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Eco-Pork、「個体識別」と「発情検知」ができる繁殖豚管理AI技術を開発

 株式会社Eco-Porkは2023年1月11日、繁殖豚が自由に動ける「フリーストール」飼いの環境下でも「個体識別」や「発情検知」を可能とする繁殖豚管理AI技術を開発し、実証を完了したと発表した。国内では初となる群飼養に対応したAIによる個体別発情検知技術で、生物系特定産業技術研究支援センター「令和3年度スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」の支援を受けて開発された。特許を出願中という。

 これまでのAI技術では、「ストール」と呼ばれる柵で1頭ずつ区切って飼養する方法でのみ、繁殖豚の発情管理が可能だった。今回開発された技術では、動物福祉「アニマルウェルフェア」の観点から普及が進む「フリーストール」で飼養される繁殖豚を管理することが可能となる。

 近年、EU加盟国を中心に、「アニマルウェルフェア」の観点から繁殖豚の飼養方法として自由に活動できる大きさの区画内で多頭飼養される「フリーストール」への転換が図られている。日本でも農林水産省が2020年に「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」の技術指導通知を行うなど普及を図っている。一方で「フリーストール」では広い区画で複数頭を群飼養するため、個別の豚に対して細かな管理が難しいことが課題だった。

 Eco-Porkが開発したAI技術では、「個体識別技術」で「フリーストール」内で複数の豚が飼われている状態でも、特定の豚を識別できる。AIカメラが区画内にいる繁殖豚を自動で見つけ、耳に付けた識別子(耳標の色組みあわせ)を検出して色味の組みあわせパターンを使い、個体を特定する。移動する繁殖豚をAI技術で自動追跡し、複数の画像によって判断することで99.7%の精度で個体の特定が可能だという。

耳標組み合わせ(イメージ)

 また「発情判定技術」で繁殖豚の発情/非発情の判別を行う。AIカメラが、繁殖豚の生殖器の状態をAI技術により分析。生殖器の状態を適切に捉えるための最適な静止画を、AIが動画から自動取得し発情判定を行うことで、98.3%の判定精度を実現したという。豚舎の明るさや環境が異なる場合でも判別精度を維持できるとしている。

AIが発情判定と個体識別を同時に行う(イメージ)

明暗の異なる複数の写真からAIが最適な画像を選択して自動判定する(イメージ)

 Eco-Porkではこの技術を国内養豚農家の効率化支援やアニマルウェルフェアに対応するソリューションとして、2023年度内の製品化を目標に開発を継続する。

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