世界のスマートフォンの出荷台数順位は、1位サムスン、2位アップル、3位シャオミというのが定位置になっています。新型iPhoneの発売後となる毎年第4四半期はアップルが1位になったり、そのアップルの出荷台数が落ち込む第2、第3四半期にはシャオミが2位にのし上がることもありますが、1年間を通すとこのトップ3の顔ぶれは変わりません。
一方で、4位以下はOPPOとvivoがほぼ入れ替わるようにその順位を争っています。ところがヨーロッパ市場ではこの様相はちょっと異なっています。ヨーロッパではvivoよりもrealmeが強く、サムスン、アップル、シャオミの後をOPPOとrealmeが追いかけています。OPPOとrealmeは同じグループ企業ですから、この2社は実質的に1社と考えていいかもしれません。しかしカウンターポイントの調査を見ると、今年第2四半期のシェアはサムスン32%、アップル24%、シャオミ19%なのに対し、OPPOとrealmeの2社を足しても8%。トップ3とは大きな開きがあります。
しかも、OPPOはノキア(ネットワークを展開する本家)と5G関連の訴訟に敗れ、ドイツからの撤退を余儀なくされました。ノキアはヨーロッパの他の国でも訴訟を起こしており、OPPOはヨーロッパでのスマートフォン事業の立て直しが急務となっています。おそらくOPPOを撤退させrealmeを強化していくという戦略になるのでしょうが、低価格モデルを中心に展開していたrealmeのライバルは、シャオミのRedmiシリーズ。OPPOのRenoやFindシリーズに変わる、realmeのミドルハイレンジ以上の製品の投入が必要です。
さて、OPPOとrealme以下の「その他」の中で、vivoやモトローラなど様々な企業が順位を争っていますが、そこから一歩抜け出しOPPOを抜いて4位に上昇したメーカーがあります。それはノキアブランドの端末を展開するHMD Global。ストラテジー・アナリティクスの調査によると、パーセントの数字は公開されていないものの、2022年第3四半期はノキアのスマートフォンが4位になったとのことです。
OPPOはもともとシェアが少なかったとはいえ、ドイツの撤退もあり第2四半期よりも出荷台数を増やすことはできなかったのでしょう。一方ノキアはミドルレンジモデル以下の製品を中心とした展開ながら、着々と出荷台数を伸ばしているようです。元々世界1位のメーカーであり、またヨーロッパはノキアのホームグラウンドでもありますから、HMD Global傘下で復活したノキアのスマートフォンを買うヨーロッパの消費者も多いのでしょう。
また今回の数字にはその影響は反映されていませんが、HMD Globalは2022年9月にスマートフォンのサブスクリプションサービス「Circular」を開始しています。毎月定額を払うとスマートフォンをレンタル利用でき、故障や紛失時も新品(同様)品と交換してもらえるというサービスです。サブスクサービスは一見するとスマートフォンの販売台数を減らすようにも思えますが、むしろ利用者はメーカーに対して安心感を覚えるでしょう。サブスクから購入へと切り替えるユーザーも増えることが期待できます。
またHMD Globalはスマートフォンやフィーチャーフォンだけではなく完全ワイヤレスイヤホン(TWS)やノートPCも展開していますから、サブスクサービスの提供でノキアブランド製品全体の売り上げアップにもつながるでしょう。
ノキアのスマートフォンは日本人好みのハイエンドモデルはない代わりに、手ごろな価格のモデルを揃えていることで誰もが手軽に買える製品が多数展開されています。日本への投入は今のところありませんが、TWSなどのアクセサリなら十分可能性はあるかもしれませんね。古くからのノキアファンもそんな製品の登場を待ち望んでいるでしょう。ヨーロッパでのノキアスマートフォンの動きが今後楽しみです。
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