このページの本文へ

光電融合技術とオープン標準で実現、分散データセンター間の「DCX」としての利用も

NTTとNTT Com、マルチベンダー400G/800G IOWN APNを動態展示

2024年03月27日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 NTTとNTTコミュニケーションズは、光電融合技術とオープン標準を用いたマルチベンダーによる400Gbps/800GbpsのIOWN APN(All-Photonics Network)相互接続を実証。2024年3月26日(現地時間)から米サンディエゴで開催されている、光ネットワーク技術に関する世界最大級の国際会議「OFC2024」で動態展示を行っている。

 同実証においては、IOWN Global Forum(IOWN GF)で制定を進めているAPNのアーキテクチャーに準拠した400Gbps/800Gbp光電融合デバイスを活用。分散されたデータセンター間で大容量/低遅延通信を行う「データセンターエクスチェンジ(DCX)」として、マルチベンダーの相互接続を実現する技術の一般公開は、今回が世界初となる。

「OFC2024」における導体展示デモの概要

マルチベンダーの400G/800G光波長パス接続をデモ展示

 OFC2024におけるIOWN APNの動態展示は、同国際会議の参加各社が最先端技術/製品を持ち寄りマルチベンダーネットワークを構築するデモ展示企画「OFCnet」の一部として実施されている。IOWN GFと、光ネットワーキング技術の標準策定に取り組むOpen ROADM MSAとの連携によって実現した。

 具体的には、隣接するIOWN Networking HubブースとOpenROADM MSAブースの間で、光電融合デバイスからエンドトゥエンドの400Gbps/800Gbps光波長パス接続を行い、マルチベンダーのオープンな大容量ネットワーキングを実現。同時に、遠隔拠点に迅速なサービス提供を可能とする伝送路解析結果の可視化技術、光波長パスの自動設計技術をデモストレーションしている。

 NTT未来ねっと研究所 トランスポートイノベーション研究部 特別研究員の曽根由明氏は、今回の展示技術によって「低電力、大容量、低遅延のIOWN APNを、データセンター(間の接続)に適用することを加速することができる。メトロ内(都市内)に限定せず、数百km離れたデータセンターもつなぐことができる」と述べた。

 「IOWN GFとOpen ROADM MSA、TIPといったオープンフォーラムどうしの連携と標準化の取り組みが進展し、IOWN APNのエコシステムが成熟していることが証明できた点も大きな意義がある。また、第2世代の光電融合技術を利用した製品が調達可能になったことも重要なポイントだ。ネットワークの高度化とともに『ネットワークのオープン化』も目指していきたい」(曽根氏)

 なお今回のデモ展示は、NTTおよびNTTコミュニケーションズのほかに、アンリツ、富士通、NEC、NTTコムウェア、Ciena、Molex、OFS laboratories、VIAVIソリューションズが共同で行っている。

遠隔地に分散するデータセンターを連携する取り組みも

 近年のデータセンターでは、データセンター間の通信量の急増、消費電力の急増への対応が大きな課題となっている。その課題解決のために、NTTグループでは、光電融合デバイスを利用した大容量/低遅延/低電力な光ネットワークであるIOWN APNの実現と普及に取り組んでいる。接続ネットワーク内で光/電気変換を行わず、光のままで伝送する光波長パスの技術によって、大容量通信を低遅延、低消費電力で、遠隔地まで提供することが可能だ。

 こうした特徴を持つIOWN APNを利用して、分散型データセンターの構築にも取り組んでいる。離れた場所にあるデータセンター間を超高速/超低遅延のネットワークで連携させることで、あたかもひとつのデータセンターのように利用できる新たなデータセンターの仕組みも提案している。

 こうした分散型データセンターを実現するには、データセンター間を自在に接続するDCX機能が必要となる。しかし、既存技術では遠隔地のデータセンターに到達するまでに電気終端を用いるため、省電力化や監視範囲における課題が発生していた。一方、光のまま伝送が可能なIOWN APNであれば、遠隔地まで大容量/低遅延/低電力に提供範囲を拡大できる。

分散データセンター間をIOWN APNでつなぐことで“ひとつのデータセンター”のように扱う構想

展示における3つの技術的ポイント

 NTTとNTTコミュニケーションズによると、今回の技術展示には3つのポイントがあるという。

 ひとつめは、光電融合技術を利用したQSFP-DDトランシーバーの相互接続だ。CienaとMolexの2社の小型プラガブルトランシーバーを利用し、400G OpenZR+フォーマットにより、Open ROADMネットワークを経由して相互接続を行った。

 Molexの製品には第2世代の光電融合デバイスを搭載しており、第2世代の特徴である400Gコパッケージによる小型化や構成の柔軟性を活用し、+6dBmという業界最高水準の光信号出力を達成。さらに、ホワイトボックスのEdgecoreスイッチとオープンソースのネットワークOSであるSONiCによって運用しており、ベンダーロックインなしで利用できることも実証している。

 第2世代の光電融合デバイスは、第1世代のCOSAで提供していた光回路と、信号処理を行うDSPをひとつのパッケージとして構成し、11.5×21×3mmのサイズに収めることができる。パッケージ化することで、異なる信号処理を最適化する作業が不要になり、技術力がそれほど高くない企業でも新たな技術を利用することが可能になり、光電融合デバイスの間口の広がりにつなげることができると見ている。

光電融合技術を利用したQSFP-DDトランシーバーの相互接続

 2つめが、伝送路解析技術と光波長パス最適化技術だ。光信号のパワーレベルをエンドトゥエンドで可視化する「DLM(Digital Longitudinal Monitoring)」技術を利用して、マルチベンダーの光伝送網上で最適な光波長パスを提供できるという。

 今回のデモ展示では、800Gbps伝送を実現する富士通とNECの光電融合デバイスを利用し、OFCnetとIOWNブース、Open ROADM MSAブース間を接続。ここで得られたトランシーバー受信データを基に、伝送路の状態を可視化することで、光波長パスの開通を実現するための自動設計を行うことができる。これにより、オペレーターに最適な光パスを迅速に提供でき、運用やサービス提供の迅速化を実現できるとしている。

伝送路解析技術と光波長パス最適化

 3つめの技術が、伝送距離と監視範囲の拡大である。一般的なネットワーク構成では、短距離の伝送区間と長距離の波長多重の伝送区間を電気終端で接続している。IOWN APNでは、光のままデータセンターまで伝送を行うとともに、主信号の光波長と合わせて光の状態を監視する信号(監視用波長)も波長多重伝送できる。加えて、リモート制御エージェントのソフトウェアにより、光トランシーバーの遠隔制御も実現する。遠隔監視の光波長は小型のトランシーバーから送出することができるという。

 なお、これらの技術は、IOWN GFのアーキテクチャーに基づいて、OpenROADM MSAで標準化作業が進んでいるところだ。

遠隔拠点監視(伝送距離・監視範囲の拡大)

 今後の取り組みとして、NTTコミュニケーションズでは光電融合技術を活用した新しい通信設備を2025年度に導入し、さらなる大容量/低遅延/低電力のAPN通信サービスを実現し、データセンター間接続などを行う予定だとしている。さらに、遠隔回線監視や伝送路解析といった技術の適用についても検討を進める方針。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード