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アップルにハッキングした少年「才能は正しく」で前歴なしに

2019年06月07日 09時00分更新

文● せきゅラボ編集部

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コンピューターが身近にある生活をしている10代
才能を正しく使えば将来が明るくなるはず

 アップルにハッキングした少年は、アップルの従業員をよそおってサーバーに侵入することに成功しており、高い技術を持っていたといえる。たしかにハッキングは違法ではあったが、彼の才能が正しく使われれば、優秀な人材になりえるだろう。

 パソコン、スマートフォンに限らず、世界中のさまざまなシステムはコンピューター技術に依存している。一方、それらを守るセキュリティ業界では人材不足が叫ばれている。経済産業省の試算では、2020年には早くも、国内だけで19万3000人のセキュリティ人材が不足する可能性が指摘されている。

 そんなにサイバーセキュリティに適性のある人材は誰だろう。たとえば、若い「ゲーマー」だ。

 もちろん、これは先ほどのハッキング事件にかこつけて、「ゲームにハマっている人たちは危険だ!」と決めつけたいわけでは決してない。最近では、オンラインゲームをきっかけに、若い頃からPCを使いこなす人が増えてきている。とくに、Steamなどのプラットフォームから数多くのタイトルが遊べる、PCゲームの存在がメジャーになっている点に注目したい。

 10代からコンピューターが身近にある生活をしていれば、自然とそれに触れていく中で、さまざまな「攻略法」や「抜け道」などを探しだす思考が身についていくだろう。ITに対するリテラシーも高いはずだ。その能力をハッキングなどに悪用するのではなく、セキュリティのために役立てれば、将来のキャリアにもつながる可能性があるだろう。

 若いときから身に付くスキルやリテラシーを高め、才能を正しく使ってほしい……今回はそんなメッセージがこめられた、McAfee Blogの記事「未来のセキュリティを守るのは「ゲーマー」かも!?」を紹介しよう。(せきゅラボ)

※以下はMcAfee Blogからの転載となります。

未来のセキュリティを守るのは「ゲーマー」かも!?:McAfee Blog

 「子どもがゲームばかりして……」。子育て中の方にとっては定番の悩みでしょう。ですが、もしかするとお子さんに、意外な才能が育っているのかもしれません。というのも、世の中にITが欠かせないものになる中で、システムやネットワーク、ユーザーをサイバー犯罪から守ることがますます重要になっているからです。

 サイバー犯罪から社会を守るために、危惧されているのが、向こう数十年間のセキュリティ人材不足です。例えば経済産業省の試算では、2020年には早くも、国内だけで19万3000人のセキュリティ人材が不足する可能性が指摘されています。世界的な不足が予想されるだけに、人材確保への対策に各国政府や企業のセキュリティ関係者は頭を悩ませているところです。

 言い換えると、セキュリティの専門家をいかに育成したり採用したりできるかに、さまざまな業界が注目しています。そしてサイバーセキュリティに適性のある人材といわれているのが、「ゲーマー」なのです。

確認済みの送信者からの電子メールアドレスであることを確認

 個人情報や機密情報の漏えい防止、サイバー攻撃や未知のマルウェアからの防御など、セキュリティ対策は個人ユーザーにとっても、企業にとっても大きな関心事になってきました。さらには国家間の防衛という視点でも、大規模な攻撃を展開するするサイバー犯罪者集団への対策は重要なテーマになっています。

 一方で、最近は子どもたちがゲーム感覚で実害のあるサイバー攻撃を行うことが問題になっています。ヨーロッパでは10代のゲーマーがドイツテレコムの90万台のルーターを攻撃したり、230万ドルもの大金を盗んでオンラインカジノにつぎ込んだりといった事件が起こりました。確かに、これらは極端な例かもしれません。しかしゲーマーの少なくとも一部には、高い技術力と集中力を身に着けた少年・少女がいるのは確かでしょう。

 若い世代のゲーマーは生まれた頃からコンピューターが身近にあり、ゲームを「どうやってクリアするか」考えつくし、普通の人が思いつかないような手段や抜け道を見つける思考の持ち主です。だからこそ、その能力を眠らせたり、サイバー攻撃に使ったりするのではなく、セキュリティのために正しく役立てることができるのではないでしょうか。

セキュリティ業務と親和的なゲーマーのスキル

  米マカフィーが実施した調査でも、ゲーマーはセキュリティの世界に“向いている”ことが分かりました。米国、イギリス、ドイツ、フランス、シンガポール、オーストラリア、日本などの国で、500人以上の従業員が働く組織のセキュリティ管理者やセキュリティ専門家950人を対象にして行ったものです。

 まずサイバーセキュリティに関わる現役従業員の中で、45%はゲーマー気質あり。ゲームを頻繁にプレイした経験などを持っていました。そして回答者の92%は、テレビゲームやPCゲームを1日4時間以上プレイするゲーマーが、サイバーセキュリティに適したスキルを持っていると考えていました。

 どんな資質が適しているのでしょうか。回答者がセキュリティとゲームの共通点として挙げたのは「論理的思考」「粘り強さ」「学習の早さ」「対戦相手にアプローチする方法の理解」「常識にとらわれない思考」。回答者の78%は、ゲームで遊んで育った人ほどセキュリティ業務に向いている可能性があると答えています。

 また72%は、ゲーマーのIT部門への採用は、セキュリティ人材不足への有効な対策とみていることも判明しました。

これからの注目職種にも

 ウェブサイトやシステムの脆弱性を発見し、報奨金をもらうホワイトハッカー(ホワイトハットハッカー)の活動や、ホワイトハッカーを雇用する大企業が出てきたという情報を見聞きする機会が増えました。こうしたセキュリティの専門家は、技術とパソコンがあれば年齢や場所にとらわれずに働くこともでき、高収入な「将来の花形職種」として紹介されることも少なくありません。若者が目指す職業としても、将来性があるといえそうです。

 マカフィーをはじめセキュリティ業界では、ネットと暮らしの安心を確保する取り組みの一つとして、適性があるゲーマーの能力を生かす方法を探っているところです。子どもたちには、ゲームとうまく付き合いながら、ゲームで身に付くスキルやリテラシーを高めていってもらえるとうれしく思います。

 そしてゲームを楽しむときにも、セキュリティ確保を忘れずに。

著者:マカフィー株式会社 CMSB事業本部 コンシューママーケティング本部 執行役員 本部長 青木 大知

※本記事はアスキーとマカフィーのコラボレーションサイト「せきゅラボ」への掲載用に過去のMcAfee Blogの人気エントリーを編集して紹介する記事です。


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