新しい試みに立ち会っているような不思議な感覚
ライブでは藤田恵美さんの清々しいボーカルと心地よいアコースティック楽器のアンサンブルが楽しめた。全体的に穏やかなコンサートで、MCで当人が語ったように「レコーディングとライブが混在した困惑感」も、なにか新しい試みに立ち会っているようで面白いものだった。
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録音中の様子
Live Extreme技術を採用した音質は素晴らしく、アコースティック楽器の弦が擦れる音も生々しく聞き取れる。細やかなボーカルの息遣いも高音質ダウンロード音源で楽しむ音楽に匹敵する。48kHzでも素晴らしい音質だが、192kHzにすると一層リアル感が増す。映像はPCの都合もあり、フルHD画質で試聴したが、4Kで見られるならば一層生のコンサートのリアル感が楽しめるだろう。たいした時代になったものだ。
ここでちょっと面白い試みをしてみた。YouTubeにアップロードされている「パレード」の音質をLive Extremeと聴き比べてみたのだ。
音質は大きく違う。YouTubeは甘く楽器の音が鈍い。Live Extremeの方が明瞭で鮮明だ。ちなみにYouTubeの音声トラックは、Opus251(128kbps相当)など不可逆圧縮でエンコードされている。これは決して悪いわけではないが、やはりハイレゾやロスレス音源とは差が出てしまう。また、音声トラックのクロックを重視するLive Extremeのポリシーが影響してくるかもしれない。
ここでPCオーディオ的に注意しておきたいのは、(さきにサウンド設定で変えたままだから)YouTubeで再生している時にも、Windowsのミキサーでサンプリングレートが192kHzにリサンプリングされているということだ。つまり、DACには192kHzで出力されている。しかし、(当たり前だが)一度情報量を落とした音源を単にアップサンプリングしただけでは元のハイレゾ音源の音質にはならず、世間でよく言う、ハイレゾ音源とハイレゾ級の音質に近い差があると言える。「ハイレゾ級」に音質を改善するためには様々なアルゴリズムが用いられるし、ビット数をアップコンバートする場合もあるので一概に優劣をつけられないが、自分としてもいろいろと考えさせる興味深い試聴ではあった。
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Headphone Concert 2021はリアルタイムのライブ配信ではなかったが、コンサートがハイレゾ録音前提だったこと、藤田恵美さんのファンの中には音質を気にする人が多いということでコルグがLive Extreme配信の題材に選んだということだ。今後もロスレスやハイレゾでライブ配信をしていきたいアーティストやレーベルがあれば、積極的に受けていきたいということなので、こうした機会が増えることを期待したい。
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