佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第127回
BluetoothのLE Audioからブロードキャスト機能が独立、公共の場で活躍しそうな「Auracast」に
2022年06月13日 13時00分更新
Bluetooth SIGは6月8日付のブログで新しいオーディオ共有技術「Auracast Broadcast Audio」を発表した。「Auracast」の部分は商標だ。
これは「LE Audio」発表時に「Audio Sharing」として紹介されていた機能だ。スマートフォンやPCなど単一の機器から近傍のスピーカーやイヤホンなど多数のデバイスに対してブロードキャスト(一斉配信)する機能である。受信側の数は無制限である。ちなみに従来のBluetoothではA2DPを用いた音声通信において1:1通信の制限があった。
ユースケースとして、自分が聞いている音楽を近くにいる友人と共有すること、通常無音になっているジムやレストランなどに置いてあるテレビの音声をスマートフォンに飛ばして聞く用途、そして空港など公共の場でのアナウンスといった例を挙げている。なお、最後の例については「Assistive Listening System(ALS)」、つまり支援型リスニングシステムの次世代形であるという言い方もしている。
スマホから手軽に接続するために
実際のAuracastへの参加の例としては、Wi-Fiネットワークを探すようにスマートフォンの画面に表示される例、 QRコードのようにスキャンする例、アイコンをタップする例が挙げられている。
もともとAudio SharingはLE Audioの一部であったが、リブランドして独立させた形になる。その背景には仕様が固まっているところから順に市場投入したいという思惑があるのではないかと思われる。また、Auracastの概念図をみると音声(音楽)信号とは別にAdvertisement(宣伝)というメタデータらしきものが埋め込まれているのも興味深い。これにより付加価値を与えることができるとも推測できる。
Auracastのアイコンを空港や公共の場で見ることができる日もそう遠くないのかもしれない。
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