華やかではないが生活を支える
スタートアップの製品を見てきた
毎年1月にラスベガスで開催されるCESには、世界各国からのスタートアップ企業も集まります。最近では国ごとのブースが増え、国を挙げてスタートアップ企業のグローバル展開を支援する動きも活発です。今回は韓国系企業が集まった「MIK(MADE IN KOREA)INNOVATION HOT SPOT」で見かけた製品をいくつか紹介します。
まずはInnopressの「Mokibo」。PCやタブレット、スマートフォンを接続可能なBluetoothキーボードですが、キーボードの表面がタッチセンサーにもなっているため、キーボード上で指先をすべらせてマウスのように使うことができます。指先2本なら画面のスクロール、1本ならカーソル移動と複合的な操作にも対応。スマートTVのような大型ディスプレーでの操作もしやすそう。実は日本語キーボードもあり2万円台ですでに販売されています。
J2Cはハンディータイプの虹彩認証装置「Alkaid」をデモ。最近のスマートフォンもフロントカメラを使った顔認証や虹彩認証で本人認証をしていますが、J2Cは500万画素カメラをフルに使い、より高精度な認証が可能。スマートフォンに搭載可能な小型のカメラも開発しており、スマートフォンやタブレットへの搭載も考えているとのこと。銀行や政府機関など、より高いセキュリティーが求められるフィールドではスマートフォンレベルの生体認証では弱すぎるため、このような装置も必要とされるのです。
カップの蓋にシリンダーのようなチューブが差し込まれているのはN2FALLSのポータブルコーヒー。すなわちカートリッジ式のドリンクです。専用チューブにはドリンクの原液がガスで圧縮して詰められており、専用の蓋に刺すと中身が出てきてその場で本格的なコーヒーを味わえるというもの。スマートフォンとの連携があるわけではないのものの、移動中や外出先でも好きなドリンクを飲めるという「モバイル」な製品なのです。カップは普通の紙コップでもよく、専用蓋とカートリッジを差し込む部分にヒミツがあるとのこと。専用の水筒も提供、ドリンクの種類も増やしていくそうです。韓国以外への展開も楽しみです。
Moderntecのロボットアームは、電気自動車の充電を自動で行なってくれるものです。通常の充電は運転者が充電ステーションで車から降り、充電器を自分で接続します。しかし、タクシーやバスの車庫などでは数多くの車が次々とやってきますから、それを手動でするのも大変。充電が終わったらケーブルを抜く作業も必要になります。
いずれ電気自動車は自動運転も当たり前になるでしょうから、この手の充電ロボットが必要になるというわけです。数年もすれば人間の乗るドローンタクシーも商用化されるでしょう。そんな大型ドローンの自動充電や充電補助装置として、ロボットアームが今後使われようとしているのです。
A9の「Bplug」はコンセントに取り付けるスマートプラグ。一般的なスマートプラグは、スマートフォンからコンセントのオンオフができます。一方、BPlugは接続している家電の動作状況を記録できるプラグなのです。NB-IoTモデムを接続しているために、動作状況は直接クラウドへアップされます。
これで高齢者の家屋や室内での異常な活動がないかを遠隔地から調べられるというわけ。Wi-FiやBluetoothと違い、直接ネットにつながりますし、電源はコンセントから直接取れるため充電も不要。高齢者が増える日本にもこの手の製品が欲しいものです。
CESに出展するスタートアップと聞くと、面白いアイディアだったり華やかな動きをする製品などが思い浮かぶかもしれません。しかしそんな製品だけではなく、生活を陰で支えてくれるような製品も多数出ているのです。
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