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猫は縦長、ウシやヒツジは横たわる三日月のひみつ

細長い瞳孔は動物の生態に大きく依存しているという研究

2015年08月10日 15時08分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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猫でおなじみの縦長の瞳は、距離感を図るのに適している

 カリフォルニア大学バークレー校は8月7日、動物たちの瞳はその視野と生態に大きく関係するという研究結果を発表した。

 これはカリフォルニア大学バークレー校の視覚の研究を行っている研究室と、英ダラム大学の共同研究。研究では、陸上動物の214種を総合的に調べて生態と視覚の関係をまとめようとしている。猫やキツネ、トカゲやヘビなどは縦長だが、羊やヤギなどは横長の眼を持つ。こういった細長い瞳孔は人間などのような円形の瞳孔に比べて開閉できる差が大きく、円形瞳孔なら光量差15倍程度に対応できるのに対し、135倍(羊や馬など)~300倍(夜行性ヤモリなど)まで調光できる。大きく開いて夜間の少ない光を取り入れるのは野生生物にとっては重要だが縦/横長になるもの意味があるという。

縦長の瞳であれば縦方向の映像はボケやすく、ピントの合った位置にある被写体の輪郭を背景から浮き上がらせることができる

 カメラのレンズでは、絞りを絞れば被写界深度が深く(ピントの合う距離が広く)なり、開けば狭く(ピント位置以外のボケが大きく)なる。猫のような縦長の瞳孔では縦方向にボケが大きな映像を見ることになり、縦線を背景から浮かび上がらせることになる。とくに地面の上にいる獲物を捉える際に、被写界深度効果と左右の眼による立体視により対象物の距離を測定しやすいという。捕食者である猫やヘビなどは待ち伏せで獲物を捕らえるので、距離を把握しやすいのは大きな利点と言える。ただし同じネコ科でもライオンやトラの瞳は丸い。これは動物のサイズにも関係するのではないかと推測しており、目線の高さから視える距離とその被写界深度を算出し、高い目線から地面を見た際は被写界深度を利用しての遠近感効果を得にくいとしている。

横長の瞳をもつ眼球では側方視野が大きい(絞り込んだ状態でも周辺が映り込みやすい)

 これに対し、羊やヤギなどの草食動物は横長の瞳孔を持つ。これらの動物は捕食される側なので、常に周囲を警戒しなくてはならない。横に長い瞳孔は絞りを絞った状態でも水平方向に視野角を確保でき、上からのまぶしい太陽光をさえぎりつつ広く地面を見ることができる(立体視による距離感はさほど重要視していない)。横長瞳孔による視界の広さは重要で、ヤギなどは頭を下げて草をはむ際には眼球が光軸を中心に回って水平を保つ。人間でもわずかに眼球を回転するが、羊やヤギでは50度以上回ることが確認できる。

ヤギの眼は頭を上げているときも頭を下げているときもスリットは水平を保つようになっている 

 “草食動物の横長の瞳は水平視界のため”といった説は従来からあったものの、生態と視覚の関係を関連付けて総合的に研究したものは珍しく、研究チームでは樹上生活する動物も含めた調査を進めてゆくとしている。

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