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石川温のPCスマホニュース解説 第100回

携帯料金値下げ競争、3キャリアの寡占状態が強まる危険性も

2020年12月24日 09時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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●3キャリアの寡占状態が強まる危険性

 他社と同額であれば、ソフトバンクから、面倒な手続きをしてまでも、ahamoに乗り換えようと思うユーザーはまず出てこない。

 新規契約者が見込めない中、今のキャリアにとってみれば、「いかに今いるユーザーに逃げられないようにするか」が勝ちパターンであり、最大の経営課題なのだ。

 NTTドコモ、ソフトバンクが相次いで2980円のプランやブランドを発表する中、残ったのがKDDIだ。このままでは当然、KDDIからahamoとSoftBank on LINEにユーザーが流出することだろう。

 KDDIとしては来年1月に何らかの発表をするとしている。ユーザーの流出を止めるのが最優先となることから、おそらく2980円という同額のプランを提供してくるのは間違いなさそうだ。

 この数ヵ月、菅義偉総理と武田良太総務大臣が暴れまくったことで、3キャリアのメインブランドあるいはサブブランドで一気に値下げが実現した。

 結局、ユーザーは自分の契約しているキャリアを辞めて他社に乗り換えるようなことはなく、契約しているキャリアを使い続けることになりそうだ。

 また、3キャリアの料金プランが価格競争力を持ってしまったため、MVNOや楽天モバイルを契約しているユーザーが3キャリアに出戻りしてくることも予想される。

 3キャリアは値下げによって一時的に収益は落ち込むだろうが、ユーザーをさらに囲い込めるようになるので、顧客基盤が盤石となっていく。数年後には3社の寡占状態が強まることで、ジワジワと値上げされる方向になる危険性もありそうだ。

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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