Apple Watchはどれだけの長さ、付き合える存在なのか?
Apple Watchはパテック・フィリップのように一生ものではないことはまだわかりますが、だったらどれだけ長くつきあえるのか、ということが気になります。
Apple Watchを使い始める前から寿命の話を考えても仕方ないかもしれませんが、Apple Watchの寿命を左右する要素は2つ、電池と性能です。
電池は、Apple Watchを駆動するために必要なもので、Appleは1日持つとしています。この「1日」というのは24時間ではなく、18時間。しかも、その条件は複雑です。iPhoneとペアリングし、18時間の間に時刻を90回確認し、通知を90回受け取り、アプリを45分使い、またApple Watchから音楽を再生しながら30分ワークアウトをした結果とあります。
これはおそらく一般的な条件を割り出したと思われますが、LINEの通知をApple Watchに通知するようにしていれば、90回という通知は1時間で到達してしまうかもしれません。また、1時間はランニングをする、という人もいるでしょう。
いずれにしても、使い始めは物珍しくて、ずっとApple Watchを触っている姿は想像しやすいため、スペック上の1日のバッテリー持続時間は「Apple Watchに飽きてから」ということになるでしょう。また、たとえばバッテリーが正しく動作する充電サイクルが500回だとすれば、2年以内に電池がへたってきます。1000回でも3年。しかし1日に何度も充電するとしたら、電池の寿命も短くなっていきます。
一方、機能の面でもすぐに陳腐化することが予測できます。iPhoneは毎年進化し続けているのに、それに組み合わせる時計が進化しないわけがありません。あるいはプロセッサの効率も向上し続けていくでしょう。
そうした進化を体験するには、あまり高いApple Watchを手に入れることを選びにくくなってしまいます。
とはいえ、やはりApple Storeで
試着してから買いたい
筆者もそうした理由から、スペースグレーのApple Watch Sportが良いのではないか、と考えて来ました。しかし、Apple Storeで体験した試着体験は、そのアイディアを大きく変えることになります。
単刀直入に言うと、Apple Watch SportとApple Watchをそれぞれ腕に着けてみたとき、デジタルクラウンの質感の違い。ウェブサイトのレンダリング画像とあまり変わらないアルミニウムに対して、ステンレススチールのデジタルクラウンはより高い質感と輝きを伝えてくれます。
これを見てしまうと、前述の「どれくらい長く使えるのか」という理性的な判断に加えて、「持つモノとしてどうなのだ?」という感性に訴えかける部分が大きくなってきます。
ただ、エクササイズするにはスポーツモデルの軽さも魅力的だし、といった具合で、試着するまでは割と決まっていた心が余計に揺れ始めてしまうのです。これは決してネガティブなことではなく、ショッピングの体験としてとても楽しい時間でした。
そこで思ったのは、やっぱりApple Watchは試着しながら買いたいということ。もし購入を考えている方は、ぜひ試着を試してみるとよいのではと思います。
残念ながら、当面はApple Storeの店頭で試着から購入ができるワケではありません。早く在庫も落ち着いて、気に入ったモノをその場で買えるようになると良いですね。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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