佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第70回
2万円台半ば、鮮明な中高域に厚みと迫力ある低域が特徴
まだ珍しいハイブリッド型の完全ワイヤレスLYPERTEK「PUREPLAY Z7」をレビュー
2021年04月30日 13時00分更新
TEVIの優れたチューニングを踏襲しつつ
中高域の鮮明さと厚みある低域を追加
音質は端的に言ってとても良い。スペック上はほかのイヤフォンと大差ないはずのTEVIも、音がとてもよく聞こえた。これはおそらくチューニングの妙だろう。音の広がりがよく有機的で滑らかな上質サウンドだった。ここはZ7でも引き継がれていて、さらに向上していると感じた。
TEVIと比較すると、音がより立体的に広がり、深みのある音空間を感じさせる。全体的に整った印象を受けるサウンドだが、客席の最前列で聞いているような近さを感じる音で躍動感の高さが感じられる。この点ではTEVIよりも「積極的に攻めている音」という感じがする。低音の量感はかなりたっぷりとしていて、叩きつけるようなバスドラやベースのアタック感も気持ち良い。音空間の深み・音の耳への近さが相まって、迫力を感じさせる低音だ。低音に徹したダイナミックドライバーの働きが大きいのかもしれない。
中高域の楽器の音はクリアで美しく、高域のベルの音も鋭く鮮明だ。また幾重にも重なるような音の厚みがZ7では感じられ、とても豊かな音だ。ボーカルも声の明瞭感が高く、伸びやかで気持ちが良い。ここはマルチBAドライバーの効果が高いように思える。
鮮明な中高音と迫力ある低音が合わさったハイブリッド型イヤホンらしい厚みのあるサウンドを完全ワイヤレスでも楽しめるのがZ7だ。
TEVIは音の雰囲気や美しさにチューニングの妙が感じられるよいイヤホンだが、解像力や音場の広がりなど性能面ではもう一つ欲しいと思えた。それがZ7にはあり、大きく進歩している。また優等生的なサウンドだったTEVIに比べると、Z7では一歩攻めた音になっていて、躍動感が増している点もいい。
Z7はTEVIからのステップアップを望むユーザーはもちろん、音質の良い完全ワイヤレスイヤホンを求めているユーザーに広く勧めたい製品だ。
この連載の記事
-
第287回
AV
Roon ARCがCarPlayやAndroid Autoに対応、車内で音声操作を -
第286回
AV
MQAに新動向、MQA技術の先にある「AIRIA」「FOQUS」「QRONO」とは? -
第285回
AV
新感覚のオーディオイベント「REB fes」を体験、自分だけのストーリー実現に悩もう! -
第284回
AV
JBLによる2つの新提案「LIVE BEAM 3」と「Fit Checker」を体験してきた -
第283回
AV
グーグル、プロも驚く音楽生成AI「Music AI Sandbox」を開発 -
第282回
AV
液晶をタッチして操作する、Volumioの新ネットワークプレーヤー「Motivo」 -
第281回
AV
HIGH END Munich 2024出展製品から、気になるエントリーオーディオをセレクト -
第280回
AV
水月雨がオーディオファン向けスマホを開発、複雑になりすぎたスマホ高音質再生への問いかけ -
第279回
AV
Chordの積み木型オーディオシステムが面白い、「Suzi」と「Suzi Pre」 -
第278回
AV
さすがにSpotifyもロスレス対応しそう、Redditユーザーがさらに解析結果をリーク -
第277回
AV
スマホがLE Audioに対応していなくても、なぜAuracastを使えるのか? - この連載の一覧へ