今回はAMDのプロセッサーロードマップのアップデートをお届けしよう。中山智氏のレポートにもあるように、今年のCOMPUTEXでは第七世代のAPUであるBristol Ridgeベースのモバイル向けAPUが正式に発表された。
もっともこちらは純粋にモバイル向けの製品であり、消費電力は15W(cTDP:configurable TDPを使うと10~15Wもしくは12~15W)のものと、35W(cTDPで25~45W)のもので、デスクトップ向けとするにはややパフォーマンスが足りず、消費電力はもう少し高くてもいい。
デスクトップ向けのBristol Ridgeは
7月末~9月ごろ
デスクトップ向けのBristol Ridgeであるが、前回のロードマップで予定していた6月よりももう少し遅れそうで、早くて7月末、遅いと9月ごろまでずれ込むことになりそうだ。
理由はそもそもデスクトップ向けのPC市場が冷え込んでおり、今新製品を出してもあまり売り上げが期待できないから、ということになる。
もちろんインテルのみならずAMDもeSports向けのゲーミングPCに力を入れており、ここで需要を喚起したいと目論んでいるのだが、ゲーミングPCを構築するにはBristol Ridge単体ではやや力不足で、やはりZenコアのSummit Ridgeが本命ということになる。
それもあってかSummit Ridgeに対応するSocket AM4プラットフォームそのものの立ち上がりが全体にやや後送りになっており、それにあわせてBristol Ridgeの投入もやや後送りとなったようだ。
もっとも当面Summit Ridgeはハイエンド向けという扱いになるので、ミドルレンジ~ローエンドに関してはSummit Ridgeが投入された後でも引き続きBristol Ridgeが担うことになる。
これもあってか、Bristol RidgeはTDPをやや控えめに抑えたものになりそうだ。一応モデルナンバーはすでに流出しており、ハイエンドが「A12-9800」と「A12-9800E」で、これが65Wらしい。
その下の「A10-9700」と「A10-9700E」は45Wという話だ。微妙なのが「A8-9600」で、これが35Wなのか45Wなのか現時点でははっきりしない。
ローエンドになる「A6-9500」と「A6-9500E」は2コア/1モジュール構成となる関係で、こちらは35W枠に収まるようだ。
ちなみにGPUを無効にしたAthlonに関しては、今のところ「X4-950」という型番のみが聞こえてきており、派生型を増やすという話はあまりない。むしろこちらはSummit Ridgeベースで製品を増やす方向にあるのかもしれない。
この連載の記事
-
第775回
PC
安定した転送速度を確保できたSCSI 消え去ったI/F史 -
第774回
PC
日本の半導体メーカーが開発協力に名乗りを上げた次世代Esperanto ET-SoC AIプロセッサーの昨今 -
第773回
PC
Sound Blasterが普及に大きく貢献したGame Port 消え去ったI/F史 -
第772回
PC
スーパーコンピューターの系譜 本格稼働で大きく性能を伸ばしたAuroraだが世界一には届かなかった -
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ - この連載の一覧へ