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電力のスマートメーターを合法的にハックしよう! Nature Remo E Liteレビュー

2020年12月31日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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「スマート」メーターはダテにデジタル化されたわけじゃない

 ここで最初に挙げた疑問に戻ろう。電力のスマートメーターから、一般のユーザーが値を読み取ることが本当に可能なのだろうか、ということ。もちろんそれが可能だから、こうした製品が存在するわけで、答えは最初から分かっている。となれば、次に、どうやって? という疑問がわくだろう。実は、Nature Remo E Liteを買ってきてちょっと設定すれば、すぐに自宅の電力メーターが読み取れるというわけではない。もしそうであれば、他人の家の電力メーターの値も、その気になれば読み取れてしまうことにもなりかねず、プライバシー上の問題が発生する可能性がある。

 自宅の電力メーターの値を電子的に読み取れるようにするには、契約している電力会社に申請して、「電力メーター情報発信サービス(Bルートサービス)」のIDとパスワードを発行してもらうことが必要だ。具体的な申請方法は契約している電力会社によって異なるが、そのためのガイドはNature Remo Eのサイトに掲載されている(https://support.nature.global/hc/ja/articles/900003174606)。このガイドに従って申請すれば、ちょっと面倒なだけで、それほど難しいものではない。

 基本的には、電気料金の明細書などに記載されている「地点番号」と住所氏名を入力してオンラインで申請する。その後1週間程度の間に、「Bルート認証ID」を印刷したお知らせの紙が郵便で送られてくる。パスワードは、それより前に電子メールで送られる。このようにオフラインの手続きを含めるのは、申請者が確かにその住所に居住していることを確認するためだろう。ちょっと面倒だが、いたしかたない。

 なお、申請の際にスマートメーターへの交換が済んでいない場合には、可能であれば、そのタイミングでスマートメーターへの交換もしてくれるようだ。記憶は定かではないが、我が家では「数年」前、特に頼んでいないのに、スマートメーターへの切り替えが済んでいたので、手続きはスムーズだった。ウェブによる申込みから1週間もしないうちに封書が送られてきて利用可能となった。

 Remo Eを実際に使用する際に問題となる可能性があるのは、その設置場所だ。設置と言っても、基本的にはコンセントに差し込むだけなのだが、問題なのは、どこのコンセントに差し込むか。Remo Eとスマートメーターは、比較的最近(2012年7月)から利用可能となった920MHz帯の無線通信で接続する。2.4GHz帯のWi-Fiに比べると電波の回り込みがよいため障害物に強く、電波干渉にも強いとされている。それでも、さすがに距離が遠すぎると無理があるようだ。我が家の場合、スマートメーターは玄関脇の外壁に付いている。そこで玄関先の廊下にあるコンセントに差し込むことで、ちょうどスマートメーターとWi-Fiルーターの中間的な位置に置くことができた。

 その場所に決める前に、外壁と内壁、合計2枚の壁を隔てた居間も試してみたが、その際にはうまく通信できないような状態も見られた。実際には、それほど苦労することはないかもしれないが、スマートメーターから遠からず、家庭内のWi-Fiの電波も届く位置を見つける必要がある。

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