有線に続き、ようやく完全ワイヤレスへの搭載か
MEMSスピーカーを搭載した完全ワイヤレスイヤホンでは、過去にInventec Appliances Corp(IAC)社の「Chiline TR-X」にxMEMSが提供したMEMSスピーカーを採用するという情報があった。Chiline TR-Xは、2022年3月の発売を予定していたが、こちらはいまだ話を聞かないのでどうやら相当遅れているか、コロナ禍の中で消えてしまったのかもしれない。
一方、MEMSスピーカーを採用した有線イヤホンでは、iFi audioがMEMSスピーカー対応のポータブルアンプ製品「Diablo-X」を発表しており、Soranikがこれに向けた製品「MEMS-2」を発表している。MEMSスピーカー対応と敢えてうたっているのは、MEMSスピーカーの動作には高電圧を要するので、高いバイアス電圧を供給する仕組みを持つということだと思われる。
MEMS-2は米国で1200ドル(約17万5000円)という高級イヤホンで、xMEMSとUSOUNDのドライバーを両搭載しているのが注目点だ。BAドライバーの世界で言えばSonionとKnowlesのドライバーを2つ積んでいるのに似た感じだ。もう一つの特徴として、いかなるパッシブコンポーネントも搭載していない真のクロスオーバーレス設計がある。MEMSスピーカーの特性がこの設計に関連しているかなどの詳しい情報はわからない。
有線イヤホンでは音質の高さに着目して高級イヤホンの方向で採用され、完全ワイヤレスイヤホンでは小型化と省電力を重視するという形で、それぞれMEMSスピーカーの特性を活かした棲み分けがなされてきているのは興味深い。
この連載の記事
-
第287回
AV
Roon ARCがCarPlayやAndroid Autoに対応、車内で音声操作を -
第286回
AV
MQAに新動向、MQA技術の先にある「AIRIA」「FOQUS」「QRONO」とは? -
第285回
AV
新感覚のオーディオイベント「REB fes」を体験、自分だけのストーリー実現に悩もう! -
第284回
AV
JBLによる2つの新提案「LIVE BEAM 3」と「Fit Checker」を体験してきた -
第283回
AV
グーグル、プロも驚く音楽生成AI「Music AI Sandbox」を開発 -
第282回
AV
液晶をタッチして操作する、Volumioの新ネットワークプレーヤー「Motivo」 -
第281回
AV
HIGH END Munich 2024出展製品から、気になるエントリーオーディオをセレクト -
第280回
AV
水月雨がオーディオファン向けスマホを開発、複雑になりすぎたスマホ高音質再生への問いかけ -
第279回
AV
Chordの積み木型オーディオシステムが面白い、「Suzi」と「Suzi Pre」 -
第278回
AV
さすがにSpotifyもロスレス対応しそう、Redditユーザーがさらに解析結果をリーク -
第277回
AV
スマホがLE Audioに対応していなくても、なぜAuracastを使えるのか? - この連載の一覧へ