商用Hadoopベンダー3社と新たに再販契約し、HW+SWの統合ソリューション提供
シスコ、ビッグデータ向けソリューションへの取り組み拡大
2015年04月20日 06時00分更新
シスコシステムズは4月16日、複数の商用Hadoopディストリビューション/データ管理製品ベンダーとの再販契約締結を発表した。「Cisco Unified Computing System(UCS)」上のコンピュートクラスタとHadoopソフトウェアを統合管理するソリューションなども発表しており、ビッグデータ領域での取り組みを拡大する。
今回、シスコが新たに再販契約を締結したのは、クラウデラ(Cloudera)、ホートンワークス(Hortonworks)、マップアール(MapR)の3社。各社のHadoopと、シスコのデータセンターインフラ製品であるCisco UCSとの共同ソリューションも発表している。
「Cisco UCS Director Express for Big Data」は、上記3社のHadoopソフトウェアとUCSハードウェアを一元的に展開、管理、把握することのできるソフトウェア。これにより、Hadoop環境の複雑さを低減し、自動化によって管理を簡素化する。
また、データ仮想化製品「Cisco Data Virtualization Platform」を介して既存のDWH/RDB環境とHadoop環境とを結び、柔軟なデータの抽出/アクセス/検索や、段階的なHadoopへの移行を可能にする。
さらに、すでに提供しているビッグデータ向け統合インフラ製品「Cisco UCS Common Platform Architecture(UCS CPA)」でも、新たに上記3社のHadoopディストリビューションを事前検証済みで提供していく。
パートナーと共にビッグデータソリューションを展開
米シスコ バイスプレジデント UCS/データセンターソリューションズ マーケティング担当のジム・マッキュー氏は、IoT/IoE(Internet of Everything)の世界では、「ビッグデータ」と「アナリティクス」の技術が大きな価値の源泉になると語り、そのためのインフラとなるデータセンタソリューションを拡張していく方針を強調した。
「IDCの調査によれば、企業の(2018年までの)ビッグデータへの投資のうち、52%はインフラに対する投資である」「エッジからデータセンターまで、シスコでは一貫したインフラとソリューションを提供できる」(マッキュー氏)
一方で、この分野での取り組みは「シスコ1社だけではできない」とも語り、共同でソリューションを構成するパートナーの重要さも強調した。シスコは今回のHadoop 3社だけでなく、データ管理、データ統合、アナリティクス/BIの各分野をカバーするパートナーエコシステムを構成している。
またシスコ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当の俵雄一氏は、Hadoopクラスタの基盤としては仮想サーバーではなくベアメタルサーバーが適しており、それが“Software-Definedなベアメタル”を可能にするUCSがビッグデータ基盤にふさわしい理由であると説明した。
さらに「なぜビッグデータでシスコなのか」という問いの答えとして、前述のUCS Director Express for Big Data、Data Virtualization Platformに加え、Hadoopノード間のトラフィックを最適化できるダイナミックロードバランシング機能を備えた「Cisco ACI」も提供できるからだと述べた。「コンピュートだけでなく、ネットワークからもビッグデータを支える。これも大きなポイントでは」(俵氏)。
市場戦略として俵氏は、特にHadoop製品を中心として、シスコのインフラ製品と一括で提供できる環境を整えたことを説明した。また、UCS CPAにおいて、幾つかの用途別のリファレンスアーキテクチャを用意し、最適な構成を顧客が選べるように準備している。
さらに、グローバルで展開している「ビッグデータ・ラボ」を東京にも開設し、顧客向けのデモやPoCのサービスを提供していくと語った。
なお、同日の発表会にはシスコのビッグデータエコパートナーであるインフォマティカ、クリックテック、SAS Institute、Splunkの各社日本代表も出席し、それぞれの立場からシスコに対する期待を語った。