本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
外部メモリーに専用アプリが必要なワケ
iOSデバイス用「外部メモリー」が活気づいている。現行iPhone/iPadのメモリーはSDRAMであり(Apple A7以降はLPDDR3を採用)、筐体デザインの制約上、というよりスマートフォンにおける暗黙の了解としてメモリーの増設を考慮しない設計だが、Lightning経由で接続するタイプのメモリーが次々発売されている。ややこしい話だが、ここでいう外部メモリーとは「外付けのフラッシュメモリー」で、USBメモリーと同様外部ストレージとして使われるデバイスのことだ。
外部メモリーの需要が高まった理由は、スチールカメラ/ビデオカメラとしての性能向上(解像度/フレームレート)もあるが、その役割がユーザーのライフスタイルに浸透したことのほうが大きいと考えられる。料理の写真を撮り、SNSで披露する。講義の内容をメモする代わりにビデオに収め、クラウドにアップロードして仲間と共有する。そんな使い方が日常化すれば、64GBだろうが128GBだろうがすぐに容量不足に陥ること必至だ。
その外部メモリーだが、現行のiOSデバイスではLightning端子の装備が不可欠だ。ワイヤレスで接続するタイプの製品もあるが、転送速度を考慮すれば別ジャンルの製品といっていい。iOSデバイスと外部メモリーをLightningで接続し、データのやり取りを行いたいPC側とは同じくワイヤードのUSB接続で、ということになる。LightningとUSBの端子を各1基備えることが"お約束"となっているのはそのためだ。
ただし、外部メモリーは通常のストレージとはならない。Appleの方針によりアプリや写真の保存に利用される一般的なファイルシステムの拡張は許されず、外部メモリーは特定のアプリが排他的に使用するストレージという位置付けになっている。アプリの外部機器へのアクセスはiOSの「External Accessoryフレームワーク」に一元化されており、アプリ側で定めたプロトコル(開発者側で決定できる)により通信が行われるため、汎用製品では足りない。この仕様が、外部メモリーの利用は専用アプリでという利用スタイルの元になっている。
専用アプリのデキが使い勝手を変える
それだけに、外部メモリーを選ぶ際は専用アプリの完成度が重要になる。ハードウェアとしてのフラッシュメモリーの性能に差があるとしても、専用アプリの出来不出来がそれを吸収してしまう。もちろん、フラッシュメモリーの容量やサイズといったハードウェアに依存する要素もあるが、どのファイルを再生/表示できるか、iOSの機能との連携はスムーズか、といった要素のほうが使い勝手に与える影響は大きい。
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