「パソコン代わり」とまではいかないかも
一方、Quest Proで仕事をする際に気になっているのが日本語入力です。これまでのQuestシリーズはVR内で使用できるキーボードの種類も限られ、なかなかスムーズに日本語入力ができませんでした。文章が入力できるかと言われたら「できなくはないけど……」という感じです。同社のVRワークスペース「Horizon Workrooms」をミーティングで使用していた人はいるかもしれませんが、パソコン代わりとして作業していた日本人はほとんどいないんじゃないでしょうか。私自身も挑戦したことがありますが、使いにくくてすぐ挫折してしまいました。
性能面でもやや疑問は残ります。搭載するチップ「Qualcomm Snapdragon XR 2 +」は「+」と付いているとおり、Quest 2に搭載されていたチップをクロックアップして機能に最適化した程度のもので、次のアーキテクチャまでは進んでいないと考えられます。新型とはいえ一世代前のSnapdragonで処理をしているわけですから、性能面での限界があります。AR機能を実現するところで多くのコンピューティングパワーを取られ、思ったよりも新機能で広がりを生み出せないのではないかとも思ってしまいます。
そもそもOS自体、メタが自社OSの開発を諦めたためAndroidベースのものなんですよね。ハードウェアに完全に最適化されたものではないので、ムダにパワーをとられてしまう面は残っていると思います。チップについては来年以降に発表すると言われている「Quest 3」で次世代に移行するだろうと予想していますが、このあたりは購入時期が悩ましいところですね。
また、致命的な問題としてバッテリーも1〜2時間しか保たず、急速充電にも対応していないので、それで実作業に耐えうるのかというのは、使ってみないとわからないところです。まだまだ、ラップトップの代わりとまではいかないのかもしれません。
この連載の記事
-
第67回
AI
アドビの画像生成AI機能がまた進化 白黒3Dモデルがリアルな都市に -
第66回
AI
有名人そっくり、増え続けるAI音声 “声の権利”どう守る -
第65回
AI
画像生成AIに照明革命 日本と世界で同時に“神ツール”登場 -
第64回
AI
自分好みのAIチャット相手を簡単に作れる「Dify」が面白い -
第63回
AI
まるで“いけない話ができるChatGPT” ローカルAI「Command R+」の爆発的な可能性 -
第62回
AI
動画生成AI、映像制作の“民主化”目指して研究進む -
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 -
第58回
AI
画像生成AIで同じキャラクターが簡単に作れるようになってきた -
第57回
AI
日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に - この連載の一覧へ