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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第59回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年11月26日~12月2日

企業の7割が「クラウドファースト戦略」、ノーコードツール選定のポイント3つ、課長は孤独か?、ほか

2022年12月05日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2022年11月26日~12月2日)は、国内企業のクラウド戦略、コンテナ使用動向、課長職の意識、ローコード選定における3つのポイント、年末年始のお金の使い方についてのデータを紹介します。

■[クラウド]クラウドファースト戦略は71%、IT予算は従来型からクラウドへ(IDC Japan、12月1日)
・企業の71%が「クラウドファースト戦略」
・クラウドファーストを掲げる理由は「DXやデータ活用」が上位に
・プライベートクラウドは「ユーザー部門業務効率化」、パブリッククラウドは「コスト削減」が理由の上位に

 クラウドを利用中の国内企業387社(従業員100人以上規模)への調査をまとめた国内クラウド需要調査より。調査は2022年9月~10月に実施した。ITシステムの刷新や新規構築時にクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト戦略」をとる企業が71.1%となり、従来型からクラウドへIT予算がシフトしていることがわかった。パブリッククラウドファーストの企業はその理由として、「コスト削減」「IT部門の業務効率化」などが、プライベートクラウドファーストは「ユーザー部門の業務効率化」「セキュリティ」が上位に挙がった。

さまざまなクラウド戦略の割合と、その戦略をとる理由(出典:IDC Japan)

■[コンテナ]サポート対象外のKubernetesを使用するコンテナ顧客比率は30%以上(Datadog Japan、12月1日)
・コンテナの管理とデプロイにおいてKubernetesを使用する顧客企業は50%近くに
・30%以上が潜在的な脆弱性のある旧バージョンのKubernetesを使用
・コンテナ顧客におけるサーバーレス・コンテナの利用比率は36%に

 Datadogの顧客が運用する15万以上のコンテナ使用データから作成した「コンテナの実態調査」より。半数近くの企業がコンテナ管理とデプロイにKubernetesを利用しているが、サポートされていないバージョンのKubernetesを使用する顧客が50%。また30%以上が潜在的脆弱性があるサポート対象外のコンテナを稼働しているという。コンテナ顧客におけるサーバーレスコンテナサービスの利用比率は、2020年の21%から、2022年には36%に増えた。

Datadog顧客企業の30%以上のホストで旧バージョンのコンテナが動いている(出典:Datadog

クラウドベンダーが提供するサーバーレスコンテナ環境の採用が増えている(出典:Datadog

■[人事]課長は精神面での相談が難しい? 61%が「精神的負担大きい」(タバネル、12月1日)
・最大の相談相手は直属の上司。業務の相談は63%、精神面の相談は27%
・61%が課長の仕事は「精神的負担が大きい」
・昇進前の方が「仕事の楽しみ」(63%)「仕事のやりがい」(53%)を感じていた

 従業員100人以上規模の企業で課長クラス、30~49歳の男女500人に尋ねた。課長は直属の上司が相談相手になっていることが多いが、業務面での相談はできても、精神面での相談はできていない現状が浮き彫りになった。仕事の負担については「精神的負担が大きい」(61%)、「時間的負担が大きい」(60%)などの課題が挙がる一方で、「やりがいを感じている」も52%となった。昇進前と比較したところ、「成長スピード」は昇進前が66%、昇進後は34%、「成長意欲の高さ」は昇進前65%、昇進後35%となった。同社では「内面での充実感が足りていない」と分析している。

課長の相談相手は、直属の上司がトップ。業務の相談(灰色)は63%ができるが、精神面での相談(青)は27%しかできていない(出典:タバネル)

昇進前(濃い青・青)と昇進後(薄い茶色・茶)を比較したところ、成長スピードで最も差が出た(出典:タバネル)

■[ローコード]2025年に新規アプリの70%がノーコード技術を用いて開発、ツール選定のポイントは?(ガートナージャパン、12月1日)
・2025年には新規アプリケーションの70%がノーコード技術で開発される
・ノーコード技術選定では、採用目的とビジネス成果を明確に
・自動コーディング・ツールだけではない、幅広い機能を多角的に捉え用途に合わせる

 同社のレポート「ローコード開発ツールの選定前に考慮すべき3つの観点」より。DX推進が求められる一方で、ITリソースやスキル人員が不足していることからローコード開発ツールの採用が進んでいる。ガードナーでは「2025年には企業が開発する新規アプリケーションの70%がノーコード開発技術を用いる」と予測。そのうえで「採用する目的とビジネス成果を明確にする」「具体的なユースケースを検討し、選定上の重点を見極める」「アプリケーション自動生成以外の幅広い機能を多角的に捉え、用途に合った適切な範囲で活用する」の3点に注目してツールを選定すべきとアドバイスしている。

ローコード開発ツールは自動コーディングツール以外の側面もあり、多面的に捉えて用途に合わせた範囲で活用するようアドバイスしている(出典:ガートナー)

■[生活]年末年始のお金の使途は「外食」が52%、ショッピングは実店舗重視の傾向(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル、12月2日)
・年末年始の買い物は実店舗が81%、オンラインは61%
・ソーシャルコマースの利用、世界平均は19%、日本は3~5%と著しく低い傾向
・年末年始の旅行で「以前ほど新型コロナ感染を心配していない」は52%――世界より慎重な傾向

 日本を含む7カ国で年末年始の過ごし方について調べた。調査期間は10月、米国2000人、日本を含むその他の国は1000人が対象。日本では90%が「年末年始は家族と過ごしたい」と回答(世界平均は87%)。また日本の回答者の52%が、年末年始のお金の使途として「外食」を挙げた。もらって嬉しいギフトは「グルメ食品」(38%)、「現金」(35%)、「旅行体験」(34%)など。買い物については、日本の消費者は実店舗での買い物を重視する傾向が強く、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアを媒介した買い物は世界が19%(Facebook、Instagram、ともに)であるのに対し、日本は3~5%と低かった。

日本では、年末年始のお金の使途として「外食」が最多(出典:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル)

年末年始の旅行で新型コロナ感染への心配を聞いたところ、日本は7カ国で最も慎重だった(出典:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル)

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