アクティブ・ノイズ・キャンセリング(ANC)機能は音楽を聴く用途だけではなく、リモート会議で話す時にも使われることが多い。コロナ禍の現代において需要が高まっている機能と言える。
「Clear Buds」はワシントン大学の研究者たちが開発した音声の伝えやすさに焦点を当てたANCである。目標としているのは、リアルタイムで背景雑音を打ち消し、周りで他人が話している環境でも、発言している自分の声だけを聞き取りやすく分離することだ。
Clear Budsはソフトウェアとハードウェアを組み合わせたシステムで構成されている。ソフトウェアはiPhoneなどのスマートフォン上で動作し、ハードウェアは完全ワイヤレスイヤホンに組み込まれる。Clear Budsの技術的なポイントは、左右のイヤホンがそれぞれ別に動作するのではなく、両方のユニットに届いた音をスマートフォン上のニューラルネットワーク上で処理する点だ。これによって空間的に背景ノイズを処理できるという。
「AirPods Pro」とClear Budsを比較したデモがアップロードされているので聞いてみると、AirPods Proでは背景で鳴っている掃除機の音のうち中高域部分が残り、近くで会話している友人の声も入っている。これに対して、Clear Budsは見事に話者の音声のみが録音されている。また、ほかのデモでは、隣に座った友人の声が完全に消えてしまうのが面白い。音の方向性など空間的に音を処理しているのだろう。
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