Amazon「Fire TV Stick」にBluetoothデバイスを繋いだらPCが不要になった

文●四本淑三

2018年04月22日 12時00分

「Fire TV Stick」に、Bluetoothでいろいろつないでみたら、すごく快適になった、というお話。AmazonのFire TVシリーズは、Wi-Fiでインターネットに、HDMI端子をテレビに接続して、ネットの動画コンテンツをテレビで観ようというもの。言わずと知れた、便利な製品。

パソコンなくてもいいのでは

最近はテレビがなくても特に困らない。ドラマの見逃し配信や、スポーツの中継はネットでもやっているし、あの「ポプテピピック」が地上波で放送されていたのも最近知ったくらい。いまテレビがどう使われているのかイメージできず、こうしたデバイスのありがたみも、実感として理解できていなかった。

ところが、ひょんなことから35年ぶりに実家へ帰ることになり、居間に鎮座するテレビと久々に対面。そこには深夜に目覚め、ドラマだか通販番組だかわからない、謎の電波を受信してヒマを潰す不憫な親の姿もあった。

そこで親孝行な私は「Fire TV Stick」を買い、テレビに取り付けた。もっとスペックが高い「Fire TV」にしなかったのは、うちのテレビが小さなブラビア(KDL-32W600A 2013年型)で、4K対応ではなかったからだ。

これで深夜の寂しい時間帯でも、もっとおもしろいネットのコンテンツが見られる。そんな思惑どおり、 Amazon Primeビデオ に入っていた「孤独のグルメ」に親はハマった。めでたしめでたし。

オフィシャルに提供される各種動画サービス以外にも、ミラーリングが便利に使えている。スマートフォンのちょっとした画面、例えば行きたい場所の地図や、買いたいものの写真を、テレビで家族にプレゼンできる。私はiPadを常用しているが、iOSの場合はAirPlayだって使える。大きな画面でものを見るという目的に限れば、スマホとテレビがあれば、もうパソコンはいらないのではないか。

と、言い切りたいところだが、実は不満もある。そのひとつが、文字入力の非人間性だ。

Fire TVにキーボードが必要な理由

Fire TVのテキスト入力画面は、1980年代のファミコンと大差がない。かなの場合は、画面に並んだ50音を、リモコンの十字キーで選択していくというスタイル。

リモコン自体はとてもよくできている。円形の十字キーに、真ん中が決定ボタン。シンプルだが、これでなんでもできる。しかし、限られた動画を受動的に見るだけなら良くても、星の数ほど動画のあるYouTubeで検索しようとすると、相当にストレスフルだ。

なんだかんだ言って、YouTubeはこの端末のメインコンテンツだ。YouTubeのアプリを巡ってAmazonはGoogleと対立し、昨年末にはFire TV/Stick 版のYouTubeアプリを引き上げられた。しかしウェブブラウザーの「Firefox」「Silk browser」でYouTubeにアクセスする方法でAmazonは対抗。YouTubeはそれくらい重要なのである。

ついでに言うと、Amazonはコンペチターである「Chromecast」を自社取り扱いから締め出したこともあった。取り扱いを再開した今でも、自社製品とChromecastを比較し、うちの方が倍も優れているとAmazonのFire TV / Stick 販売ページで主張している。クラウドジャイアントのくせに、みんな大人げない(画像アンダーラインは筆者による)。

さて、話を戻してYouTube検索問題。Fire TV/Stickは、リモコンの内蔵マイクを使った音声入力もウリだが、これは基本的にAmazonビデオやプライムビデオなど、Amazon関連コンテンツの検索専用。YouTubeをはじめとする、その他サードパーティーのサービスには使えない。

というわけで、Bluetoothキーボードの出番である。

Bluetoothで問題解決!

Amazonはほとんどウリにはしていないが、Fire TV/StickにはBluetoothの接続機能があり、スピーカー、ヘッドフォンのような音響機器、キーボードやマウス、ゲームコントローラーといった入力装置も接続できる。これを使わない手はない。Bluetooth接続は、ホーム画面上右隅の「設定」メニュー以下にある。

私がキーボードとしてつないだのは「Happy Hacking keyboard Professional BT」の英語版。上下左右の矢印キーは、そのままリモコンの十字キーに。決定はReturn、前の画面へはEscで戻れる。このあたりの操作は、リモコンより速くて快適だ。

もちろんキーボードを使うと文字の入力も速い。FirefoxでYouTubeを開いている場合、検索入力のフィールドにカーソルが来ている状態で、Enterキーを叩くとかな漢字変換ウインドウが開く。変換効率はあまりよろしくないが、ここで長い文章を書くでもなし、検索用途ならばまったく文句ない。これで問題解決!

ついでにiMacのトラックパッドもつないでみたが、平らな面がないと使えないので、ソファーに寝そべった状況ではリモコンの圧勝。

一方、Bluetoothスピーカーはおすすめできる。見ている人の近くに置けるので、テレビ内蔵のスピーカーと違い、とても聞きやすい。深夜ならBluetoothのヘッドフォンやイヤフォンも使える。これも使わなければ損だ。

強いて言えば、不満がもう一つある。テレビの見逃し配信に対応するアプリが本体側にないこと。パソコンやスマートフォンでは見逃し配信をサービスしているGYAO!も、Fire TV/Stick版には見逃し配信のメニューがない。仕方なくGYAO!のスマートフォンアプリから、AirPlayで「孤独のグルメ」シーズン7をストリーミングしている。これ、一発でできるようにならないものだろうか。関係各所のみなさん、ぜひご検討を。

四本 淑三(よつもと としみ)

北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。

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