連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第12回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月11日~12月17日分
テレワーク者の6割は不満あり、2022年は「デジタルファースト」、ネットでクレームを受けやすい業種、ほか
2021年12月20日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2021年12月11日~12月17日)は、来年のIT市場動向キーワード、テレワーク、今年のセキュリティ事件トップ10、ネット上のクレームについてのデータを紹介します。
■[トレンド]2022年国内IT市場動向のキーワードは「デジタルファースト」(IDC Japan、12月14日)
・2021年の国内IT市場はプラス成長と予想
・2022年の注目動向トップは「デジタルファースト」
・ワークモデル、新しいオペレーションなど、アフターコロナに向けた模索を示唆するキーワードも
2022年の国内IT市場で注目すべき動向を主要10項目にまとめた「Japan IT Market 2022 Top 10 Predictions」より。トップ3は「デジタルファースト」「デジタルインフラストラクチャ」「ワークモデル」。7番目の「新たなオペレーション」では、社会的責任、従業員エクスペリエンスなど効率化に止まらない効果を狙ったリモートオペレーションに向けて新しいプロセス開発が進むと予想。コロナ禍3年目にして“緊急対応モード”から切り替わりつつあると伺えるキーワードが並んだ。ちなみに昨年のトップ3は「DXとFuture Enterprise」「AIによる自動化」「次世代インフラ」だった。
■[働き方]テレワーク継続予定は9割、「オンとオフの切り替えが難しい」など6割が不満 (ソウルウェア、12月16日)
・テレワーク実施中は3割、そのうち9割が今後もテレワークを継続予定
・6割がテレワークに不満、精神的な不満が環境的な不満より多く挙がる
・勤怠管理は「タイムカード」「クラウドツール」「パソコン起動時間」など
20代~60代の会社員542人に、アフターコロナでの働き方を尋ねた。テレワークを実施している人は32.8%で、その90%がテレワーク継続予定と回答した。継続する理由は「業務に支障がないから」が最多で59%。ただしテレワーク経験者の59%がテレワークに不満を抱えており、「オン/オフの切り替えが難しい」など精神的なものが多く挙がった。課題は年齢層により異なるが、20代は「会社指定のツールがテレワーク未対応」、30代は「残業が増えた」、60代は「孤独」「評価制度の不整備」がそれぞれトップとなった。
■[セキュリティ]2021年の10大セキュリティ事件は? オンラインサービスへの不正アクセスが注目集める (McAfee Enterprise、12月14日)
・認知度トップは、2020年12月の電子決済サービス企業への不正アクセス事件
・2位は東京オリパラ期間中の4億回のサイバー攻撃
・人材情報、マッチングアプリなどオンラインサービスのセキュリティ事件に高い関心
国内の経営層、情報システム部門など1000人を対象に、2020年12月から2021年11月までに報道されたセキュリティ事件の認知を調べた。認知度43%で最も高かったのは2020年12月の電子決済サービスの不正アクセス事件。クラウド上に機密情報を保存する事業者に、システム全体の監査などの重要性を再認識させるきっかけになったという。2位は、東京オリパラ期間中に大会運営に関わるシステムやネットワークに4億回を超えるサイバー攻撃があった事件。全体のトレンドとしては「ランサムウェアの脅威」が多く挙がった。McAfee Enterpriseでは「例年と比べると世間を賑わせる大型の事件は少ない」と評している。
■[生活][EC]ネット上のクレームはコロナ対応と不当な顧客体験に集中、業種は無店舗小売業がトップ(アラームボックス、12月16日)
・ネット上で悪評・クレームが最も多い業種は無店舗小売業
・通販は配送と梱包にクレーム、全体ではコロナ対応、企業体質に関するものが目立つ
・格安プランは「キャンペーン内容がわかりにくい」
SNSなどインターネットに投稿された口コミなどから1万4123社を対象に悪評・クレームを抽出し、その傾向を調べた。自社サイトだけでなく複数に出店する無店舗小売業は、1社あたり3.76件の悪評・クレーム数となりトップに。続いて補助的金融業、その他小売、宿泊などがトップ5に入った。9位の通信業は1社あたり2.05件で、格安プランのキャンペーン内容が分かりにくい、カスタマーサポート対応が悪いなどのクレームが見られた。営業方法に対する悪評も目立ち、アラームボックスは「サービス自体のイメージ毀損に繋がる内容が多い」と指摘。企業に対し、オンライン上の声をチェックしたりブランドイメージを向上するレピュテーション管理が不可欠と助言している。
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