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「コンテナ専用VM」「無料のCDNインターコネクト」など、2022年中に提供開始予定

オラクルがOCI新サービス/新機能を発表、「柔軟かつシンプル」目指す

2022年03月17日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 オラクルは2022年3月16日、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のコンピュート/ストレージ/ネットワークサービスについて、2022年中に提供開始予定の新サービスや機能強化などを発表した。

 OCI製品担当VPを務めるレオ・リョン氏は、OCIが目指すものは「シンプルかつ柔軟さを持つクラウドサービス」であり、今回発表した新サービス追加や機能強化を通じて「さらに幅広いワークロードへの対応を目指す」と語った。

OCIでは、幅広いワークロードに最適化できるよう「柔軟さとシンプルさ」をテーマに掲げている

日本のメディア向けに説明を行った、米オラクル OCI プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのレオ・リョン(Leo Leung)氏

コンテナ専用VM、CDNへの無料インターコネクトなど発表

 まずコンピュート分野では「Container VM」「AMD E4 Dense Instances」「Oracle Clooud VMware Solution on AMD」が発表された。

コンピュート分野での新発表。これらは2022年中にリリースされる予定だ

 Container VM(Container Instances)は、Kubernetesによるオーケストレーションを必要としない開発/テスト環境など、小規模かつシンプルにコンテナを使いたいユーザー向けのインスタンスとなる。このインスタンスを使って開発を行い、本番環境はKubernetesのマネージドサービスである「Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)」などを利用するイメージだ。OCI側で用意されたセキュアなOSイメージ、ネットワーク構成、ストレージでインスタンスがデプロイされるので「非常に簡単に使える」とリョン氏は説明する。

 AMD E4 Denseインスタンスは、最新世代の「AMD EPYC」プロセッサを採用するインスタンスで、超低レイテンシのローカルストレージ(NVMeドライブ)を使うことで、データベースやデータウェアハウス(DWH)などのワークロードに適するという。

 Oracle Cloud VMware Solution on AMDはその名のとおり、「VMware Cloud Foundation」環境をマネージドサービスとして提供する「Oracle Cloud VMware Solution」をAMDベアメタル環境で提供するサービスだ。1ホストあたり32/64/128コアを提供し、ローエンドでは従来よりも小さなフットプリントと低いコストでスモールスタートが可能。また、ハイエンドでは「ほかのどのクラウドサービスよりも多くのコアとメモリを提供できる」とリョン氏は説明した。

 ストレージ分野では、「Flexible Block Volumes with Performance based Auto tuning」「High Availability ZFS」が発表されている。

 前者のFlexible Block Volumes~は、アプリケーションのデマンドとパフォーマンスに基づいて自動的に最適化チューニングを行う機能だ。リョン氏は「業界でも唯一の機能」だと説明し、データベースやHPCといった高いパフォーマンスが必要なワークロードでも、ブロックボリュームをシンプルに扱えるメリットを強調した。

 ネットワーキング分野では「CDN(Content Delivery Network)Interconnect」「CDN Service」「Flexible WAF(Web Application Firewall)」「Web Application Acceleration(WAA)」「Network Visualizer」「vTAP」などが発表されている。

 CDN Interconnectでは、パートナーCDNとのダイレクトピアリング接続を確立し、オリジンである「OCI Object Storage」からCDNへのアウトバウンド帯域を無料で提供する。現在は、OCIから北米のCloudflare CDNへのインターコネクトが提供されている。また、「世界の数百拠点のPoPを持つ大手CDN」(リョン氏)のプラットフォームを利用して、OCIのサービスとしてもCDNを提供する。

 またOCIではロードバランサーにWAFが統合されているが、今回発表されたFlexible WAF(WAF v2)では、一般的な脆弱性利用型不正プログラム(OWASPトップ10など)からの保護に役立つ単一のWAFポリシーを定義できるという。また、ロードバランサーでWeb HTTPレスポンスをキャッシュ/圧縮し、レスポンスタイムを改善するWAAも発表されている。

 仮想ネットワークを可視化するNetwork Visualizerも発表された。リョン氏は「オンプレミスのシステムをクラウドに移行すると、どうしてもネットワークが複雑化しがち」だと述べ、ビジュアライズできることのメリットを紹介した。なお、このツールにはコンフィグレーションのチェック機能も備わるという。

「最大の柔軟性」と「シンプルさ」でより多くのワークロードを呼び込む

 リョン氏は、OCIの最新状況についても紹介した。

 OCIでは現在37のグローバルリージョンが稼働しており、2022年末までには44リージョンに拡大する。消費成長率(consumption growth)は86%に達しているという。

 冒頭でも触れたとおり、OCIが目指しているのは「最大のフレキシビリティがありながら、非常にシンプルに使える」クラウドサービスだ。たとえばコンピュートの領域では、用途に応じてベアメタル/仮想マシン(VM)/コンテナのインスタンスを選べるだけでなく、ワークロードに応じてサイズを最適化できる“フレキシブルインスタンス”の仕組みも備えている。これは、リソース(コア数やメモリ容量)を必要なぶんだけ使える仕組みであり、コストの最適化につながる。

 「たとえば83コアが必要なワークロードがある場合、他のクラウドプロバイダーでは多くの場合128コアのインスタンスを選ばなければならない。しかし、OCIの場合はまさにそのコア数、83コアだけを使うことができる」(リョン氏)

コンピュート分野におけるOCIの特徴

 「シンプルさと柔軟さ」というテーマはストレージにおいても同様だ。複雑なストレージティアや価格設定を設けず、ユーザーがシンプルに使えるようにしている。ブロックストレージは1種類だけが用意されており、パフォーマンスや容量の設定変更はGUIのスライダーを使って、オンラインで柔軟に行うことができる。

 ベストなプライスパフォーマンスの提供にも努めている。たとえばブロックストレージでは30万IOPSを保証しており、他社比で2倍~50倍のプライスパフォーマンスを発揮する。また、マシンからデタッチしたブロックボリュームを自動的に安価なティアへ移動する機能、オブジェクトストレージの自動ティアリング機能なども備える。

ストレージ分野におけるOCIの特徴

 「コンピュート、ネットワーク、ストレージの3領域において、総合的に最高のフレキシビリティを確保し、そしてシンプルに使えるようにする。ワークロードの種類にかかわらず、顧客がOCIの価値を得られるようにしていきたい」(リョン氏)

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