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サスティナブル塗箸でグローバル展開など5社 熱量高い福井ベンチャーピッチ

「第8回 福井ベンチャーピッチ」レポート

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トークセッション:ピッチ登壇を契機に飛躍する3人の経営者に聞く

 ふくいベンチャー創出プロジェクトの支援を受けた人が、さらに若い人にアドバイスをするエコシステムが回り始めている。攻めている経営者の周りにはやはり攻めている経営者が多いからか、あそこが出たなら私も出たい、ウチも銀行や投資家から注目される存在になりたいとモチベーションが高まってきているのだろう。

 第8回福井ベンチャーピッチでは、その流れを加速させようと以前ピッチに登壇したベンチャーによるトークセッションが行われた。登壇したのは地元ベンチャー企業として株式会社ドラフト 代表取締役CEO 伊藤 佑樹氏、ファーストトレード株式会社 代表取締役社長 三上 良平氏、チャンスメーカー株式会社 代表取締役CEO 平林 満氏の3氏と、彼らにメンタリングを行った株式会社アイピーアライアンス 代表取締役社長 木嶋 豊氏がコーディネーターとして参加した。

 木嶋氏からの質問に対してベンチャー経営者が答える形式でセッションが進められたが、いずれの回答もこれからベンチャーを立ち上げようと考えている企業候補生にとって有用な示唆が含まれているので参考にしてほしい。

登壇者紹介

 株式会社ドラフトは「オシャレで人生を豊かに。」をミッションに掲げ、ファッションに悩むメンズに向けたECサイト「Dcollection」を運営している。また、プロのスタイリストが完全パーソナライズされたコーディネートを教えてくれるサブスクサービス「あなスタ」の提供を開始した。現在のターゲットは30代~40代の男性だが、50代~60代にも需要があることが分かっているので、来年その層に向けたサービスを立ち上げていきたいとしている。

株式会社ドラフト 代表取締役CEO 伊藤 佑樹氏

 ファーストトレード株式会社は企業間取引をDX化するプラットフォーム「URetail(ウレテル)」の開発を行っている。URetailは帳票のペーパーレス化をはじめとしてデジタル化による低コストな企業間取引を実現するとともに、トランザクションデータを活用したトレーサビリティを実現するとしている。 

ファーストトレード株式会社 代表取締役社長 三上 良平氏

 チャンスメーカー株式会社のDMサービスは開封率が高いという特徴を生かし、小ロット対応や即応性の高いシステムを開発することにより、既存顧客にフォーカスした強力なプロモーションツールとしてDMを再定義したもの。送付先ごとに内容を変えるパーソナル機能や、ロボットを使った手書き文字の再現など、従来にないサービスとなっている。

チャンスメーカー株式会社 代表取締役CEO 平林 満氏

(以下、敬称略)

メンタリングでの気付き

木嶋:3ヶ月みなさんにメンタリングを行ったが、そこで気づいたことは何でしたか。

伊藤:それまではオシャレの苦手な30代、40代の男性にオシャレを教えるというアプローチをしていた。木嶋先生からはその考え方は古いからスタイリスト(専門家)からコーディネートを提案する、という見せ方に変えた方が良いとアドバイスを受けた。それに気づいてアプリで表現したら、DL数も伸びたし集客源になった。非常に大きな気付きだった。

三上:毎回宿題をもらっていたが、自分の中に既にあって自分の中で解決したものしか出てこなかった。木嶋先生からはこんなこともできるとか、もっと早くできるとか、自分の外から意見をもらえた。全く自分と違うところにたどり着けたというのが良かった。それとURetailの開発でやりたいことがたくさんありすぎて、それを全部実装しようとすると完成しないという状況に陥っていた。まず50%でもいいから出すことが大事と教えていただいて、ようやくベータ版を50%で出せるところまで来られた。

平林:長く社長業をやっていて、間違っていると言ってくれる人はなかなかいなかった。でも言われたら素直に聞かないといけない。社名変更について木嶋先生に言われたが、素直に聞いて変更することにした。

木嶋:伊藤さんはスタイリストを活用するということをすぐに実践し、結果を出したことが非常に良かった。三上さんもそこに至る過程で優先順位についてかなり厳しい議論ができた。平林さんの会社は業績をすごく伸ばしていて、そういうときはなかなか他の人の言うことを聞きづらくなる。経営に自信を持つが故のジレンマみたいなものがあったと思う。

株式会社アイピーアライアンス 代表取締役社長 木嶋 豊氏

企業を成長させる力

木嶋:ベンチャーを創るのは簡単になってきたが、それを成長させるのは非常に大変。成長のためにどういう努力をしているかをお伺いしたい。

平林:目標を明確にしている。そしてそれを実現する期日も決める。期日を守れないこともあるが、80%くらいは守れている。やはり目標や期日を決めることが重要だと思う。

三上:何も知らないところから会社を始めたが、自分より先に行っている経営者からいろんなことを教えてもらった。教えてもらったらすぐ取り入れて実践することが大事。そして自分のやりたいことを絶対にやり遂げるという想いは忘れていない。

伊藤:メンタリングで木嶋先生からToDoリストの処理が遅いのではないかと指導を受けた。自分はスピードがある方だと思っていたので非常にショックを受けた。でも会社は社長のスピードより速くはなれない。古い社内ルールに固執して動かなくなってしまうというのも良くない。今は社員に失敗してもいいからまずバットを振れと言っている。

木嶋:平林さんは言ったことに責任を持っている。言ったらやるという決意を感じた。それはベンチャーが成長するうえですごく大事な要素だと思う。三上さんが言う、自分のやりたいことをやり通すということも重要だけど、一方で状況の動向に応じて柔軟に変化する勇気も大事にして欲しい。伊藤さんが最初のアイデアを実直にやり続けるところは悪くないと思うが、新しい世の中の動きや社員の変化に適切に対応していくことも大事だと指導した。

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