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TikTok creator academy 第4期|第2回講義 「大京警備」櫻井大輔氏

TikTokの動画はトレンドと鮮度が命、“おじさん動画”の達人による「多くの人に見てもらうためのテクニック」

2023年05月12日 12時01分更新

文● 佐藤ポン 編集●金子拓郎(ASCII)

提供: TikTok

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「大京警備保障株式会社」の代表取締役・櫻井大輔氏

 次世代TikTokクリエイターの発掘と支援を目的にした「TikTok creator academy」は、現在TikTokで活動しているクリエイターを対象に行われているプログラムだ。オンラインで開催されているセミナーでは、第一線で活躍中の人気クリエイターが講師として登場。TikTokで成功するための秘訣やアイデア、動画の制作方法など、クリエイターにとって有益な情報が紹介されている。

 現在、「TikTok creator academy」は第4期が進行中。本稿では先日開催された第2回セミナーの様子をレポートしよう!

以下記載内容はクリエイター個人の見解であり、TikTokの公式見解ではありません

企業アカウントでTikTokフォロワー数は290万人!
大京警備保障が動画を「バズらせる」手法を紹介

 今回講師を担当したのは「大京警備保障株式会社」の代表取締役・櫻井大輔氏。セミナーのタイトルは「多くの人に見てもらうためのテクニックを学ぼう」。櫻井氏はこれまでいくつもの動画をバズらせており、TikTokフォロワー数は290万人を超えている。この数は過去のTikTok企業フォロワー数ランキングで1位を獲得したことがあるほどだ株式会社ユーザーローカル 2022年7月「TikTok人気ランキング(https://tiktok-ranking.userlocal.jp/?ranking=enterprise)」より。今回のセミナーでは、同社が蓄積したノウハウが紹介された。

 そもそも櫻井氏がTikTokを始めた当初の理由は、企業の新人採用が目的だったそうだ。一般的に新人を採用するまで、ひとりあたり30~40万円のコストがかかるが、TikTokを始めたら宣伝効果に繋がり、「採用単価がかからなくなった」と語る。また、TikTokを始める以前は50~60代の人材が中心だったが、TikTok活動以降は20~30代の若手人材が集まるようになったとのこと。

動画がバズるときに何が起きているか?
TikTokの仕組みを知ることが大事

 TikTokで多くのユーザーに動画を見てもらうためには、視聴者の「おすすめ」フィードに自分の動画が載る必要がある。では、何をしたら「おすすめ」フィードに掲載される確率が上がるのか? 櫻井氏は経験則をもとにした見解を紹介した。

 櫻井氏によると、投稿された動画は投稿者のフォロワー数に関係なく動画ごとに評価されるそうだ。なので「基本的には再生数ゼロの動画はありえない」と語る。投稿直後はごく微小規模のユーザーの「おすすめ」フィードに掲載され確率が、そこで評価される。そこで成績がよく、TikTokの審査を通過した動画は次のフェーズに進める。

 ここではより多くのユーザー(100~1000人程度)の「おすすめ」フィードに掲載され、再度評価を受ける。ここでも審査に通過すると、次は1000~1万人程度に拡散。これを繰り返し、徐々に多くのユーザーの「おすすめ」フィードに掲載されていく。以上が櫻井氏の考えるTikTokのレコメンドシステムだ。

「おすすめ」フィードに載るために
TikTokの審査を通過せよ

 それでは、それぞれの審査を通過するためには、どのような動画を投稿したらよいのだろうか? 櫻井氏はTikTokの評価基準について解説した。各動画が評価される要因は、以下の3つだと語る。

フォロー、いいね、コメント、保存、シェア、視聴時間
キャプション、音源、ハッシュタグ 投稿者が設定した動画の情報
言語、国、デバイスの種類 投稿者のデバイスとアカウントの設定

 ①の要因はもっとも重要度が高い。視聴者が起こした行動が直接評価につながるため、より多くのユーザーインタラクションが起こった動画は拡散しやすい。③は同じ地域の動画が出やすくなる傾向を指したものだが、これは視聴者の趣向が加味されていないので、あまり重要度は高くない。

 動画を多くの人に見てもらうためには、この3つの要件をクリアーするのがベストだが、なかなか難しい。しかし、櫻井氏は「おすすめの手法がある」と語る。

バズりたいならトレンドを意識!
トレンドをいち早く掴む方法

 櫻井氏がおすすめする手法は、「トレンドを活用してみる」だ。トレンドになっている動画は、すでに多くの人に評価されたからこそトレンドになっている。バズるための最大のヒントが隠されているため、参考にしない手はない。オリジナルの動画しか作っていない素晴らしい投稿者もいるが、それだけで何十万~何百万のフォロワーを作るには時間がかかる。なので、大京警備保障としてはトレンドを参考に動画を制作するのを推奨している。

 では、どうやってトレンドを掴めばよいのか……!? 櫻井氏は3つの方法を紹介した。

 ひとつめは「「おすすめ」フィードを10分視聴し、同じネタの動画を探す」。これがもっともスタンダードな方法。同じ音源や同じ振り付けの動画が複数件出てくるはず。それらの動画の投稿日が1ヶ月以内ならば、トレンド化している可能性が高い。右下のアイコンをクリックして、左上から順番に見ていくとわかる。

 ふたつめは「人気TikTokクリエイターをフォロー」だ。大勢のファンを持つトップクリエイターの多くは、トレンドをしっかり見て動画を公開し続けている。彼らをフォローしておくことで動向を探れるという。

 最後は「TikTok Creative Center」を活用。このサイトは、今、何がトレンドなのかをランキングしているサイトだ。トレンドが数値化されているので、常にチェックしておくとよいそうだ。この他に、Googleトレンドなど、外部の情報も掴んでおくことは言わずもがなだ。

TikTokのトレンドの移り変わりは激しい
せっかく掴んだトレンドは早めに料理しよう

 トレンドを掴むことと同じくらい重要なのは「トレンドの鮮度」。櫻井氏はバズった動画を真似して公開すべき期間は、1~2週間以内を意識しているそうだ。これにはTikTokの文化が影響している。

 TikTokで、ある動画がバズると、その動画から影響を受けたクリエイターが1週間以内に真似した動画を公開する。それらの動画のなかには、大幅にアレンジを加えた動画も現れる。たとえば元の動画は「料理ネタ」だったが、それを「ゲームネタ」に変更した動画のような感じ。

 元動画がバズっているので、当然これらの動画も大勢の視聴者に拡散され、それぞれ評価を受ける。このときにアレンジされた動画がバズると、今度はアレンジ動画の真似をした動画が登場し始める。このタイミングは、元動画が公開された約2週間後程度とのこと。

 トレンドの動画がどんどん枝分かれをしながらバズりの連鎖を起こし、約3週間後には元動画の原型がなくなる場合が多いそうだ。残酷な話だが、この時点で視聴者は元ネタの動画から興味がなくなる。そのため、櫻井氏は「3週間すると本当に数字が上がらない。なので理想は1週間から2週間の中盤。それくらい過敏にならないとTikTokはやっていけない」と熱弁した。せっかくバズっている動画を見つけても、3週間後に公開したのでは遅いというわけだ。

バズりたいならアタマを使え
TikTokで見てもらえる動画を作る技術を紹介

 トレンドを見つけた際に、どのような動画を制作したらよいのだろうか。櫻井氏によると、自分の強みをトレンドにはめ込むのが得策とのこと。「どの動画をどのように自分のジャンルに置き換えるのか」という視点を持つことが重要になってくる。

 大京警備保障は「おじさん」と「会社員」が強みなので、トレンド動画をこれらの要素に置き換えて動画を公開している。もしも自分の強みがわからない場合は、どの視聴者がもっとも興味を持っているかを、自分が過去に公開した動画をよく見て考えるとよいそうだ。ここまで考えて動画を作成すれば、自然に興味がある視聴者に届くようになり、そこから拡散される可能性が高くなる。反対に言えば、特定の人に焦点を当てた動画を作らないと拡散しない。

 ここからは具体的な動画の構成方法が紹介された。ひとつめは「ツッコミどころを入れてコメントを増やそう」だった。コメントしやすい動画を作ると、前述した「おすすめ」フィードに掲載されやすくなるので重要。お笑い動画ではないとツッコミどころを作りにくいが、「何があったのかな?」と思わせることが重要。また、コメント数が多いと、他の視聴者からも興味を持ってもらえ、さらにコメントを読んでいると視聴時間も長くなるため、とても効果的な手法だ。

 次に紹介されたのは「1分以上の長尺動画」について。これは大京警備保障でも研究中の課題とのこと。いままでのTikTokは15秒以内の動画が主軸だったが、「今後は1分以上の動画が重要になる――」と櫻井氏。しかもただ長いだけではなく、「人間性」が伝わる動画がこれから生き残るクリエイターには必要とのこと。いままでの短尺動画は動画制作も視聴も楽な反面、ストーリーをつけにくく、人間性が伝わらない。なぜ動画に人間性が必要なのかというと、櫻井氏は「人間性が伝わると、動画の企画を変えてもファンがついてきてくれる」と力説した。

 そして、長尺動画に必要なストーリー性については「起承転結」の特に「起」を注意して作ること。TikTokで流れてきた動画を見る視聴者は、大半がその動画に興味のない人たち。なので、初めの1~2秒で興味が湧かなければすぐにスワイプされてしまう。櫻井氏は「1~2秒の間にどれだけインパクトの強い動画・素材を持ってこられるかが最重要」と語った。

 大京警備保障が成功した例として挙げたのは、冒頭に「退職届」をもってきた動画。櫻井氏は「退職届は会社員ならもっともインパクトのあるワードです。なので成功した」と分析した。

大京警備保障・櫻井氏による投稿作品チェック

 セミナーの後半は、櫻井氏が事前に募集した宿題動画を見ながら、それぞれの動画を評価する実践編。櫻井氏は投稿作品を見ながら、わかりやすい言葉で真剣に、時に厳しく評価していたのが印象的だった。

 レポートの最後に、櫻井氏の評価で参考になりそうなコメントを抜粋する。

●トレンドを捉えているが、公開が遅い
●バズった動画をそのまま真似ており、自分のフィールドにアレンジしていない
●アレンジしすぎていて原型をとどめていない
 →慣れるまでは「徹底的にパクる(TTP)」を意識して!
●ターゲット層の意識がない
 →誰に、どの層に届けたいのかを明確に
●日本人の誰もが感じる昨今の「電気代が高い」をトレンドとして認識している秀作
 →ホビーや作品だけがトレンドではない、とても広い視野を持っている投稿者と感じた
●ダンス動画など、おじさんが登場する動画は「できない」ほうがいい
 →おじさん動画は完成度が高いよりも、「真面目にがんばってるけど、できてない」と思える作品のほうが若い子たちに見てもらえる。それがかわいく映るから。

TikTok creator academyとは?

 TikTok creator academyとは、次世代のTikTokクリエイターを発掘、支援することを目的にしたプログラムです。第4期はオープンコース・エデュケーションコースの2コースでTikTok creator academy生を募集し、応募者の中から選ばれたクリエイターには、コース別に2023年1月末よりセミナーやワークショップを通して、動画再生数を伸ばすためのコンテンツ戦略について学ぶ機会を提供しています。

【TikTokについて】
TikTokは、モバイル向けのショートムービープラットフォームです。私たちのミッションは、創造性を刺激し、喜びをもたらすことです。TikTokには、ロサンゼルス、シリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ドバイ、トロント、シンガポール、ジャカルタ、ソウル、東京などの国と地域にグローバルオフィスがあります。

(提供:TikTok)

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