このページの本文へ

仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第60回

生成AIに“本気”なMSが進める「Copilot for Microsoft 365」のアップデート

2024年05月14日 09時00分更新

文● 阿久津良和 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Microsoft 365 Apps(Office 365 Apps)」に関する話題を紹介する。今回は「Copilot for Microsoft 365」に注目した。

 マイクロソフトのCopilotに対するリソース投資は「尽力」という表現が当てはまる。本稿はCopilot for Microsoft 365に限定するが、同社はコミュニティハブ公式ブログも開設。未契約者へのアピールと共に、契約済みのユーザーに対しても利便性が向上する手法を共有させるなど、多様な角度からCopilotの利用をうながしている。活用例を紹介する「Copilot Lab」はその最たるものだ。

Copilot Lab、Microsoft 365 Apps別の活用例を紹介している

2月末に公表されたCopilot for Microsoft 365のアップデートをチェック

 今回は公式ブログに掲載された2本の記事を振り返りたい。2024年2月29日(現地時間)に公開された記事では、直近のCopilot for Microsoft 365のアップデートを紹介している。

 まずは前述したCopilot Lab経由のプロンプト共有機能だ。チャットに入力するプロンプトの内容が出力結果を左右するのは周知のとおりだが、プロンプトをWebベースで共有する機能である。マイクロソフトの説明によれば今夏までにMicrosoft 365 Appsからも利用可能とあるが、ノートブックアイコンからの呼び出しはMicrosoft 365 Appsのバージョン2402でも確認できた。ここに共有機能が加わるのだろう。

Copilot Labによるプロンプトの共有

ノートブックアイコンから呼び出したプロンプト管理ページ

 Microsoft 365のモバイルアプリがCopilotに対応したが、すでにCopilotアプリが存在するので割愛して、「Microsoft Forms」のCopilot機能を紹介する。ご承知のとおりアンケートやイベントの出欠確認などに用いられるMicrosoft Formsだが、煩雑なのが質問項目の作成。ここにCopilot for Microsoft 365を使用すると、プロンプトに基づいた質問や提案が提供され、利用者は必要に応じて項目の修正や可否を選択すればよい。

Microsoft Formsに現れたCopilot for Microsoft 365

「フィットネスセンターの受け入れフォームを作成して」で生成した結果

 「OneDrive for Web」にもCopilot for Microsoft 365が加わる。公式ブログとMicrosoft 365 Roadmapの説明によれば、Microsoft 365 Appsの各ドキュメントファイルやHTMLファイルの情報取得が可能になるという。ファイルの要約情報を事前にインデックス化し、案件内容や顧客名、編集者名などを用いて検索を実行するのだろう。長年PCを使っている方々であればファイル整理は欠かせない作業の一つだが、ファイル名だけではたどり着けない検索の容易化が進むかもしれない。

OneDrive for WebのCopilot for Microsoft 365機能。諸条件を付与してテーブルを作成したファイルを検索している

 「Word for the Web」で作成した内容を共有する際に、ドキュメントの概要をCopilot for Microsoft 365が生成する機能も加わる予定だ。ちなみに2024年後半にはデスクトップやモバイル版のMicrosoft Wordにも同機能が加わるという。作業負担の軽減にAI(人工知能)を用いる好例だ。

Word for the Webでドキュメントを共有する際の概要をAIが生成する

 「Microsoft Stream」のCopilot for Microsoft 365機能は、動画の概要と分析機能である。全体を視聴せずとも知見を得るためのポイントが提案され、業務効率の改善につながるはずだ。

Microsoft StreamのCopilot for Microsoft 365機能

 他にもMicrosoft 365 Webにおける作成支援機能や、Microsoft Outlookに対するメール下書き文章の作成、Microsoft TeamsのチャットでCopilot for Microsoft 365が使用可能になる。IT管理部門の方なら、Microsoft 365管理センターに加わった使用状況レポートも興味深いだろう。

Microsoft 365管理センターに加わる使用状況レポート

Copilot for Microsoft 365の活用に役立つ「Copilotサクセスキット」

 もう一つ紹介したいのが「Copilotサクセスキット」を紹介する記事である。Copilotサクセスキットは、Copilot for Microsoft 365を使いこなす上で、役立つリソースをまとめたパッケージだ。現時点では、コンテンツ自体の日本語化はされていないが、「リーダー向け実装概要ガイド」「技術準備ガイド」「シナリオライブラリー」など、現場の利用シーンに応じたドキュメントが集められている。

Copilotサクセスキットの一例

 このようにCopilotに関する資料作成やコンテンツ提供に注力するMicrosoftだが、今後も継続して、何らかの情報提示やアップデートが施されるだろう。そして、5月21日(米国時間)からはMicrosoft Buildが開催される。Copilotに関する発表も含まれるはずだ。

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ