トヨタ自動車は1月29日、SiCパワー半導体実用化に向け、ハイブリッド車のパワーコントロールユニットに新素材SiCを搭載したカムリHVを試作、公道走行試験を実施すると発表した。
ハイブリッド車や燃料電池車、EVには電力制御にパワー半導体素子が用いられているが、ハイブリッド車では車両全体の電力消費の約20%がパワーコントロールユニットにおいて損失しているという。
従来、パワー半導体はシリコン(Si)半導体が使われてきたが、近年になってより高効率、小型・軽量のSiC(炭化ケイ素:シリコンカーバイド)半導体が実用化、電力施設から電車、家電などさまざまなシーンで利用されつつある。
今回試作されたカムリHVでは、パワーコントロールユニット内の昇圧コンバーターおよびモーター制御用インバーターにSiCパワー半導体を搭載。公道走行試験により燃費向上高価を検証する。また、すでに豊田市内の路線バス「とよたおいでんバス 豊田東環状線」にて営業運行している燃料電池(FC)バスの昇圧コンバーターにSiCダイオードを搭載、走行データを取得している。
用いられるSiCパワー半導体はトヨタおよびデンソー、豊田中央研究所で共同開発したもの。従来型Si半導体に比べてどの程度の効率向上がなされているのかは公開されていないが、SiCパワー半導体デバイスは製品によっては電力損失1/10の効率向上が見込まれるほか、小型軽量、熱にも強いなどの利点があり、HVや燃料電池車の燃費向上に加えてエンジンルームの小型化・車体の軽量化などにも影響すると考えられる。
トヨタでは、新素材SiCパワー半導体の早期実現に向けて、公道走行データを開発に反映するとしている。