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このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第269回

望遠カメラがより強化、最高峰の性能を備えた「Galaxy S21 Ultra 5G」の実力

2021年04月22日 12時00分更新

文● 佐野正弘 編集●ASCII

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「100倍」より「3倍」を重視した望遠カメラ

 では、最も力が入っているカメラについて触れていこう。Galaxy S21 Ultra 5GのメインカメラはGalaxy S20 Ultra 5Gと同様4眼構成だが、望遠により力が入れられているのがポイントといえるだろう。

カメラは4眼構成。左側が上から超広角、広角、望遠(10倍)、右側が望遠(3倍)となる

 具体的には1億800万画素/F値1.8の広角カメラと1200万画素/F値2.2の超広角カメラ、そして1000万画素の望遠カメラ2つを搭載しており、望遠カメラは一方が光学3倍相当、もう一方が10倍相当となっている。もちろん前機種に引き続き、1億800万画素をフルに用いての静止画撮影も可能だ。

超広角カメラで撮影した写真

同じ場所から広角カメラを使い、1億800万画素をフルに用いて撮影した写真。元画像は44MBある(12000×9000ドットを4000×3000ドットにリサイズしています)

上記画像から一部を切り取ったところ

同じ場所から通常画質で撮影し、同じ部分を切り取ったところ。画質の精細さが大きく違ってくることが分かる

 そして望遠カメラに関しては、前機種が光学10倍相当の望遠カメラが1つのみだったが、4800万画素と画素数の多いイメージセンサーを採用することにより、ハイブリッドズームの積極活用で広範囲のズームを担っていた。それに対してGalaxy S21 Ultra 5Gは、望遠のカメラを増やすことで広範囲のズームをカバーするようになっている。

 スマートフォンの望遠カメラは一般的にF値が大きく暗い傾向にあり、環境が整っていないと綺麗に写すのが難しいのだが、Galaxy S21 Ultra 5Gは3倍相当の望遠カメラにF値が2.4と、望遠カメラにしては明るいレンズを採用しており、手ごろな範囲の望遠距離を綺麗にすることを重視しているようだ。

広角カメラで撮影した写真

同じ場所から望遠カメラ(3倍)で撮影した写真

 もちろんGalaxy S21 Ultra 5Gはデジタルズームで最大100倍までの望遠撮影に引き続き対応しており、そちらは10倍相当の望遠カメラが担う形となるのだが、F値は4.9とより大きいので綺麗に撮影するにはより環境をより選ぶこととなる。高倍率の望遠撮影をするケースがそれほど多くないと判断し、このようなカメラ構成を採用するに至ったといえそうだ。

同じ場所から望遠カメラ(10倍)で撮影した写真。晴天下では大きな違いは出なかったが、F値が低いので暗い場所などではブレなどが起きやすくなる

100倍ズームでの撮影も可能だが、デジタルズームなのでさすがに画質は落ちる

 機能面ではGalaxy S21シリーズ共通しての進化が図られており、短時間の動画を撮影するとAIがベストショットを自動的に選択する「シングルテイク」が2.0に進化し、複数の画角やエフェクトを用いたバリエーションのある写真を抽出してくれるようになった。

2.0に進化した「シングルテイク」はベストショットを選ぶだけでなく、自動でエフェクトをかけたり、短尺の動画を作成したりしてくれるよう進化した

 また動画撮影も8K撮影に加え、Galaxy Note20 Ultra 5Gに搭載されていた「プロ動画」や、自分の顔と同時に広角・超広角・望遠の3つのカメラを切り替えながら撮影できる「ディレクターズビュー」が加わっており、VLogなどを楽しみたい人にとっては非常に便利になっている。

動画撮影で新たに追加された「ディレクターズビュー」。フロントカメラの映像に加え、メインカメラの3つのカメラを切り替えて同時に映像撮影ができる

 一方のフロントカメラは約4000万画素/F値2.2と、こちらも非常に高い性能を備えている。メイン・フロントカメラ共通で利用できる「ポートレート」モードでは、撮影中に照明効果を変えられるだけでなく、撮影後にはより多くの照明効果を選んで変更できることから、セルフィーにこだわる人も満足度が高い撮影ができるのではないだろうか。

フロントカメラで撮影した写真。ポートレートの活用で背景ぼかしなどが可能だ

ポートレートモードではリアルタイムで照明効果を変えながら撮影できるが、撮影後の方が利用できる効果は多い

性能は最高クラス、ゲームプレイも申し分ない

 基本性能を確認すると、チップセットにはクアルコムの最新ハイエンド向け「Snapdragon 888」を搭載し、メモリーは12GB、ストレージは256GBとなる。現時点では最高峰の性能といって間違いないだろう。実際ベンチマークを取り、1つ前の「Snapdragon 865」を搭載した「AQUOS R5G」と比べてみたところ、明らかに高いスコアが出ていることが分かる。

Galaxy S21 Ultra 5Gの「Geekbench 5」のCPUベンチマーク結果

AQUOS R5Gの「Geekbench 5」のCPUベンチマーク結果

Galaxy S21 Ultra 5Gの「3DMark」(Wild Life)のベンチマーク結果

AQUOS R5Gの「3DMark」(Wild Life)のベンチマーク結果

 また「PUBG Mobile」のグラフィック設定を確認しても、クオリティは「FHD」でフレーム設定は「ウルトラ」、その下の「HDR」の場合はフレーム設定を「極限」まで設定可能であるなど、最高クラスの環境に設定してプレイすることができた。

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定。現時点では最上位の「FHD」のクオリティが選択でき、フレーム設定も「ウルトラ」まで上げることができる

 それに加えてディスプレーは120Hz駆動に対応。スクロールなどの表示が非常になめらかになるのに加え、高い性能と5Gの高速通信を生かしてゲームプレイもより快適にできるようになっている。ディスプレーのカーブが小さくなっていることも、ゲームプレイにはメリットといえるだろう。

ディスプレーは120Hz駆動に対応しており、滑らかなスクロールや快適なゲームプレイが可能だ

 バッテリーも5000mAhと大容量のものを搭載していることから、外出中でもバッテリー切れになる心配は少ないだろうし、急速充電、そしてQiによるワイヤレス充電にも対応しており、幅広い手段での充電が可能だ。ほかのワイヤレス充電対応機器に給電する「ワイヤレスバッテリー共有」にも対応しているのは、対応するワイヤレスイヤホンなどを使っている人には安心感が高い。

ドコモからの販売でFeliCaにも対応

 そしてもう1つ、前機種から大きく変わったのが日本仕様への対応である。Galaxy S20 Ultra 5GもIP68の防水・防塵性能には対応していたのだが、FeliCaには対応していなかった。だがGalaxy S21 Ultra 5GはFeliCaにもしっかり対応し「おサイフケータイ」などが使えるようになったのだ。

Galaxy S20 Ultra 5Gでは見送られたFeliCaに対応。アンテナは背面から見た場合、中央部分の右寄りにある

 これには販売元の変更が影響があったといえるだろう。Galaxy S20 Ultra 5Gはauから販売されていたが、海外での発売後しばらく経ってからの投入というイレギュラーなタイミングだったのに加え、携帯4社の中でauが最もFeliCa対応へのこだわりが弱いことから、FeliCa非対応で販売されるに至ったといえる。

 一方でGalaxy S21 Ultra 5GはFeliCa対応を重視するドコモからの販売と変わっており、しかもほかのGalaxy S21シリーズと同じタイミングでの販売となっている。それゆえFeliCaへの対応をしっかり準備した上で投入されたといえそうだ。

 このほかにも、Galaxy S21 Ultra 5GはGalaxy Sシリーズとして初めてSペンに対応したというのが大きなポイントとなっている。ただGalaxy Noteシリーズとは異なりSペンを内蔵できるワケではないため、標準ではSペンが付属していない。利用するには基本的にSペンが収納できる専用ケースを別途購入する必要があり、追加コストが必要な点はやや残念な所といえるかもしれない。

【まとめ】性能は申し分ないが日常使いにはデメリットも

 まとめると、Galaxy S21 Ultra 5Gは「1億800万画素」「100倍ズーム」といったプロモーション要素は維持しながらも、ユーザーの利用実態に即した改善を加えるなどカメラの充実度は確実に向上しているし、ニーズが高まっている動画撮影関連の機能も強化され、利便性が高まったと感じる。性能面も申し分なくスマートフォンしては最高クラスであることに間違いない。

 ただ日常使いするスマートフォンとして考えた場合、その性能と引き換えにカメラの出っ張りと重さを受け入れる必要があるのが弱点といえるだろう。値段もかなり高い(ドコモオンラインショップで15万1272円)だけに、カメラに強いこだわりを持つなど、ある程度明確な目的を持った人が使うべきスマートフォンといえるだろうし、そうでなければほかのGalaxy S21シリーズを検討してもよいかもしれない。

  Galaxy S21 5G
SC-51B
Galaxy S21 Ultra 5G
SC-52B
メーカー サムスン電子
ディスプレー 6.2型有機EL(20:9) 6.8型有機EL(20:9)
画面解像度 1080×2400 1440×3200
サイズ 約71×152×7.9mm 約76×165×8.9mm
重量 約171g 約228g
CPU Snapdragon 888 5G
2.8GHz+1.8GHz(オクタコア)
内蔵メモリー 8GB 12GB
内蔵ストレージ 256GB
外部ストレージ
OS Android 11
5G最大通信速度 下り4.2Gbps
/上り218Mbps
下り4.2Gbps
/上り480Mbps
5G対応周波数 サブ6 サブ6、ミリ波
無線LAN Wi-Fi 6
カメラ アウト:約1200万画素(標準)
+約1200万画素(超広角)
+約6400万画素(光学3倍)
/イン:約1000万画素
アウト:約1億800万画素(標準)
+約1200万画素(超広角)
+約1000万画素(光学3倍)
+約1000万画素(光学10倍)
/イン:約4000万画素
バッテリー容量 4000mAh 5000mAh
FeliCa/NFC ○/○
ワンセグ/フルセグ ×/×
防水/防塵 ○/○(IPX5,8/IP6X)
生体認証 ○(顔、指紋)
USB端子 Type-C
カラバリ ファントムグレー、ファントムバイオレット、ファントムホワイト ファントムブラック、ファントムシルバー
発売時期 4月22日
 

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