日立造船は11月13日、新型のGPS海洋ブイの実証実験を開始したと発表した。GPS情報だけで海面の高さを測定して衛星通信で観測データを送信するため、より沖合で津波を監視できる。
現在、国土交通省は日本近海に合計17基のGPS波浪計を配備して気象庁が津波警報を出すのに使用している。これまでGPS波浪計は海面の高さを求める際、陸上基準局との搬送波位相データで算出するRTK測位法であるため、設置できるのは沖合約20kmが限界だった。
新GPS海洋ブイは、GPS衛星の精密な時間・位置データだけで高さを求めることができるPPP-AR測位法を用いている。さらに観測データの送信も衛星通信を使うため、理論的には1000km沖合の外洋にも設置が可能。
ブイ本体は従来の鋼製に代わりポリエチレン製とし、係留も繊維ロープとすることで大幅な小型・軽量化とコスト削減、メンテナンス性を向上させることが可能となったという。
実証実験は和歌山県田辺沖30kmで、2015年3月まで実施される。実験結果が充分であれば、GPS海洋ブイの設置距離を飛躍的に伸ばすことが可能となり、津波の早期検知に貢献することが期待されるという。