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サスティナブル塗箸でグローバル展開など5社 熱量高い福井ベンチャーピッチ

「第8回 福井ベンチャーピッチ」レポート

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修復ブランド品の流通市場を創設する
フェニックス・コミュニケーション株式会社

 フェニックス・コミュニケーション株式会社は、レザー製品修復業のフェニックス株式会社の関連会社として、ブランド革製品の修復講習と売買講習を行うレザリボンオンライン教室の運営している。今後修復品の販売ショップ事業を展開することを計画しており、そのための資金調達を目的として福井ベンチャーピッチに参加した。

フェニックス・コミュニケーション株式会社 代表取締役 柴原 義也氏

 現在市中に出回っているブランド品の総額は約74兆円であるとされている。それらのうち、カビや経年劣化により中古品市場で値がつかず、タンスの肥やしとなっている商品(総額約15兆円)をターゲットに買い取りを行い、革製品修復士の育成に用いると同時に、修復上がりの品を販売する。

 100万円のブランドバッグもカビが生えてきては使えないし、買い直すのも大変になる。同社が真贋判定も含め、修復品の流通市場を整備することにより、すべての人が本物のブランド品を安価で利用できるようにする。また同社で学んだ修復士が卒業後に安定した収入を得られるようにすることを目指している。

AIで納得!「つらい症状」がみんなにわかる新アプリ
京都大学医学部付属病院 緩和医療課・緩和ケアセンター

 京都大学医学部付属病院の緩和医療課・緩和ケアセンターでがん患者の緩和ケア専門医として勤務する嶋田和貴氏は、ガン患者の症状評価および診断サポートを行うAIアプリの開発を行っている。嶋田氏は福井県出身で、医師になった後に地元で地域医療に携わった経験を持つ。現在開発中のアプリは、そこで得たがん緩和ケアに関する知見から着想を得ている。

京都大学医学部付属病院 緩和医療科・緩和ケアセンター 特別講師 嶋田 和貴氏

  がんの臨床における課題には大きく2つあり、1つはがん患者の症状評価が困難であること。がん患者自身はつらい症状を上手く伝えられず、また専門医以外の一般医療とケア提供者は症状の評価が難しく、適切な治療やケアの選択に難渋している。もう1つの課題は人手不足で、全国のがん患者が101万人超と推定されているのに対して緩和ケアの専門医は1200人程度しかいない。

 そこで年齢・性別などの患者情報および食事の量や便秘の有無など医師以外の家族など一般人でも入力可能な13項目の情報から、学習済みAIによって主観的症状の予測(8項目)や治療とケアの提案(100項目)、および1ヵ月先までの転帰予測(退院などの臨床ケアの出口)を行う。

 がん緩和ケアに対してAIアプリを用いた支援は世界的に見ても前例がないことが事業化に向けた大きな課題となっている。そこでAIアプリを一般用(患者・家族向け)と臨床用(一般医療・ケア提供者向け)の2つに分けて提供することを考えている。当初は臨床用のみで検討していたが、医療の現場にはなかなか外から企業やシステムが入ってきにくい。そこで一般用も含めて広めていくところをトライすることにした。

 緩和ケアは労働集約型であると同時に知識集約型であるという非常に複雑な業務となっている。AIを用いることにより、限られた医療とケア資源を適切に分配し、患者のつらさを少しでも早く解消するとともに医療現場の負担軽減を実現していきたいとしている。

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