世界最小4G LTEスマホ「Jelly Pro」(技適取得版)を衝動買い

文●T教授、撮影● T教授、編集●編集部ハシモト

2018年02月28日 12時00分

サイズがどんどん大きくなる一方のスマホワールドに久し振りに登場した極小超軽量4G LTEスマホ「Jelly Pro」

Kickstarterで評判の世界最小4G LTEスマホという「Jelly Pro」の技適マーク取得モデルを衝動買いした。

今年になって技適を取得し、日本国内でも大手を振って使えるようになった。もちろん筆者は発売日に速攻で衝動買いした。

海外版は2017年から、国内版もすでに多くのメディア上で紹介されているので、詳細スペックなどは文末にまとめるとして、ここではおもに使い勝手やパーソナルな第一印象をお届けしたい。

極小スマホ「Jelly Pro」のパッケージを開けると
……バッテリーはどこ!?

やはり、まず驚くのはパッケージを開けて最初に眼に入るそのコンパクトなサイズだ。

昔のケータイ電話華やかし頃には、何種類もの小さなガラケーを購入していたが、スマートフォンの登場と製品のグローバル化でスマホは毎年サイズが大きくなって行くモノという諦めの感覚があった

Jelly Proはその角ばっていないソフトで丸い形状が最高なのは、何より手のひらで持ってクルクルと回している時の感覚だ。

この感触は本連載で2017年9月に紹介した超薄型クレカサイズの「Niche Phone-S」を大きく超えるものだ。

開けにくいスマホの背面フタを開ける“三角オープナー”が付属する、楽しい極小スマホ

三角オープナーを使って角の溝からスマホの裏ブタをこじ開ける

パッケージから出てくる本体以外の付属品は、充電用のmicroUSBケーブル、スクリーンプロテクトシール、ユーザーガイドと保証書、そして普通のスマホではまずお目にかかることの少ないギターピックのような“三角オープナー”だ。

いや、一番驚いたのは、パッケージの中には一番大事なバッテリーが見当たらなかったことだ。

Jelly ProのようにSIM用のトレイスロットが側面にないスマホは裏ブタを開けてSIMをセットするのが一般的だ。

今回もJelly Proの側面下部にある溝に三角オープナーの薄い先端を押し込み、ねじって裏ブタを慎重に剥がす作業が最初だ。決して裏ブタの取り外しは簡単だという訳ではないが、丁寧にやれば本体や裏ブタを傷つけることはない作業だ。

充電池が見当たらないと思っていたら、はじめからビニール袋に包まれて中に入っていた

裏ブタを開けると、驚いたことにパッケージ内で見当たらなかったバッテリーがビニール袋に入ったまま、すでに内部の定位置に入っていた。

極小スマホにも関わらず、nanoSIMスロットが2個、microSDカードスロットが1個と機能性では極めてリッチ

nanoSIMとmicroSDカードをセットしたらスロットを閉めて、上からバッテリーを装着する

ひとまずバッテリーを取り出すと、そこに3つのスロットが見える。nanoSIMスロットが2個、そしてmicroSDカードのスロットが1個だ。

まず端っこの一番大きなスロットに外部記憶装置としてのmicroSDカードをセットする。続いてその隣のnanoSIMスロット1にほかのスマホで使っていたFREETEL(現 楽天モバイル)のnanoSIMをセット。その上から先ほど取り出したバッテリーをビニール袋から取り出して取り付ければ終了だ。

裏ブタには小さな爪がたくさんある。本体と結合するので爪を折らないように

裏ブタを閉める時も小さな爪を潰してしまわないように注意してJelly Proの下側からパチパチとはめていけば簡単だ。

モバイルルーターとしての活用もアリ

充電が終わっていれば、まず起動してソフトウェアの設定に入る

充電を終え、早速起動してみた。筆者はいつもモバイルキャリアの設定はとりあえずパスして、まずWi-Fiだけでユーザー設定をやってしまうので、今回もいつも通り行なった。

Wi-Fiのパスワード設定で初めて遭遇する、超スモールなQWERTYキーボードに一瞬ひるむが……実際に入力してみると意外にできる

ひとまずWi-Fi環境だけでほとんどの設定が終わったので続いてモバイルの設定

しかし、最初に入力する自宅Wi-Fiルーターのパスワード入力時に、久し振りに見た極めて小さなQWERTYキーボードに面食らってしまった。

普段から6インチクラスのスマホを使っていると、このキーボードサイズには挫けてしまう可能性がある。特に老眼の兆候のある人にはQWERTYキーボードでの文字入力はなかなか大変そうだ。

しかし、昨今は音声入力もあるし、常時ピンチアウト大前提の超小型ビューワーとしての使途限定使用も悪くはないだろう。

FREETELのAPN設定は用意されていないのでまたQWERTYキーボードを使って自分で入力して登録する。益々極小キーボードに慣れてくる

通信キャリア独自のAPN設定は最初からいくつか設定が用意されているが、残念ながら楽天モバイル(旧FREETEL)の設定はなく、またしても自分でミニチュアキーボードを操って入力することとなった。何度かAPN入力項目を間違ったり、入力後の更新記憶を忘れたりしたお陰でキー入力にも慣れてきた。

Jelly Proはテザリングも簡単設定できるのでラップトップPCの極小モバイルルータとしても使える

もちろんJelly Proは形こそ小さいが4G LTE通信のできる完全なスマホなので、高速回線を利用したWi-Fi及びBluetoothテザリング通信も可能だ。

WAN回線を持たないラップトップPCでモバイルルーター代わりに超小型のJelly Proを活用することもできる。

昨今の大型で超高解像度ディスプレーのスマホスペックと比較してしまうと、2.45インチ、240×432ドットのディスプレーなど、数値だけを眺めると極めて見劣りしてしまう。

手の中に軽く収まってしまうコンパクト感は何物にも代えがたい魅力だ

しかし、小さなスクリーンに大型スマホと同じ壁紙が表示された途端、そんな些細なスペックよりも感動がその先に飛んで行ってしまう。

SNSにアップする程度なら800万画素カメラで十分

楽天モバイル(ドコモSIM)を使ってる場合はVOLTE 4Gと表示される

nanoSIMの設定も終了したので、さっそく当コラムにChromeでアクセスしてみた

前述したように、筆者はドコモ系のMVNOである楽天モバイルのnanoSIMを使用しているので、スクリーンの最上段には「DOCOMO VOLTE 4G」と表示される。さっそく使い勝手を見てみようとChromeブラウザーを起動し、当連載を表示してみた。

PC表示では、Jelly Proじゃなくても詳細過ぎて見えない部分が多いはずだ

スマホ表示で見るとほとんど問題なく読み取ることができる

もとより高解像度PC用の画面を2.45インチ、240×432ドットの小さなスクリーン上に表示すると、ほとんんどPDFのサムネイル画面のようなイメージになってしまう。しかし、スマホ用の画面を表示すれば十分実用範囲だ。

Amazon配達中メールも標準の状態では読みずらい部分もありそうだ

ピンチイン、ピンチアウトもスムースなので適時使えばまったく問題なかった

Amazon.co.jpからの配達中メールをGmailアプリで見る時も必要に応じてピンチアウトして拡大すれば十分に使える。ピンチイン・ピンチアウトの処理速度もストレスはない。

6インチ、2160×1080ドットディスプレーの「HUAWEI Mate 10 Pro」(左)と、2.45インチ、240×432ドットのJelly Pro(右)。感動の種類が異なるが甲乙つけがたい

普段は、Leicaとの共同開発がウリの「HUAWEI Mate 10 Pro」を使っている筆者だが、普通サイズのスマホのカメラもすでに1000万画素を軽く超える時代になった。

800万画素のメインカメラもSNS用途には十分だ。サムネイルもそれなりだ

拡大画像もスムース操作でクオリティーを保っている

我が家の愛犬「Bobby」をJelly Proの800万画素で撮影してFacebookにアップロード。事後にタイムラインをHUAWEI Mate 10 Proで見てみた。満足できる撮影結果だ

少しスペック上は見劣りするJelly Proの800万画素のメインカメラも、SNSを対象に考えた場合は十分な画質だった。SNS上にアップロードした撮影写真は前述のHUAWEI Mate 10 Pro画面上で見ても十分に価値ある品質だ。

Bluetoothキーボードを組み合わせれば入力も快適

USB OTGでの外部キーボード接続は無理だったが、Bluetooth接続でキーボードを接続してみた

Jelly Proで1つだけ残念だったのはUSB OTG(On-The-Go)のサポートがないことだ。それゆえ、OTGケーブルを接続してJelly Proを超小型PCとすることができない。

しかし、外付けキーボードだけであれば、Bluetooth対応のキーボードを無線接続することで、Eメールなどのテキスト入力ワークロードの大幅な軽減になりそうだ。

あまりに小さなJelly Proの手前にあっては、コンパクトなはずのThinkPad TrackPointキーボードも異常に大きく見える

TrackPointでカーソル操作を行ない、標準キーピッチのキーボードでATOKを使ってメールを書いてみた。表示画面のサイズが小さいこと以外は超快適だ

試しにBluetoothをサポートしている「ThinkPad TrackPointキーボード」をJelly Proに接続してEメールを送ってみたが、2.45インチ、240×432ドットの極端に小さな画面上でもTrackPointの極小カーソルは意のままに動作し、文字入力もJelly ProにインストールしたATOKのおかげで快適そのものだった。

全部で600g少々。出張時“PCキーボード利用の快適入力スマホ”としては合格だ

悪ノリで、出張時の“PCキーボード利用の快適入力スマホ”としてJelly Proを想定してみた。持ち物はCPU+ディスプレーとなるJelly Pro、スマホ用折り畳みスタンド、ThinkPad TrackPointキーボード、充電用microUSBケーブル、薄型の2420mAh USBモバイルバッテリーの合計でもたったの608gだった。

操作性と視認性、バッテリーの持ちが弱点

Jelly Proのような超小型のスマホの場合、基本的に問題点は3つ。1番目は超小型サイズゆえの大人の指先での操作性。2番目は超小型サイズゆえの小さなスクリーン上での視認性。そして3番目は超小型サイズゆえのバッテリーの持ちだ。

1番目の解決方法は、本体での入力を極小化して主にビュワーとして利用するか、入力が多いEメールなどでは外付けキーボードを使用する。

2番目の解決策は、スクリーンを臨機応変にピンチイン・ピンチアウトすることで回避する。

3番目の解決策はUSBモバイルバッテリーを常時持って“空中給油”することだろう。

気になるバッテリーの持ちだが、最高に画面を明るくして使ってみた

使用可能時間は7時間くらい。感覚的なものと合致していた

実際の内蔵バッテリー(950mAh)の持ちだが、比較的バッテリーを食うディスプレーを常時最高に明るく設定して、スクリーン内蔵ユーティリティーでは7~8時間という感じだった。省電力モードを使えばもう少し駆動時間を伸ばせるかもしれない。

一般的に大きなサイズのスマホが主流の現代では、小さいと弱点が目立つが、Jelly Proは超小型サイズにも関わらずnanoSIMスロット2個に加えて、昨今のスマホではなくなりつつある256GBまでのmicroSDカードを扱えるスロットが1個サポートされている。

USBケーブルでパソコンと直結して大きなデータのやり取りができるのは便利だ

microUSBケーブルでJelly Proとパソコンを接続することで、パソコンとJelly Proとのデータのやり取りも極めて簡単だ。

ガラケー時代の遺産的ストラップを便利に使える本体フック付きだ

さらにうれしいことに、小さなJelly Proは携帯ストラップのフックが本体内部に用意されている。

またしても三角オープナーの力を借りなければならないが、裏ブタを外しさえすればガラケー時代の懐かしいチープなストラップを簡単に取り付けられる。

工夫を楽しめるウルトラ・ガジェット

ちょっとクラシカルなデザインのJelly Proは古い腕時計ともぴったりだ

Jelly Proは、どこでも持ち歩ける固定電話機型スマホ「ホムテル3G」と同様、スマホワールドの一翼を担う“どこにでも入る極小超軽量4G LTEスマホ”だ

Jelly Proは久し振りにスマホワールドに登場した極小4G LTEスマホのウルトラ・ガジェットだ。

リッチでハイパフォーマンスのスマホに慣れた身には、小さいがゆえにいろいろ我慢したり工夫を凝らさないと同じようには使えないかもしれないが、これほど工夫の楽しいスマホも久し振りだ。

すでに大人気なのか、本来なら1万5000円でお釣りがくるJelly Proだが、今はプレミア価格になっているウェブ通販サイトも多い。

国内で125ドル(1万3000円程度)近辺で見つけたら迷わずポチるべきアイテムだ。

Jelly Proのスペック
本体サイズ 幅43×奥行き13×高さ92.4mm
重量 60.4g(バッテリー込み)
カラー スペースブラック/スカイブルー/パールホワイト
OS Android 7.0
CPU クアッドコア 1.1GHz
メモリー 2GB
ストレージ 16GB
バッテリー 950mAh
ディスプレー(解像度) 2.45インチ(240×432ドット)
カメラ(メイン/サブ) 800万画素/200万画素
ビデオ 1080p
SIM デュアルスロット(nanoSIM×2)
microSD 1スロット(最大256GB)
Wi-Fi IEEE 802.11a/b/g/n
Bluetooth 搭載(Ver4.1)
GPS 搭載
FMラジオ 搭載
充電端子 microUSB

今回の衝動買い

アイテム:
Jelly Pro

価格:アマゾンにて約1万5000円で購入


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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