「聖地」で満たす大人の探求心

「盆栽って結局何が楽しいの?」って人、その答え、すべて「さいたま市大宮盆栽美術館」にあります

文●村野晃一/編集 ASCII

提供: さいたま市

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なんか聞いてたのと違うんですが……

 それではここまでに仕入れた知識を生かして、実際に展示されている盆栽を見ていこう。ということで次のコーナー「コレクションギャラリー」へ。そこでまず目に飛び込んできたのがこちらの鉢。

文人木

──……あれ? なんか聞いてたのと違うんですが……。田口さん、どっしりした幹は?

田口「そうですね(笑)。こちらは一般にイメージされる盆栽とはちょっと違うかも知れません。こちらは”文人木”という樹形で、細い幹の曲がり方などに風情や趣を感じさせ、上のほうにだけ枝葉を残した盆栽をいいます。明治時代の文人が好んだ樹形ということから、”文人木”と呼ばれるようになりました」

──な、なるほど。これも樹形のひとつなんですね。奥が深いですね。しかし、こうなると、さっきの盆栽の鑑賞の仕方とかあんまり役に立たない気がしないでもないですね……。幹なんかどっちからも丸見えだし。

 まあ、気を取り直して次の鉢を見せていただこうかな。

 ……あれ? 田口さん、またなんか思ってたのと違うんですが……。

懸崖

田口「(笑)。こちらもまた別の樹形で、”懸崖(けんがい)”と言います。切り立った崖から垂れ下がって生えている樹をイメージして仕立てたものです」

──ちょっとなんか、初心者にはハードル高くないですか、この展示順!?

田口「そうですね(笑)。今はちょうど作家展が開催されていますので、こちらのギャラリーには、その作家協会の方たちが作品として仕立ててある盆栽が展示されているんです」

──なるほど。たまたまそういう日だったんですね。ところで、こちらの美術館に来られる方というのは、私のような初心者と、もう盆栽好きで好きでちょっといい盆栽見たいぞと思って来られる方と、どのくらいの割合なんでしょう?

田口「割合で言ったら断然、前者の方のほうが多いですね」

──それでこの並びですか……。結構今はチャレンジングな展示になってるんですね。でも、普段は田口さんのような学芸員さんが解説してくださるわけじゃないんですよね?

田口「そうですね。まったく盆栽を見るのが初めてという方だと、今の展示はちょっとハードルが高いかも知れません。ですが、日によっては、ボランティアで説明員として協力してくださるミュージアム・サポーターの方がいらっしゃる日もあります。今日もいらっしゃいますよ」

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