公益財団法人 鉄道総合技術研究所は4月15日、超電導フライホイール蓄電システムの実証機が完成し、試運転を開始したと発表した。
フライホイール蓄電システムはモーターで円盤を回転させて運動エネルギーを蓄積(充電)、円盤の回転で発電機を用いて電力を取り出す。フライホイールの重量が重ければ重いほど効率は高くなり、化学電池のように充放電によって劣化することもないという利点があるが、摩擦による回転の低下はそのまま損失となるため、軸受け部を磁石で浮上させるなど効率を高めるためにはさまざまな工夫が必要となる。
鉄道総研は国立研究開発法人 エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業として、クボテック、古河電気工業、ミラフロ、山梨県企業局などと共同で開発を進めてきた。
開発したフライホイール蓄電システムは世界最大級で、フライホイールは直径2m、重量4t。CFPR(カーボンファイバー樹脂)製で、カーボン繊維の巻き方を工夫することで高密度とした。超電導軸受けは第2世代高温超電導マグネットを使用、従来の-253度よりも高い-223度で動作することで冷却コストを低減している。
回転軸側と軸受け側の両方に超電導素材を用いて大質量を支え、最高6000回転/分で動作、出力300kW、蓄電容量は1000kWh。山梨県米倉市のメガソーラー「米倉山太陽光発電所」と系統接続し、電力安定化に用いる。