連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第23回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月5日~3月11日分
ITワーカーを企業に引き留める秘訣、「データマネタイズ」事業化が進まない理由、ほか
2022年03月14日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。
今回(2022年3月5日~3月11日分)は、フィッシングを上回るようになった攻撃手法、データマネタイズの取り組みの現状、ITワーカーの勤続意欲、インターネット広告費の成長、DaaS市場の動向について見てみましょう。
■[セキュリティ]企業のセキュリティ課題は「パッチ適用」、脆弱性狙いがフィッシングを上回る攻撃手法に(3月8日、日本IBM)
・パッチ未適用のソフトウェア脆弱性を狙う攻撃が33%増加
・クラウドを狙う攻撃の初期兆候としてLinuxランサムウェアのコードが146%増加
・攻撃の対象となっているのは製造業がトップ(23%)
IBM Securityの年次レポート「X-Force脅威インテリジェンス・インデックス2022」より。サイバー攻撃で用いられる手法として、前回の調査でトップだった「フィッシング」に代わって「ソフトウェア脆弱性」を狙った攻撃がトップに。ランサムウェア攻撃の44%がこの手法となった。「パッチ未適用の脆弱性」が原因となった攻撃は前年から33%増加、全体の約50%を占めており、企業にとってパッチ適用が課題となっているとまとめている。
■[データ][DX]データマネタイズ、認知は高くても取り組みは進んでいない(3月8日、PwCコンサルティング)
・データマネタイゼーションの認知率は76%
・認知している人のうち、事業化に至ったのはわずか9%
・未検討だが今後積極的に取り組みを推進したい人は89%
データを資産として活用し事業活動に付加価値を創出する「データマネタイゼーション実態調査2022」より。世界のデータマネタイゼーション市場は2026年までに74.7億ドルに達すると予想。日本でも認知率は76%と高いものの、「事業化できている」企業は9%とまだまだ少ないことが浮き彫りに。データ利活用に関する課題に加え、スキルやアイディアなど特有の課題があることもわかった。
■[人材][働き方]現在の企業にとどまる意向が低いITワーカー、柔軟な働き方が鍵を握る(3月11日、ガートナージャパン)
・現在の企業にとどまる意向が高いITワーカーは29.1%、他職種より低い
・50歳以上と比べると、30歳未満のITワーカーがとどまる可能性は半分以下
・65%が「柔軟に働けるかどうかが、組織にとどまるかどうかの判断に影響する」
世界40カ国でITワーカー1755人を含む1万8000人を対象に行った調査。期間は2021年10月~12月。ITワーカーは他の従業員よりも離職する傾向が強く、現在の企業にとどまる意向が高いITワーカーは29%、アジアではさらに低く19.1%となっている。年齢層別で見ると50~70歳は48.1%だが、18~29歳は19.9%と若い人ほど低い。Gartnerでは、働く人を中心に据えた柔軟な勤務形態により離職率を減少させ、パフォーマンスを向上できるとアドバイスしている。
■[トレンド]2021年のインターネット広告は前年比21%増、動画広告が5000億円の大台に(3月9日、CCI/ D2C/電通/電通デジタル)
・2021年の総広告費は前年比10%増の6.7兆円
・動画広告は5128億円、前年比32%増
・ソーシャル広告は前年比34%増の7640億円に
電通が2月に発表した「2021年 日本の広告費」から、インターネット広告媒体費の内訳を分析し、2022年の予測を加えて「2021年 日本の広告費 インターネット広告 媒体費 詳細分析」としてまとめた。2021年の総広告費は前年比10%増の6.8兆円、そのうちインターネット広告は2.7兆円(前年比21%増)。動画、ソーシャル、運用型広告は、それぞれ前年比32%、34%、26%の増加となった。
■[働き方][DaaS]リモートワーク需要でDaaS市場が活況、2020年度は前年比22%で増加(3月10日、アイ・ティ・アール)
・2020年度のDaaS市場は前年比22%増の260億6000万円
・2025年までの年成長率(CAGR)は15.9%、2024年には500億円市場に
・パブリッククラウドDaaSの導入検討が増えている
DaaS(Desktop as a Service)市場は2020年度、前年度比22%増で成長、売上ベースの市場規模は260.6億円に。成長要因として、一部大手ベンダーの躍進が市場を牽引したほか、クライアント環境の集中管理、クライアント統制、アウトソースによる管理負担の軽減などの需要があるとのこと。テレワーク手段の1つとして新規導入、これまで導入が進んでいなかった部門にも拡大しているという。
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