地域に拡がるスタートアップ支援 横浜市「YOXO」、広島県「ひろしまユニコーン10」の魅力
JID2023セッションレポート「地域活性のためのスタートアップエコシステム」
グローバル進出で大事なのは「まず目指すこと」
続いてグローバル進出に向けた展開について。横浜市は、グローバル進出を進めるスタートアップを増やすべく、JETRO横浜とタイアップ。海外に挑戦できるビジネスモデルを構築するための「スタートアップ・グローバル展開プログラム」を展開。さらに、スタートアップのみならず、スタートアップを支援するメンターの育成にも力を入れている。
今年から注力している分野のひとつがモビリティ分野。昨年はモビリティに特化したドイツの「The Drivery」というイノベーション、コミュニティとスタートアップとの連携イベントを開催した。「コミュニティ同士の連携でグローバルのつながりをつくっていきたい」と南野氏は抱負を語る。「YOXO – Innovation City Yokohama」としてLinkedInの英語ページも開設し、グローバルをかなり意識しているという。
ガチ鈴木は「立ち仕事をサポートするプロダクトを展開するアルケリスという横浜のスタートアップがCESに出展していた。言語に依存しないプロダクトを作っているスタートアップは(グローバルの)チャンスは大きい」とコメントした。
広島県も、横浜市と同じくJETRO広島とのタイアップを行なっており、グローバル展開を志向するスタートアップ、起業、研究者、学生を対象とした海外展開支援プログラムを提供している。歳森氏は「どこの自治体も悩みは一緒なんだなあと思った」とコメントする。
「ハイクラスなアクセラレーションプログラムを実施しても、広島からまだ手が挙がるような状況ではないので、まずは目指すところからスタートしました」とのことで、英語ピッチで成績がよかったところなど5社で1週間ボストンに視察渡航を行なった。「大事なことは目指すこと。海外もどんどん目指しちゃえばいい。自分の商品が周りに刺さらなくても、海外ではバズるかもしれない」と歳森氏は語る。
最後に、南野氏は次世代人材育成や2万人を集めたイノベーション人材の交流イベント「YOXO FESTIVAL」、スタートアップの試作品開発や実証実験、トライアル企画について紹介。「『YOXO FESTIVAL』では、たくさん来場した小学生が新たなテクノロジーやビジネスに触れ楽しんでくれていて、未来を感じました」と南野氏は語る。また、歳森氏は多くの自治体が参加する豊富な実証フィールドをアピール。「広島県だけでユニコーンができると思っていないし、ユニコーンの作り方を知っている人もいない。なにが必要か、みなさんにどんどんお聞きしている」とまとめた。自治体の高い熱量と強い支援体制が感じられるセッションだった。