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私→WRC 第49回

ラリージャパンでメカニックを体験したレースクイーンの赤城ありさがあの苦労を振り返る

2024年03月24日 12時00分更新

文● 赤城ありさ(@arisa_akagi) 編集●ASCII

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11月19日、ついに最終日! 覚えたすべてをぶつける!

そして、ついに最終日の11月19日(日)、DAY4がスタートしました。朝イチはサービスパークで行なう、このラリー最後のサービスです。昨晩遅くに雨が降ったということで、タイヤをウェットに交換し、空気圧の調整をしました。

 今度こそエアゲージの出番です。目盛りがピッタリ合うまで空気圧を微調整します。空気を足したり引いたり、ピッタリ合わせるのは簡単なようで意外に難しかったです。その後は15分の時間を目一杯使って車両清掃をしました。

赤城ありさ

連日の作業と寒さで手が痺れてきて、繊細な微調整が難しい

 最後のサービスだと思うと、込み上げてくるものがありました。無事帰ってこられるよう祈りを込めて、ボディー・窓・ホイール、すべてを丁寧に磨き上げます。行ってらっしゃい!

フロントのエアロがなくなってしまった!

 朝のサービスを終えると、岐阜県の中津川公園のタイヤフィッティングゾーンの準備です。会場の中津川公園は、トヨタスタジアムのサービスパークから移動に1時間以上もかかるため、急いで準備して出発しました。

 今回のタイヤフィッティングゾーンでは、事前に車両の作業場所を知ることができていたので、かなりスムーズに進みました。作業内容はタイヤの摩耗具合の確認のみです。作業自体は問題なく終わったのですが、改めてGRヤリスのフロントを見ると、何だかすっきりしたような……。

赤城ありさ

タイヤフィッティングゾーンでの作業は2回目、円滑に行なわれた

 何ということでしょう! リップスポイラーがまるまるなくなっていました! 俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。村田選手が「落っことしてきちゃいました……」と苦笑いしていました。

 そしてこの時、SS19で眞貝選手に逆転され、クラス2位となったことを知りました。悔しい……。松井監督を見ると「そんなの昨日のタイム差見てりゃ、こーなることは当然分かってただろ! それより自社パーツのフロントリップが……」と泣いてました。え、そこ!?

赤城ありさ

タイヤフィッテングゾーンにインする。よく見るとリップスポイラーがない

世界の舞台で表彰台に上がれるという幸せ

 トヨタスタジアムに戻ると、すでにサービス機材の片付け作業が始まっていました。工具や使用機材を綺麗に整理して、サービストラックに積み込むことも、メカニックの仕事です。撤収作業はチームを応援してくれているファンの皆さんも手伝ってくださり、ファンの方に愛されているチームだなと実感しました。

 作業をしながら、車両の帰りを今か今かと待ちます。そして、GRヤリスはクラス2位で帰ってきてくれました! すごい! 完走という目標をはるかに上回る素晴らしい結果に、チーム全体が沸きました。村田選手、梅本選手、お疲れ様です! 無事に帰ってきてくれて、本当にありがとうございました。

赤城ありさ

無事完走し、トヨタスタジアムのポディウムに向かうGRヤリス

 表彰式があるということで、ここで初めてチームの皆さんとトヨタスタジアムに足を踏み入れました。ポディウムがすごく大きくて、車3台が同時に登れるようになっており驚きました。トヨタワークスが表彰台独占という結果で、その演出のために打ち上げられた金の紙吹雪できらきらと輝いています。

 上を見上げると、暗い夜空に金が散りばめられていて、星が降ってくるようでした。この景色はこの先ずっと忘れることはないと思います。

赤城ありさ

金の紙吹雪

 そして、司会のピエール北川さんのご配慮により、私たち国内車両クラスも表彰台の上でチーム全員揃って写真撮影をすることができました(本来ならそんな予定はなかったようです)。

赤城ありさ

チームのみんなでポディウムに登壇。恥ずかしくて後ろに隠れてしまった

 レースクイーンでもドライバーでもない、メカニック半人前の私が登っていいんでしょうかと思いつつ、僭越ながらチームの皆さんと一緒に登壇させていただきました。ここにこれたのは、監督、クルー、メカニック、スタッフ、スポンサーの皆様が力を合わせた結果です。

今年も何足もワラジを履いて挑戦します!

 ラリーは1人ではできません。今回はメカニックというポジションでラリーに参戦させていただきましたが、ドライバーの時とは違った視点で競技を見ることができたし、新しい発見もたくさんありました。

赤城ありさ

ラリーはチームスポーツ。1人では何もできないことを実感した

 正直やる前は、WRCのメカニックだなんて、素人の私がいても迷惑になるだけだからやりくないなと尻込みしていました。でも実際にやってみて、マシンを整備することだけがメカニックの仕事ではないとわかりました。

 知識に乏しい私にもできる作業があったり、タンクの水を汲む、サービスエリア内の清掃、ごみ収集、使用工具の配置などなど……細かい仕事がたくさんありました。知識の有無に関わらず、自身ができることを模索して実行するのは、会社員の下積み時代に通ずるものがあるなと思いました。

赤城ありさ

20リットルタンクを3個運ぶ。地味だが何往復もすると結構きつい

 とはいえ、私1人では何もできなかったため、ご指導くださったメカニックの皆さん、監督には感謝の気持ちでいっぱいです。

 これを読んでくださってる皆さんに、モータースポーツ、そしてラリーに少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。観戦するもよし! 参加するもよし! 人、マシン、天候……、複合的要因が勝負を左右する、誰も予想できない展開に、引き込まれること間違いなしです。

 以上でラリージャパンのレポートは終了ですが、2024年も会社員兼レースクイーン兼ドライバー兼コドライバー兼メカニックと、いろいろチャレンジしていきますので、私・赤城ありさをよろしくお願いいたします!

赤城ありさ

今回うまくできなかった点を反省し、リベンジを誓う

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