このページの本文へ

ゲーム、通販、飲食、イベントなどの会社が業務でLarkをフル活用

ノーコードで業務アプリを作れる「Lark Base」 ユーザー4社が事例を披露

2023年04月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

HACCP対応の冷蔵庫の温湿度管理にLark Baseを活用(EVERBREW)

 3番手は飲食業界からEVERBREW(エバーブルー)店舗運営部の鍵谷万里江氏。EVERBREWはベルギービールの輸入と卸、都内を中心に30店舗のレストランの運営、オリジナルビールの製造、卸を手がけている。店舗のメンバーは500人近くいるが、管理を行なう本社スタッフは10名程度しかいない。「現場ではパソコンを開けないので、スマホで使えるLarkは助かっている」と語る。

EVERBREW(エバーブルー)店舗運営部の鍵谷万里江氏

 飲食店ならではのLark Baseの使い方として鍵谷氏は、HACCPへの準拠を挙げる。HACCPは厚生労働省が定める衛生管理手法で、スポンジの除菌方法や調理器具の洗浄など項目は多岐に渡る。EVERBREWが最初に手をつけたのが、冷蔵庫の温湿度管理だ。

 HACCPでは冷蔵庫の温湿度を定期的に記録し、それを1年間保存する義務がある。今までEVERBREWでは、紙で温湿度の記録を行なっていたが、紙だと紛失のリスクがあり、保存場所も確保しなければならない。また、料理を作るところでの異物はなるべく減らす必要があった。締め作業の時間を短縮するため、デジタル化できるものはなるべくデジタル化していこうというのが方針だった。

 EVRBREWでは店ごとにLarkのQRコードを用意し、撥水加工した後、冷蔵庫に貼り付けてある。このQRコードをLark Baseのアプリから読み込むと、フォームが現われる。店舗名と日付を選び、オープンか、クローズかの作業を選び、冷蔵庫の温湿度を入力する。入力規制をかけているので、数字しか入れることができないという。

QRコードを冷蔵庫に貼り付け、温湿度を登録

 管理部に送られるダッシュボードを見れば、各店舗の冷蔵庫の温湿度がわかる。また、3ヶ月に1回行なわれる衛生検査の会社による監査に向けてのデータは、Lark Baseからエクスポートするだけで用意できる。登録した情報に関しては高度な管理権限を使って、メンバーに編集権限を与えず、閲覧のみにしているという。

 別の使い方としては、熱源のクローズ確認。これは調理場での火の消し忘れを徹底し、火事やボヤを起こさないための施策だ。Lark Baseのアプリでガス元栓を締めたところを撮影して送るだけなのだが、「Lark Baseのアプリを立ち上げると、カメラが即座に起動し、そのときの写真のみ送信できます。過去の写真は送信できないので、不正が起きないところがいい」(鍵谷氏)とのことだ。

 当初は「締め作業が延びるのでは?」という懸念もあったが、実際はスピーディに作業が終わったという。管理部は、何時に、どこで、誰が写真を撮ったのかがリアルタイムにわかる。登録を終えると、ボットが本人に「おつかれさまでした」と通知。未登録だと、同じくボットが現れ、フォームとともにチェックを促すという。「衛生管理もガスの元栓確認も飲食店ではけっこう一般的なので、真似してもらえるとうれしいです」と鍵谷氏は締めた。

売上、利益、生産性、残業までLarkで可視化(グッドウェーブ)

 ユーザー登壇のラストを飾ったのが、グッドウェーブ(GOODWAVE)CEOの馬場大介氏。「父がテレビ局勤務だったので、つねに情報とライブが大事なんだと言われて育ってきた」という馬場氏が1997年に創業したイベント会社がグッドウェーブ。現在はプロモーション運営支援と店舗運営を行なっており、社員260名、アルバイトまで合わせると1000名を超える。プロモーション事業では「ゼスプリ」ブランドのキウイフルーツ、店舗は「Dr.Stretch」ブランドのストレッチ専門店が有名だ。

グッドウェーブ(GOODWAVE)CEOの馬場大介氏

 イベント会社ということで、コロナ渦の影響をもろに食らい、売上はほぼ半減した。しかし、現在は力強く回復を遂げている。厳しい経営環境の中、馬場氏が生き残るために必要だと痛感したのは、社員が魅力的な人間力を持つこと、そして会社組織として信頼されることだという。その上で、「単にツールを活用するだけでなく、人との信頼関係を作れるツールに変えるられるかがものすごく重要」と馬場氏は指摘する。

 もともと同社はコミュニケーションツールとしてMicrosoft Teams、データポータルにGoogleのLookerを用いており、200以上のシステムがあった。現在は、これらをどんどんLarkに統合している。導入を即決した馬場氏は、「朝来てPCを開いて、Larkだけで仕事が完結するということで大変な魅力を感じた」と振り返る。もう1つの理由は、労務管理の問題だ。同社のビジネスはイベントやプロモーション、店舗運営など、昼夜問わずの長時間労働になりがちで、労務管理は大きな課題だったという。

 Larkは店舗、プロモーション、バックオフィスの3部門で導入されており、経営会議や進捗会議などでもLarkが用いられている。Lark Baseでは売上や粗利、利益などの事業KPI、来店周期、営業訪問数、個人の生産性、残業時間などがまとめられており、事業KPIはオフィス内のモニターで誰もが見られるよう、ダッシュボードで可視化されている。「売上、粗利、利益まで全社の数字が見られます。それは見て欲しいと思ったからです。会社がどんな落ち方をして、どのように上がってきたかを。(社員には)会社を自分のものであると思ってほしい」と馬場氏は語る。

 残業時間や生産性の指標化により、3年前に比べて残業時間がおおむね1/4まで減り、客観的な評価にも寄与しているという。「一見すると、ドライに見えますが、言葉の通じない中国で仕事をしたとき、すべてをグラフ化したら、みんな納得した。数値化され、変動しているものを見てわかるようにすれば、スキル関係なく、理解はしてくれるようになる」(馬場氏)とのことで、数値化に強いこだわりを持っているという。

 Lark Baseは福利厚生でも使われている。サシ飲みや研修、新人さんのお世話係の報告のほか、「出張の際に奥様に支給される(笑)」(馬場氏)というユニークな手当も、奥様からの写真をLarkに投稿してもらうことで実現しているという。その他、本社や店舗の環境整備にも使っており、1ヶ月1度のチェックもすべてスマホで完結する。

カテゴリートップへ

ピックアップ