高価なMacを選ぶ意味合いはあるのか?
最後に、コストの計算についてです。
現在、iPad ProとApple Pencil、Smart Keyboardをセットにすると、128GB Wi-Fiモデルで合計14万5200円(税抜)です。一方、前述のMacBook Pro 13インチを、512GBフラッシュストレージ、メモリ16GB、3.1GHz Core i7にアップグレードしてオーダーすると、25万4800円(税抜)になります。iPad Proで揃えた方が10万円以上安い計算になるのです。
ディスプレイサイズがほぼ同じ2台のマシンを並べた際に、10万円の価格差を見出すことができるでしょうか。
MacBook Proが優れている点は、ディスプレイの拡張性、USBやThunderBolt 2やSDXCカードリーダーなどの内蔵されているポート類、より4倍のディスクスペース、しっかりとしたタッチのキーボードといったハードウェア面でのメリットがあります。また、Macで構築してきたワークフローを崩さない点、アプリ開発が可能な点、Windowsブートといったソフトウェア面でのメリットも含まれます。
Macを選ぶメリットが、10万円以上の価格差と見合うかどうか、割と真剣に考えてみる必要があるのだと思います。
例えば、MacでMicrosoft Officeを使ってきた人が、4年間はストレスなく動作させたいと考えた場合、iPad Proで問題ないでしょう。こうした消極的な選択でもコストメリットが享受できますが、iPad Proも十分性能が高い上、Apple Pencilの存在もあり、積極的に選ぶ理由すらあります。
Surface Bookを評価している理由も、この悩みに関係が
原稿を書きながら考えてきましたが、やはり冒頭で述べた通り、この問題は自分がどうしたいか、という「決めごと」になってしまいます。それぐらい、どちらを選らんでも十分満足できる物が揃ってきた、というわけです。
筆者は長らくMacしか使っていないにもかかわらず、筆者はMicrosoftが10月に発表したSurface Bookを高く評価しており、日本市場投入にも期待しています。
ノートパソコンのディスプレイを取り外して本格的なタブレットとして利用でき、パソコン/タブレットのスタイルいずれの場合でも、キーボードに内蔵された外部グラフィックスを使ってパワフルな処理にも対応するキャラクターです。
タブレットでのバッテリー持続時間は短いのですが、前述の「メインマシン」という概念がある場合、ノートパソコンとしての使い方を主とすれば、「ちょいタブ」(ちょっとだけタブレットが使えれば良い)スタイルは非常に選択しやすいと考えたからです。
AppleはSurface Bookのことを「中途半端でどっちつかず」とみているようです。確かにWindows 10が純粋なタブレットとしてどうか、タブレットとして使う際、すべてのアプリがきちんと対応しているのか、というソフトウェア的な問題点については、Appleの指摘通りかもしれません。
一方で、パソコンからタブレットへという過渡期だからこそ、Surface Bookが納得できる選択だとも、筆者は考えています。あるいは、こうした製品がスタンダードを採っていく可能性もあるわけです。
最終的な答えは「ステイ」
ということで、2015年中にパソコンを新調することはない、というのが現在の筆者の結論です。ビデオ編集時のパフォーマンス以外不満点がないというのが、大きな判断材料です。少し言い方を変えれば、2015年モデルを買うタイミングを、悩んでいる間に逃した、というのが実際のところです。仕事の道具なのであまり躊躇すべきではなかったのですがね。
Appleが他社製品を批判をする際には、同じアイディアを考えているか、それを蹴散らすような新製品を準備している時。この伏線の張り方は、もはやおなじみの流れと言えるでしょう。
Surface BookやiPad Proの魅力を吹き飛ばすような新しいMac(願わくばMacBook Air)を、来年リリースしてくれることを期待しています。そうすれば、筆者のような悩みを抱えるユーザーも、良い1年を迎えられるはずです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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