれ「フロアランプ」に修正するつもりだ。その時はAlexaへの登録名も要変更だ

ミニスマートWi-Fiプラグに接続できるのは、一度セットするとステータスが変化せず、なおかつ物理的な電源オン/オフスイッチを備えていている家電製品が基本だ。

頭をひねって考えてみても、昨今、その手の家電製品がそれほどあるとは思えないのが、昨今のこの手のスマートプラグの活躍範囲が拡大しない要因の1つだ。

筆者宅で考えられるのは、リビングルームで夜間にだけ使っているフロアランプ。条件にミートする家電品の数少ない1つだ。

それでは、実際にスマホアプリで、ミニスマートWi-Fiプラグの先に接続したフロアランプの電源をオン/オフしてみよう。

実際にアプリを起動してみた。現在のフロアランプの状況を反映して「OFF」となっている

実際のフロアランプも消灯している

スマホアプリを起動し、アプリ導入時に命名した「リビングルーム」の画面を開くと、中央右側の丸い部分が「OFF」となっているので、現在は点灯していないことが分かる。実際のフロアランプも消灯状態だ。

スマホのアプリ上から電源アイコンをタップして「ON」にしてみた

ほんの少しのインターバルのあと、カチッという音がしてミニスマートWi-Fiプラグのスイッチが入り、フロアランプが点灯した

続いて、画面上の現在「OFF」の部分を指先でタップしてみると「ON」に変わり、すぐにフロアランプが点灯する。あくまで、同じWi-Fiルーターの下での指示なので、ほとんどタイムラグはない状態だ。

スケジュールで家電をオン/オフできる

イベント登録でミニスマートWi-Fiプラグのオン/オフを複数個登録実行できる

アプリでは、このようなマニュアルによる任意の操作以外に、今後のオン/オフのイベントを複数作成登録し、スケジュールされた自動オペレーションができる。曜日による繰り返しの設定も可能だ。

実際のケースではありえないが、1分おきにミニスマートWi-Fiプラグをオン/オフするスケジュールを作成してみた

実際にはこんな短時間でのオン/オフ操作はあり得ないと思うが、今回は実験のために、13時5分に現在点灯中のフロアランプをオフにし、1分後の13時6分にオン、また1分後の13時7分にオフ、そして最後に、13時8分にオンにするというかなり無駄なことをやってみたが、筆者宅のフロアランプはスケジュール通り、1分おきにオン/オフの動作を正しく繰り返した。

「おでかけモード」は開始と終了時刻を設定して、その間はランダムにミニスマートWi-Fiプラグをオン/オフするモードだ

画面の例では、日曜日の13時15分~17時までアウェイモードとなり、ミニスマートWi-Fiプラグがランダムにオン/オフを行なう。室内照明なら、在宅感をアピールできる

スケジュールによるオン/オフのカスタマイズ以外に「おでかけモード」という簡易な一発設定も用意されている。

これは開始時間と終了時間さえ入力設定すれば、その時間の間ずっとミニスマートWi-Fiプラグはランダムにオン/オフを繰り返すという動作を行なってくれる。もちろんスケジュール設定同様、曜日指定による変則設定も可能だ。

夜間だけ簡単にアウェイモードにするなら、日の入り、日の出を選択すれば、あとはおまかせ。もちろん曜日選択による繰り返しも簡単

また、アプリ導入時に指定したロケーション情報から、スマホユーザーのいる地域の「日の入り」と「日の出」の時刻を特定し、前述のランダムなオン/オフ処理を前提とした簡易な「おでかけモード」を実現してくれる。旅行などに行く時の夜間の在宅感を表現するのに便利なオプションだ。

一般的な家電製品のタイマー機能と同じ。ミニスマートWi-Fiプラグを●時間●●分後にオン/オフできる

もう1つの操作は、現在時刻から何時間何分後にミニスマートWi-Fiプラグの電源をオン/オフするというタイマー設定だ。

ミニスマートWi-Fiプラグは動作した時間のログをとっているので、稼働時間のレポートを常時見ることができる

これらの操作による、ミニスマートWi-Fiプラグの稼働時間のログも、本日、過去1週間分、過去1ヵ月分の単位で自動的に記録してくれる。

このような操作や設定は、ネット通信環境さえあれば、自宅を離れた遠隔地からのスマホ操作で可能だ。

ミニスマートWi-Fiプラグに対して、いつでも、どこからでも、画面タップによる直接操作、スケジュール、おでかけモード、タイマー設定など、すべての操作が可能だ。

しかし、自宅のWi-Fi傘下の同一ネットワークグループの時と比較すると、設定情報の取得や更新などに結構時間がかかり、それほど快適な操作性ではないだろう。

そのため、出先では、画面タップによる電源の直接オン/オフ程度ににとどめておくのがストレスがなくていいだろう。

Google、Amazonのスマートスピーカー連携もできる

最後に、昨今のこの手のIoTコンシューマ商品のお約束でもあるスマートスピーカーとの連携処理だが、今回は我が家にある「Amazon Echo」のスマートホームデバイスとして設定してみた。

Alexaで操作するには「TP-LINK Kasa」スキルを導入する

Alexaアプリのスマートホームでリビングルームと名付けた「ミニスマートWi-Fiプラグ」を紐づけする

サインインしてAlexaでミニスマートWi-Fiプラグの管理をできるようにする

設定はほかのスマートホーム系のデバイス同様、専用スキル「TP-KINK KASA」の導入とデバイスの追加、認証を行なえばすぐに、音声による電源オン/オフの操作が可能だ。

上の動画は実際に自宅のAlexaに発話して、ミニスマートWi-Fiプラグのスイッチをオン/オフし、接続したフロアランプを点灯/消灯してみた様子。Wi-Fiではなく、キャリア回線を使用した場合、点灯/消灯は時間的にかなり遅延する感じだった。

なお、筆者はミニスマートWi-Fiプラグに「リビングルーム」というちょっと変な名前を付けてしまったので、Amazon Echoへの発話でフロアランプを点灯させるには「Alexa! リビングルーム オン」と話しかけることになってしまった。

何度かやってるうちに長い名前を言うのが面倒になって「リビングルーム オン」の代わりに、意味不明の「リビングオン」と発話しても同じ動作を行なってくれた。

面白いのは、実際の電源オンやオフが実行されて、フロアライトが点灯/消灯してから、Alexaがなぜか遅れて「ハイ!」と言うことだ。

ミニスマートWi-FiプラグだけでIoTホームの実現はないので、さまざまなメーカーのIoT機器との連携が必要だが、メーカーを超えたシームレスな簡単操作にはまだ少し時間がかかりそうだ

ミニスマートWi-Fiプラグは安価で、設定も簡単、実際の動作も確実だが、やはりミニスマートWi-Fiプラグだけでは家庭のIoT化はほとんど進まない。

壁面に設置されたシーソー型スイッチでオン/オフする従来の天井灯や、リモコンでしか動作しないエアコンや扇風機、多くの音声映像系機器、そしてミニスマートWi-Fiプラグでも遠隔操作禁止とされている電気ストーブなどの発熱系の家電製品。

考えればミニスマートWi-Fiプラグで操作できる家電品よりも操作できない家電品の方が圧倒的に多そうだ。

実際には、ミニスマートWi-FiプラグとそのほかのIoT系コントローラーとの多様な組み合わせで初めて理想のIoTホームは何とか実現しそうだ。

しかし、あらかじめ決めた共通規定や規約で動作するはずという前提があっても、実際に多メーカーの商品が入り乱れて動作する世界となれば、“理論的にできる”という世界と、“簡単で便利”な世界とはまだまだ大きな隔たりがありそうだ。

急いで自宅を出てしまったが、電気ストーブの電源は切っただろうか? ホームこたつの電源は? ……と気になることはどうしてもポジティブな使い方ではなく、ネガティブな懸念の確実な打ち消し処理をやりたい時が多そうだ。

しかし、それらの家電製品は安全性の面から遠隔操作禁止の接続アイテムだ。

さて、ミニスマートWi-Fiプラグを筆者はどんなことに使うか、これからゆっくりと考えてみるつもりだ。

今回の衝動買い

アイテム:
ミニスマートWi-Fiプラグ(HS105)

価格:ヨドバシ・ドット・コムにて3320円で購入


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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