Spotifyとアップルの論争も
欧州委員会の発表を受けて、Spotifyは同日3月4日に「フェアプレーの時間だ」と題した声明を発表している。
声明では「今日の決定は、消費者のためのよりオープンなインターネットの戦いの重要な瞬間だ」として欧州委員会の決定を支持している。続けて、「Spotifyを始めとした音楽ストリーミングサービスは、各サービスが提供するさまざまな利点をアプリで直接ユーザーに通知することを妨げられてきた。Apple Musicは同じ行動が禁止されていない」として不公平感をあらわにしている。
また、「アップルにEUでの違法行為を止めるよう要求した欧州委員会は、消費者を第一に考えている」と欧州委員会を評価。「これは自由市場の基本的な概念であり、顧客はどのような選択肢があるかを知る必要があり、アップルではなく顧客自身が何を、どこで、いつ、どのように購入するかを決めるべきだ」としている。
欧州委員会の決定に対して、アップルも同日3月4日に声明を出した。「この決定は委員会が消費者の被害について、信頼できる証拠を示していない。市場は活気があり急速に成長しているが、この現実を無視している」と不満を述べている。
さらに「Spotifyは、調査のために欧州委員会とは65回以上、会談していると」指摘し、この決定にSpotifyが積極的に関与したと示唆している。加えて「今日Spotifyはヨーロッパの音楽ストリーミング市場の56%のシェアを占めており、これは最も近い競合他社の2倍以上である」と指摘し、「(Spotifyを)世界で最も有名なブランドのひとつにするのに、役立ったアップルのサービスに対して何の対価も支払っていない」と述べている。Spotifyが成功した大部分は「App Storeだけでなく、Spotifyが自社のアプリを構築・更新し、世界中のアップルユーザーに共有するために使用うツールとテクノロジーがあったためだ」としている。
そして、「App Storeのルールでは現状においても、ユーザーがアカウント作成/管理をするウェブページへのリンクを、Spotifyはアプリに入れられる」と反論。「アップルは欧州委員会を尊重しているがこの決定を支持していない」とし、アップルは「控訴するだろう」と述べている。
ちなみに、iOS 17.4ではEU市場においてのみ、外部App Store(Alternate App Store)が使用できる仕様に変更されている。外部App Store機能はEU圏の住人(EU圏でAppleアカウントを持つユーザー)にのみ適用される。また、そのユーザーが外国に滞在した際も、短期の旅行であれば使用ができる。外国にはもちろん日本も含まれる。逆に日本人のようなEU非居住者であっても、EU各国に旅行した際には外部App Storeの使用ができるようだ(GPSで判定するようなので、VPNなどを使って他国からバイパスすることはできない)。
かつてマイクロソフトは、独占禁止法により分社化の脅威にさらされた。現在そうした圧力の矛先はアップルに向けられているようだ。
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