大日本印刷は1月22日、静電容量式タッチパネル用電極フィルムの量産を昨年10月より開始したことを発表。今年春には最大85インチまでの量産に対応した供給体制が完了するとした。
また、視認性の点から市場で強い要望のあったメッシュ線幅2μm品の供給体制も完了させた。これは大日本印刷が培ってきたメッシュパターン設計技術、成膜およびエッチング技術により、銅メッシュでは世界で最も細い線幅を実現したもの。銅表面に黒化処理を施すことで、フィルムの光の反射率を4分の1以下に減少させ、目と近い距離で使用する機器に組み込んだ際にも電極パターンが気にならないフィルムとなっている。
量産開始の背景は、タッチパネルがタブレット以外の様々な端末で採用され、さらに大型化が進んでいること。加えて最近では、ウェアラブルデバイスのような小型・薄型・軽量、或いはフレキシブル(柔軟)性が求められる新規市場での採用が見込まれるため。
ただ、これまでタッチパネル用電極フィルムの多くは、ITO(酸化インジウムスズ)が導電材料として使用されているため、抵抗値を下げられない、や折り曲げに弱い、抵抗値の低い金属を導電材料としてメッシュ状に形成した電極フィルムは金属反射によって視認性が低下するといった課題があった。
こうした課題に対して大日本印刷は、銅を成膜したPETフィルムにエッチング加工を施すことでメッシュ状のセンサーを形成した、折り曲げ可能な静電容量式タッチパネル用電極フィルムの開発を進めてきた。そして11億円を投資し、中小型向け専用ラインを立ち上げて2014年10月より量産を開始し、現在は40インチサイズまで対応している。そして今年春からは85インチの大型サイズまで対応する。
大日本印刷は、この静電容量式タッチパネル用電極フィルムを多様な用途で販売し、2015年度で60億円の売上を見込んでいる。